As I Like It #8
Lady Boysがやって来た
Contributed by Utano Katayama
Trip / 2023.09.25
#8
ブライトンへ来て、2ヶ月弱が経った頃、ここでの生活にもだいぶ慣れてきた。
もう大体どこにどんなお店があるとか、友だちとよく行く場所も決まっていたし、バスの乗り方もマスターして、定期のおかげでどこでも行きたいところへ自由に行けた。
日本でもマップ無しでは生きられない、方向音痴の私からすればだいぶ成長したと思う。
イギリスのバスは2階建てで、ほとんど2階に座る。なぜなら比較的席が空いていて、ゆったり座れるから。そして、この窓から見える景色が好きなんだ♪
学校が終わるとそのまま友だちとビーチへ行くことも多かった。中でも学校から徒歩5分ほどで行けるブライトンビーチはみんなお気に入りの場所。
でも5月中旬のイギリスはまだまだ寒い。特にビーチは風が強くて、風が吹くたび凍えるくらいだ。私は寒さのせいで鳥肌が止まらず、この日はすぐに撤収した。寒がりにはまだ少し厳しい。
ビーチで日向ぼっこ&読書
ある日の放課後、学校からイベントのお知らせで何かのショーを見られるという宣伝があった。そのショーは『Lady Boys』といって、会場はサーカスのようなテント。学校の近くの公園に建てられていたから、少し前から気になっていた。内容はあまり知らなかったけれど、先に行った友だちが「面白くて最高だった!絶対もう一回行く!」と興奮気味に話すのを聞いて、好奇心で友だちと一緒にチケットを購入した。『Lady Boys』のチームはタイ・バンコクからやってきていて、タイではものすごく有名らしい。
ワクワクしながら会場に着くと、広場ではビアガーデンのように雰囲気いい音楽やライトに照らされて、お酒片手に沢山の人が楽しそうに会話していた。
その中を進んでサーカスのようなテントに入ると、少し暗く異世界のように照らされたステージと沢山のテーブルや椅子が並んでいた。みんなこの空間にワクワクしているのか、会場はざわざわしていた。
ドキドキわくわく
ショーが始まった! 最初からド迫力のステージ。『Lady Boys』のパフォーマーはみんな男性。だけど女性らしい格好や髪型、メイクをしていた。
だからこの名前なんだ! ただ面白いとだけ聞いて、内容を全く知らなかった私は妙に納得した。パフォーマンスやその時々の音楽に合わせて衣装やメイクを変えている。とにかく圧巻だった。たぶんこの時の私はぽかんと口が開いていたんじゃないかな。
スタイル抜群で、衣装もステージ演出もとても綺麗。とても男性とは思えない変身ぶりに、会場全体が興奮しているのを肌で感じた。
音楽によって入れ替わるパフォーマーと衣装。ステージごとに会場が飲み込まれていく。
『Lady Boys』のショーはコメディ要素をたっぷり取り入れたステージ、美女たちが歌い踊るステージ、ネオンやステージの装飾を活かしたステージなど、多岐にわたって観客を楽しませる工夫がなされていた。
お笑いシーンでは観客をステージに巻き込んで、ときには爆笑が起こる。そしてすべてのパフォーマンスで指笛や拍手、そして歓声がやまないほど、楽しい時間だった。
ショーの終盤。知らぬ間に観客が踊りながら大きな一つの輪になっていた。
会場内を出ても、会場内とステージの独特な雰囲気が抜けずにずっと余韻が続いている、不思議な感覚だった。お酒を飲みながら見たのも楽しめた1つの理由かもしれない。
間違いなく私の中で記憶に残る、大胆で新鮮な出来事だった。そしてもちろん、LGBTQに関心、理解を深める一つの良い機会にもなった。
みんながお互いにリスペクトし合う世界はなんてかっこいいのだろう。
Pestoというバジルのパスタ
帰りに美味しいイタリアンのお店に寄り、お気に入りのパスタを食べながら友人たちと感想を話し合った。よかったなぁ〜。
機会があればバンコクの本場で観てみたい。
もしかするともっと大きなステージなのかな?
考えるだけで楽しくなる。
皆さんもよければぜひ。
つづく。
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Utano Katayama
2000年生まれ、京都在住の大学生。自分探しも兼ねてイギリスのBrightonという海沿いの街に留学中。イギリスのカルチャー、世界観にますます惹き込まれている日々を綴った"As I Like It"をContainerにて連載中。自慢できることは何でも食べられること。食、アクション映画が好き。