As I Like It #23
本物のカルボナーラ
Contributed by Utano Katayama
Trip / 2024.06.03
#23
本物のカルボナーラとの出会い。
先日学校でスイス出身の友達ができた。私はフェデリコと呼んでいる。
スイスには、4つの言語圏があるみたいで、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語圏があるという。スイスは行ってみたい国リストにもちろん入っているけれど、ひとつの国なのに場所によって話す言語が違うって、なんか不思議で面白い。
ちなみにフェデリコはイタリア語圏のスイス出身らしい。私よりも3つほど若い彼の話が面白くていろいろと聞いていると、「5人兄弟の長男だから家族にいつもご飯を作っているんだ」と教えてくれた。
「僕はホームステイしているから、キッチンがどこかで借りられるなら最高のパスタを振る舞うよ!」と言ってくれる。
そんなことを言われたらパスタが食べたくなって仕方ないよね!(笑)
近くにいた他の友達も食べたかったみたいで、その流れで家のキッチンを貸してくれることになった。早速私たちはスーパーに買い出しに。
いろいろ買うのかな? と思っていたけれど、フェデリコがカゴに入れたのはスパゲティと卵、ベーコンとペコリーノチーズのみ。思わず「これだけ?」と聞くと、「うん」と言うので私は勝手にオレンジジュースやらフルーツをそっとカゴに滑り込ませた。
材料から、これは絶対カルボナーラだ! と思ったけれど、ほんとにこれだけで足りるのか? と内心は不安いっぱいのまま、バスに乗り込んで友達の家に向かう。
着いてすぐ、早くみんなに手料理を食べて欲しかったのか、ゆっくりする間もなくパスタの袋を開けはじめるフェデリコ。思いの外早く開始されたけど、みんなの口はもうイタリアンの気分だ。他のみんなも興味深そうにキッチンを囲んでいた。
「大丈夫大丈夫、すぐできるから。」とスパゲティを茹でてくれている。
どうやらカルボナーラは時間が勝負らしく、キッチンがバタバタしている
レシピも何も見ずに手慣れた手つきでパスタをちゃちゃっと茹でて、細かく削ったチーズと卵を合わせる。その手つきからして、普段から料理に慣れているのは一目瞭然だった。
ベーコンもしっかりと炒めて、最後にスパゲティとさっき用意したソースを絡めて出来上がり。
「できたよー!」とみんなを集めて、じゃじゃーんと自信満々の笑みで見せてくれるフェデリコ。
出来立てのカルボナーラはとっても美味しそう! チーズの香ばしい香りがぷ〜んと漂うキッチンにいるだけでもう満足してしまいそう。
考えてみると、お家で作ってもらうカルボナーラは何気に初めてかもしれない。大抵お店で食べることばかりだったから何か新鮮な気分だ。
せっかくだからといって、みんなでお庭にテーブルを用意して外で食べることに。
お母さんに教えてもらったというカルボナーラは麺の硬さが絶妙で、チーズの風味も塩加減も抜群だった。イタリアの家庭料理は基本的に生クリームや牛乳を使わないみたい。だから意外にもあっさりと食べられた。
卵とチーズ、胡椒だけで出来上がるから、とってもシンプルで奥深い。みんなこの少ない材料の中で自分流にアレンジするんだ。
みんな「ありがとう」と本日のシェフのフェデリコに感謝して完食した。
お腹いっぱいになって、散歩がてら学校の近くの公園へ出かけた。
大好きな公園。緑やお花がいっぱいで、おとぎ話に出てくるようなお庭が広がる。
綺麗な夕焼けの下、みんな芝生に寝転がってチルタイムを楽しんでいる。このゆっくりとした時間の使い方は日本にいるとついつい忘れてしまうから、ずっと大切にしたい。自然って無限のパワーをくれるし、要らないものを身体の中からスッと排出してくれる気がする。
公園の側のコンビニでビールをゲット。
みんな瓶の栓抜きを持っていなかったから、友達が歯で開ける特技を見せてくれた。
「ほら、すごいでしょ?」と彼は自慢げに言うけれど、ただ見ていて心配になるばかりだ。そのままみんなで笑いながらビーチに向かった。
穏やかな海に夕焼け。この景色好きだなあ。
フェデリコはイギリスに来たばかりだから学校のことを色々と話したり、お互いの国のことや文化など、話は尽きなかった。結局辺りが真っ暗になるまでみんなと話した。
最近は陽が落ちるのも日に日に遅くなってきていて、1日が前よりも長く感じる。同じ24時間なのになぜか得した気分になるから、この季節になると少し嬉しい。
帰りに寄ったVIP Pizza Brighton。
ブライトンに住んでいる人なら絶対みんな知っているくらい、美味しくて有名なピザのお店。超ボリューミーだけど本当に美味しいから、ブライトンに行った際はぜひみんなにも食べてもらいたい。
イタリアンな1日も悪くないな。絶対に、またパスタとピザが食べたくなる予感がしてたまらない。
つづく。
アーカイブはこちら
Tag
Writer
-
Utano Katayama
2000年生まれ、京都在住の大学生。自分探しも兼ねてイギリスのBrightonという海沿いの街に留学中。イギリスのカルチャー、世界観にますます惹き込まれている日々を綴った"As I Like It"をContainerにて連載中。自慢できることは何でも食べられること。食、アクション映画が好き。