Techno

Flohmarkt am Wochenende!! #9

Techno

Contributed by Kyogo Hidaka

Trip / 2023.07.31

日本から飛び出したくて2週間後に行くと決めたドイツ・ベルリンの街。肌で感じた現地の“mood”、そこには自分が知らずに求めていた“余白と自由”があった。フォトグラファー・Kyogo Hidakaさんが今でも大切に持ち続けている、あの頃の色褪せない記憶たち。

#9


今になって、使われなくなった駅がどの辺りにあったのかを思い出すことができないが、もしあの時知ることもなく見つけていたら、きっと間違えて利用していたかもしれない。

そのくらい外から見ると他の駅と区別がつかない入り口のクラブだった。
地下への階段を下っていくとホームに続く道の手前にチェッカーの人が立っていて、その人をパスすると中に入ることができた。
フロアは、ホームで人が待つ場所にドリンク等のカウンターが設備されていて、線路側は埋め立てられ、2つのブースに分けられている。
床や壁、天井のアーチの名残はそのままに。至る所で駅を感じる空間の中、テクノ音楽が流れる。満員電車のように人の溢れるブースには、皆が思い思いに踊っている。異様な雰囲気が醸し出されていた。

残念ながらその場所は撮影が許可されていなかったため、カメラを持ち込むことはできなかったが、その光景は僕の目にしっかりと焼き付けられた。







当時の僕は、昼と夜で持ち歩くカメラを分けていて、夜はマウワーパークのフリマで購入したシェーバーで有名なBRAUNが昔発売したコンパクトなフィルムカメラをポケットに入れていた。



テクノ文化が盛んなベルリンのクラブはチェックが厳しく、基本角ばった固いカメラのような物は入口で預けなければいけないことがよくあったため、比較的パスする確率の高い小さくて角の取れたデザインのカメラを持つようになっていた。そもそも駅のクラブのように撮影禁止の場所も多かったが、禁止していない所もあり、上手くパスして中に入れた時にはクラブにいる様々な人たちを観察してよく撮影していた。





あるクラブで1人の男性が音楽に没頭して自分の世界に入り込んでいる写真がある。



彼のことは撮影する少し前から観察していたが、その場から全く動かず、頭を抱えながら下を向いて少し上下に揺れていた。周りには仲間内でお喋りをする人や激しく踊る人がいる中、彼はじっとしたままで、きっと目も閉じて耳だけに神経を集中させ、音に合わせて揺れていたのだ。



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