Couch Surfing Club -西海岸ロードトリップ編- #57
Prosciutto
Contributed by Yui Horiuchi
Trip / 2023.08.31
#57
アップダウン激しく、旅の終焉に相応しいエンディングで出発の日の朝を迎えた。
SFOからのフライトは深夜23時の予定。
片道5時間かけてのサンフラン入りまでは時間がある。
時刻は午前8時、さあ出発だ。
朝ダイニングテーブルに置かれたままのボロ負けした友人のスコアの書かれたノートとこの滞在で大変お世話になった体温計。
寝心地最高のアメリカンベッドとソファに別れを告げて家を後にする。
コロナ療養中もよく散歩に出かけた沼地を抜けてMckinleyvilleにもさよならだ。
見慣れた景色が走馬灯のようにウィンドウ越しに流れていく。
北カルフォルニアといえば有名なビッグフット、このド派手な店構えを通りすぎると縦に長いカリフォルニア内でも北に来たなと思う。
今回は帰り道なので南下しながら、北カルフォルニア特有のレッドウッドに見送られ復路を進めた。
行きにも立ち寄ったペグハウスの背の高かったひまわりはすっかり枯れてしまったようで、うつむきながら夏の終わりを告げているようだった。
トイレ休憩をすればSFまではもう道半ばだろう。
昼食のグリルドチーズをTo goして車に戻る。
時刻は14時過ぎ、4時間はかかっているが、事故渋滞もなく天気にも恵まれかなりスムーズにSF入り。
ロビン・ウィリアムズ・トンネル。
そう、あの俳優のロビン・ウィリアムズだ。
サンフランシスコのゴールデンゲート・ブリッジと北部マリン郡の間にあるトンネル名。彼が他界してからこの名前がついたそう。
ここを通り抜ければ「ザ・SF」な景色が一望できる。
右手の道を進めばトレイルがあり、ゴールデンゲートブリッジ全体が収まるフォトスポットがある。
わたし達は道なりに直進しそのままゴールデンゲートブリッジを目指した。
これが片道通行料およそ$8の吊り橋の眺め。笑
橋を降りてすぐのビルボード広告を見て、友人が
「あの広告見るとサンフラン入りしたなって感じめっちゃする」と言う。
なるほど。笑
Marina Districtに入り、友人のために取っておいたペットOKなモーテルに先に車を停めに寄った。
その名もMarina Motel
手入れされた花々に覆われたアットホームでとても可愛らしいモーテル。
一階スペースがパーキング、2階が個室というコンドミニアムのようなモーテル。
長期滞在に重宝しそうだ。
部屋の準備ができていたようなのでシャワーをさっと浴びて街歩きの支度をする。
犬にリードをつけて一同海岸を目指すことにした。
マリーナ地区からすぐパレス・オブ・ファインアーツが見えてくる。
中世の気品漂う緑鮮やかな芝生や草木に覆われたパレス・オブ・ファインアーツは、『フォレスト・ガンプ』や『ザ・ロック』の中にも登場するアイコニックな建物だ。
実は『スター・ウォーズ』のR2D2はこの建物の形をモデルにしていると言われ、それもそのはず、スター・ウォーズシリーズを製作したルーカスフィルムは、なんと同じマリーナ地区にあるのだから。
近くで見るとすごく荘厳だけど、遠目に見ると確かにR2D2のように見えるかも。笑
パレス・オブ・ファインアーツを通り抜けビーチとの間に停めてあった車。
いいステッカー。
信号を渡ればクリッシーフィールドのイーストビーチに着く。
ゴールデンゲートブリッジを一望でき、みんな思い思いにチルアウトしてた。
特にこの上の写真のおじさんは愛犬の前で一心不乱に腕を上げ、腰をふりふりどこから見ても楽しそうだ。
それぞれがカップル家族、友人と一人でも憩いの時間を満喫している。
中洲で保護犬のお友達を見つけて走りまわったり犬も楽しそう。
絶対水には入ることはなかったけど。笑
自前のチェアも持ってきちゃうあたり、わたしも真似したい。
ビーチを一周してパレス・オブ・ファインアーツに戻ってくる。
この位置からだとさらに足の長いR2D2に見えるなと納得してしまった。
散歩を続け犬を一度ホテルに連れて帰ってから腹ごしらえすることにした。
ホテルすぐ近くのChestnut streetを行ったり来たりして、シアターの居抜き物件がレストランになってたりするのを見つけた。かわいい。
わたし達はピザが食べたかったのでRoma Antica という活気のいいお店の軒先へ向かいテラスに座らせてもらった。
メニューを指差しながらお兄さんに
「プロセットピザください」
と友人が言ったら
「プロシィュウーット!ね!」
と訂正されてしまう。笑
プロシュートが正しいイタリアンの発音なんだな。
オプションでルッコラの葉をたくさん乗せてもらった。
旅立つ前に今回の滞在で最後に会う約束していた人たちに会いに行くことにした。
待ち合わせ場所はAlta Plaza Park。
犬もピックアップしてお散歩だ。
ピラミッド上に形成された公園のてっぺんからSF市内を一望する。
anna magazine の読者の人は覚えてるだろう、The North FaceのロゴをデザインしたDavidと彼のパートナーPamelaに似顔絵を渡したくて無事ミッションを遂行することができた。
近況や関心ごとなど矢継ぎ早にキャッチアップする。
一緒にごはんに行けたらと思っていたけど、残念ながら腹痛がきたため、わたしは一時公園のトイレへと退散。笑
急ぎ別れを告げたあとトイレから出てきたら友人の犬と同種のリッジバッグがいたので、友人と友人の犬を呼びつけて飼い主トークにジョインさせてもらった。
まだ8ヶ月の女の子らしい。
どうりで毛並みもホワホワ、瞳もキトゥンブルーのような青い目で撫でてと全力で仲良くしてくれた。
陽も傾き始めた18時半。
街並みを眺めると皆羽織や長袖長ズボンで、ノースリーブ、短パンなわたしは寒いわけだ。
さむいさむいと小躍りしながら歩を進めて西へと沈んで行く太陽の方を見た。
路駐してある車の影が長く伸びている。
北に位置するマリーナ地区のあたりはまだ明るそうだ。
出発まで時間はあるので寒すぎるから一回着替えるためにホテルに立ち寄った。
夜に戻ってきたらネオンがついてたモーテルの看板。
ブレードランナーを思い出す。
20時過ぎ、最後の最後にスポーツバーで乾杯して空港に送ってもらう時がきた。
ここに来てもトラブルはつきもの。
寄ろうと思っていたガソリンスタンドに長蛇の列が。
仕方がないので高いガソリンにお金を払うことで時間を買うことにした。
最終日も充実した滞在で幕を閉じることができた。
次回、SFOから約22時間かけたフライトで羽田に帰国します!
どんなハプニングが待ち受けてるか、最終話どうぞお楽しみに。笑
アーカイブはこちら
Tag
Writer
-
Yui Horiuchi
東京を拠点に活動するアーティスト。幼少期をワシントンD.C.で過ごし、現在は雑誌のイラストや大型作品まで幅広く手掛ける。2015年に発表した「FROM BEHIND」は代表作。自然の中にある女性の後ろ姿を水彩画で描いた。自然に存在する美や豊かな色彩を主題にする彼女の作品は海外でも評価されている。