初めての体験

SEASON 2 #22

初めての体験

Contributed by Yuumi Saigusa

Trip / 2022.09.20

25年越しで「NYに住む!」という夢を果たし、理想と現実の生活に日々苦戦しながらも、今まで感じていたNYCのイメージとは違う、新しいNYCで自分の現在地を探すYuumi Saigusaの旅連載!

#22

この1、2ヶ月間、自分の生活がザワザワしていたな。けれどもそれは、また別の投稿で書くとして、まずはこの間のNYでの初体験のお話。

日本ではまだそこまでメジャーになっているかはわからないけれど、こちらではコロナ以降電車を使わずCity Bikeを使って移動する人が増えているよう。
City Bikeとはいわゆるレンタル自転車のこと。日本にもあるようなレンタルサイクルと少々異なるのは、レンタルをする時有人か無人かということ。じっとお店で待つ必要がなく、気軽に利用できるのが特徴だ。また目的地に到着したらわざわざ返却に戻る必要がなく、乗り捨てができるのも気軽でいい。もちろん停車場は決まっているけれど、Googleで調べれば停車場も教えてくれるので、まぁなんとも便利な世の中だ。

日本ではだいたい自転車で移動していた私は、こちらに来てから交通の激しさにビビり、一回も自転車に乗ったことがなかったし、そもそも乗ると言うアイデアさえ浮かばなかった。
もし乗るならヘルメットに腕と膝にサポーターは必須で、速度もかなり抑え気味に走行して、ものすごくカッコ悪い姿になるのはわかっていたから。でもNYでは、そんな姿を周りは気にしない、自分だけのどうでもいいプライド。命の方が大事だ。

乗ってみようと思ったきっかけになったのは、日本から遊びに来ていた友人が利用していたからだ。彼女もまた、日本で移動の際はチャリであらゆる場所を移動している。しかも車よりも速く、スイスイどこでも行ってしまう。
そんな彼女がこちらで自転車を利用しない訳がない。私といる時間は電車で移動してくれていたが、ストリート(横)アベニュー(縦)の碁盤目の形になっているNYの街は移動手段によっては自転車の方が断然速い。なので、最近は観光客も気軽に利用している姿をよく目にする。


こんな感じで街中の至る所に停車場がある。



少しの間にも次から次へと利用者がやってくる。



「ん〜自転車ね〜…」。少々潔癖な私はハンドルを握るのもなんだか抵抗があるのが理由でもあるのだけれど、無料で乗れるキャンペーンのクーポンを貰ったので何かのお告げと思って、「ひとまず経験として乗ってみるか!」と乗ることにしたのである。
よく考えてみれば自転車に乗るのに、なぜこんな決断が必要だったのかと思ってしまうが、無料ともなれば話は別。バスキアの展示会が開催されている場所まで電車で行くと25分くらい、自転車で行くと15分くらいの距離だったので利用してみた。
乗車の手続きは簡単、私はLiftというUberのような配車サービスのCity Bikeと連携しているアプリを持っていたので、そこから自転車についているQRコードをスキャンするだけ。






すると、ドックから自転車が外れて乗車が可能になる。一連の流れはシンプルで簡単そうだけれど、私には一筋縄ではいかないものだった。さっそくドックから外すも上手く外れず少々手こずった。サドルの位置を一番低くしてもギリギリ地面に足がつくかつかないか、そんなことにもアメリカを感じる。ヘルメットもサポーターもないので安全に走行しようとして、乗る時に少々グラついたものの、やっと安定して乗ることができた。もちろん速度は緩やか。
自転車レーンがない所では交通ルールがよくわからなかったので、方向に反した際には車にクラクションを鳴らされてしまい、”ギィエー”って心の叫びと共に、ものの10分でもう後悔気味。




交通量の多い街中。クラクションを遠慮がちに鳴らすのは日本だけ。車がちょっと進まなくなっただけでも会話をするようにクラクションを鳴らすのが当たり前のようだ。












改めて見ると、そこら中に利用者が。


結局降りて自転車を押しながら歩くことに。車がそこまでない安全そうな場所まで歩いて、10分を費やしたあげく、方向とは真逆に進んでいたことに気づき、またもや自分の要領の悪さと方向音痴さに呆れてしまう。
結局会場に到着するまで40分はかかってしまい、電車かバスで行った方が早かったというさんざんな結果となった。

バスキア展を見終わって携帯を見ると、自転車がまだドックから外れているメッセージが。つまりまだ乗車中という表示がされていた。あれ??? ちゃんとドックにはめた際に赤いランプがついたことを確認したはずだけれども!!!
無料で使える時間はとっくに過ぎていて、料金は刻々と換算され、車で1往復はできるくらいの値段までカウントされていた。

けれど今は問題があると電話でなくチャットですぐに対応してくれるのがありがたい。しかも驚くほど親切でていねい。早速経緯を説明すると赤いランプが点灯している際は、ロックができていないという回答。料金は返金してくれるということで事は解決。あー良かった。

帰り道に通りかかったブライアントパーク。夏の終わりを外で楽しむ人々の隙間をうさぎが横切っている大都会な光景。
City Bikeは暫く利用しないかもしれないけれど、夏が終わる前にもう一度利用してみるのも悪くないかな。








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