Greenfields I'm in love #49

ルーク!おひさしぶり。

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2021.09.24

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身の大学生、Aya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#49

イギリス英語が好きになったきっかけは二つある。ひとつは“skins”というイギリスのドラマ、ブリストルのクレイジーな高校生たちが主人公。ちょうど自分が高校生の頃、セリフを暗記するほど繰り返し観ていた。
そしてもう一つは、オープニングで17歳の頃からずーっと続けていたアパレルのアルバイト。ホリスターというお店。店長のルークがイギリス出身だった。

ホリスターの話を少しだけ。
オープニング当時の社員の半分は海外からきた社員で、ルークもその1人だった。大阪に来る前は、横浜の店舗で働いていたから、もう3年近くこっちにいた。
さぞかし日本語ができるんだろうと思うかもしれないけど、ルークをはじめ、外国から来たマネージャーは、在日歴関わりなくみんなほとんど日本語を話さなかった。話せないというより、話さないのだ。
英語を話すマネージャーの下で働くアソシエイト(アルバイト)は、話せる人も、そうでない人もいたけど、彼らは話しはしなくても意味はわかっていたりするし、みんな仲良しでお互い補い合っていて、不思議とそんなに弊害もなくコミュニケーションが取れていた。
そんなルークの好きな日本語は、“気をつけろよ”、 “良いお年を”、 “お大事に”の三つ。理由は知らないけど、絶妙なチョイスがなんだかかわいい。兎に角とっても紳士でやさしいルークなんだけど、時折子供みたいな悪戯したり、たまに超自由だったり、彼はいろんな顔を持っていた。
わたしはといえば、そんなルークが大好きで、彼の話し方もまた好きだった。彼とおしゃべりがしたくて一生懸命英語を話した。はちゃめちゃなわたしの言葉を、彼もまたきっと頑張って理解してくれた。彼、そしてこのアルバイトは、わたしが英語を話せるようになりたいと思ったきっかけであり、冒頭にも言ったように、留学をイギリスにした決め手でもあった。

そんなルークとのお別れは留学へ行く一年前、彼の帰国が決まった時だった。笑顔で大きなハグを交わしていつものようにお別れをし、いや違う、もうこれが最後なんだと気がついて、寂しくて寂しくてポロポロ涙が出たのを今でも覚えている。

涙涙のお別れをした割には、留学がイギリスに決まった時も、いざイギリスに着いたときも、わたしはルークに連絡すらしなかった。自信がなかったのだ。もう少し話せるようになってから、そうして半年たった頃、ほんのすこーしだけ余裕ができたわたしは、ルークのお誕生日メッセージに、実はイギリスにいる、と書いた。

ルークはわたしの突然の報告にとってもびっくりしていた。トントン話が進み、すぐ会うことになって、ついに私は彼と再会することになった!

彼はわたしを、新しい職場へ案内してくれた。オフィスのあるmonument stationは、東京の丸の内みたいにいろんなビルがそびえ立つオフィス街だ。送られてきた住所へ向かうと、彼のオフィスは中でも特別大きくて立派なビルにあった。

程なくして、建物の奥からルークが出てきた。ホリスターの時から何も変わりなく、相変わらずのTシャツにチノパン姿のルーク。「あやー!」と独特のイントネーションで呼び、ニコニコと笑う彼を見たら、ドキドキしていたわたしの緊張も嘘みたいに解けた。
ルークのオフィスは本当に素敵だった! 開放的な空間には、色んな高さや形のインテリアがあって、いろんな人が自分の好きな場所でお仕事していた。ルークもきっと大好きなオフィスで、嬉しそうに端から端まで案内し、"彼女はあやで、日本で働いていたときの仲間なんだ!"と案内してくれる。一通り案内をしてもらった後は、最上階の1番眺めのいいところで、オフィスにあるビールサーバーで注いだビールを飲みながら沢山おしゃべりした。

机にあるのはルークが入れてくれたビールだ。

途中からは、さっき挨拶した女性2人も一緒に。

ルークのパソコン。

ルークは今、イギリスに戻れてとっても幸せそうだったけれど、同時に日本のこともホリスターのこともずっと大好きで、いろんな思い出を振り返っては「これ覚えてる? これも覚えてる?」と懐かしがった。
彼の日本好きは同僚からもお墨付きで、ルークが日本にいた時間は、完全に彼のアイデンティティの一つになっていた。きっと彼が昔イギリスのホリスターに入社した時、日本へ行くなんて想像もしてなかったはず。
巡り合わせとか、偶然って本当に怖いくらい人生に影響してるんだ。
わたしにとってルークをはじめ、いろんな人との出会いがそうであったように! 人との出会いやタイミングって、1番大切だとおもう。

これからルークと働くことは、多分もうない(分からない、あるかもしれない!あって欲しい)けど、会って喋ったら、環境の変化や時間の経過を感じさせない、昔のことなのに昨日のことみたいに感じさせる変わらない温かさや愛があった。
ほっこりしながら家に帰った。わたしのルークへの愛も、何一つ変わらず、ずっとずっと大好きなマネージャーだ。


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