Life is a journey #12

Covid-19 in me

Contributed by Daijiro Inaba

Trip / 2021.05.31

メガバンク、コンサル会社、ベンチャー企業を経験した葉山在住のDaijiro35歳の「生きる」を考える旅。どこまでもオープンに、幸せなこともしんどいこともモヤモヤすることも恥ずかしいことも晒しながら、旅を綴ります。

#12

Daijiro、35歳になりました!


35歳と虹と、大好きなPERONI


友人(彼女募集中)とSUP

そんな矢先に、Covid-19に感染した。
でも、生きて、戻ってこれた。
忘れちゃいけない旅路だったので、綴りたい。


えんとつ町のプペルを思い出す工事現場@森戸海岸

今もCovid-19と闘っているすべての医療従事者に心から感謝をしたい。そして、心から懺悔したい。
心のどこかで、「自分は大丈夫」と思っていた。親戚をCovid-19で亡くしているのに、なぜこんなに自分は愚かなんだろうと、今でも思い返すと震える。医者から「陽性だね」と言われたときに「へ!?」と裏返った声で聞き返した自分は、本当にあまあまの甘ちゃんだった。


自宅療養中 食料を送ってくれる神奈川県


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1.体感したCovid-19の怖さ
2.当り前じゃない
3.Rebirth
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1.体感したCovid-19の怖さ
「陽性だね」と言われた時の症状は咳のみだったが、その後一気に39度の熱が出た。宣言されたとおりに体調が壊れていく様に、冷や汗が出ていた。初めてのCovid-19を迎える気持ちの余裕は一切なく、「さっさと出ていけ!」と解熱鎮痛剤を服用し、厚着をし、水分をひたすらに摂取し、厚手の布団にくるまり、ひたすらに寝た。汗だくで目を覚まし、意気揚々と体温計をわきに挟むと、「38.6度」。この瞬間、底知れぬ恐怖に包まれ、長期戦を覚悟した。
自宅の寝室を隔離部屋として、ひたすらに寝た。腰が悲鳴をあげていたが、ひたすらに寝た。いくら寝ても、いくら汗をかいても、体温が下がらない。下がってもほんの少し、一瞬。
そんな中、妻もダウンした。妻は、私よりもはるかに苦しそうだった。ずっと食事を作り、隔離部屋に届け、家事もいつも以上に行い、献身的に支えてくれていた妻がダウンしたときは、さすがにまいった。幸い、2日ほどで妻の体調は回復したので、本当に助かった。


家族の愛

妻がダウンしている最中に、どうにか食事をとらねばと思い、カップ麺を食べた。濃い目の、家系ラーメンの類だった。が、スープがただのお湯の味しかしない。粉末か、液体か、何か入れ忘れたか?いや、そんなことはなさそうだ。そもそもお湯の量を誤ったか?いや、線ぴったりよりちょいと低いくらいだ。まさか、、、
今朝妻が作ってくれたカレーを食べてみよう。ピリ辛だけどうまいね!と話していたものだ。
辛くない、、、どころか、一切味がしない。香りも感じられない。
発症して4日目に、味覚と嗅覚がなくなった。
この瞬間が一番の恐怖だったかもしれない。
味もしない、香りもしない世界は、深い闇に包まれていて、1日1食とることさえも体に鞭を打つように行う苦行になっていた。
39度の熱が10日間、味覚嗅覚のない世界はうち6日間ほど。ただ寝てるだけなのに、長い長い、旅路だった。

2.当り前じゃない
ある日、妻が作ってくれた野菜スープをスプーンですくうと、ほのかにコンソメが香った。嗅覚が戻った!味はどうか。しょっぱく感じた。妻に確認すると、普段通りの味だということなので、おそらく部分的な回復になったんだろうけど、いずれにしろ、嗅覚と味覚が戻ってきた!真っ暗な生活に光が差し込んだ瞬間だった。
当初塩味にやたらと過敏になっていた味覚だが、徐々に普段の状態を取り戻し、体調も回復に向かっていった。ここからは、全てが感動の連続だった。
まずは妻の手料理。妻は、食べることの幸せを思い出させてくれた。
あと、妻との時間。隔離部屋にいるときはどうしても会話ができず、私もか細い声で何かを依頼する程度しかコミュニケーションをとれなかったが、回復していく私との会話を妻は心から喜んでくれた。何気ない会話がものすごく新鮮だった。
また、家族のありがたみもすごかった。大量の食糧や漫画など、たくさんの愛情を届けてくれたし、毎日様子を気にしてくれた。


バンコクにいる家族が贈ってくれた名作BLUE GIANTを一気読み

先輩や仲間のありがたみもそうだ。著名なドクターが沿革で症状を確認して指示をくれたり、片道50分かけて玄関まで荷物を届けてくれたり、近所の仲間も日用品を大量に買い込んで玄関まで届けてくれたり、心配してこまめに体調の確認の連絡をくれた。たくさんの愛情に心から感謝したい。
オンラインサロンのメンバーとは毎週末他愛もない(けど、中身の濃い)話をしているけど、その場を僕がいなくても継続してくれた。週に1回、その週に何が起きようと、いつでも腹を割って話せる仲間がいる。メンバーに心から感謝したい。
外に一歩踏み出した時、久々の陽の光がまぶしすぎて、立ち眩みがした。歩こうにも、気持ちが悪くて歩けなかった。そんな体調でも、奥行きのある景色には改めて感動をさせられた。そうだ、葉山に住んでるんだ。思い出すたびに元気になる。


葉山は、山もいい


富士と夕陽、雲隠れ@森戸海岸


富士と夕陽@真名瀬海岸

ほんの数日前まで当たり前だったことが、当り前じゃないことに気づけた。

3.Rebirth
Covid-19との10日間で、生まれ変わった気がしてる。
僕は、すごく、恵まれてる。
でもきっと気づくと、ちょっとした人とのコミュニケーションにイライラしたり、道行く他人の行動にイライラしたり、仕事でイライラしたり、膨大な仕事量に振り回されたりするんだろうけど、これからはこの日に立ち返れる。
まずは、療養に専念させてくれた各社の仕事仲間に、汗をかいて恩を返したい。
あと先輩、友人たち。ある日を境にずっと恩を返すと意気込んでいるが、また大きな借りができた。どんどん行動に移していけないと、返しきれない。
あと、家族。家族に特大の愛情をもらって生きているから、人に愛情を与えたいって思えると改めて思えた。
そして、妻。私はきっと、この人さえ近くにいてくれればなんだって乗り越えられる。


いつもの散歩コース

そんな勇気をくれた10日間だった。
Love Letter from Covid-19 in me
Life is a journey!



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