To Me, Somewhere in the World #102
旅は繰り返す、そしてまた旅に出る
Contributed by Yoko
Trip / 2023.11.08
未知なモノすべて知らないことを知りたい、自分に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。
#102
旅の直前に特定の土地についてやけに詳しくなり、帰路に着く頃には少し忘れている。そんなサイクル。旅を繰り返し、そんなサイクルをまた繰り返した。今、ソウルへ向かう機内でこれを書いているのだが、ソウルについてすっかり詳しくなった(つもり)の今の脳内情報も、数日後にはほとんど消えてなくなっているのであろうから少し笑える。ソウルは複数回訪れているが、その度に土地勘を思い出し、新しい発見をして、きっと何か楽しいことに出会えそうな気がしている。
そして出国までのいろいろは、やはり何度でもワクワクする。特に成田は初めて出国した場所なので、その時の気持ちを思い出して何度でも新鮮な気持ちになれる。
成田空港のラウンジにて。
さてソウルにはまだ到着していないので、北海道旅の振り返りを一つ。コロナ禍を経て仕事をしつつ移動する旅ばかりのため、旅のスパンが長くなったのだが、それによって何が起きるかというと、かなり暇な時間が生まれた。暇な時間が生まれると何をしたくなるかというと、余計なこと、なのであった。バスや車で行ける道を歩いてみたり、何も予定を入れずに宿でとことんのんびりしてみたり。もちろん元から余計なことをするような旅が好きな人もいると思うが、自分にとっては新鮮な楽しみ方で、これはまた新しい楽しみ方だなと思っている。
MOKMOKベース。
10月、川湯温泉では硫黄山までの道を歩いてみた。いつも車でしか来ない、摩周湖や森のホール(ケーキが美味しいカフェ)のついでに来るような場所へ。リニューアルされたと知って、来てみたいと思っていたのだが、今までと同じ景色のはずなのに、建物の窓が変わっただけで「ここを目的地にしたい」と思うほど素敵な場所になっていた。全面の大きな窓。バリバリとカラを割って、ガムテープを巻きつけながらカラをとって、それから食べるゆで卵。朝一番に行ってみたら、景色も空気も独り占めで、とんでもなく贅沢な気持ちになれた。
紅葉はじめの道中、まっすぐな道を通るのは車だけ。歩いている人は一人もいない。丸ごと北海道らしい、そんな広大な土地の中に一人で歩いていると、どんなこともちっぽけに思えるような気がした。冬が来る前、最後の訪問になったか。春が来たら、また行きたい。硫黄山を独り占めしてから、美味しいケーキを口いっぱいに頬張るために。あー、お腹すいた。
川湯温泉駅。
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Yoko
長野在住、北海道出身。世界一周予定が新型コロナウイルスの影響で中止に。東京から葉山、長野へと拠点を移しつつ、国内外を自由に旅している。レバンガ北海道(#11)とアイスが好き。フリーランスのWebライター・編集者。