昼下がりのパリ、最高の日、中編

A Spell On You #14

昼下がりのパリ、最高の日、中編

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2024.07.30

フォトグラファー/ライターの上野文さんの新連載『A Spell On You』。2022年の秋に渡ったドイツ・フランクフルト、フランス・ニース&パリでの様子を、彼女の“トキメキ”が詰まった写真と共に綴ります。

#14


まりかとのヨーロッパ旅行、最終地点パリ2日目。

この日はお買い物の日と決めていたから、とにかくあちこちの路面店に入って物色した。2人で訪れる5回目のパリ、あちこちに思い出があった。例えば、イブサンローランの、リヴドロワ。ここも大好きな思い出に挙げられるとっておきの場所だった。

2019年、当時パリで出会った(そしてわたしの連載ではお馴染みの)ねるの、お友達のたかしさんがリヴドロワに勤めていた。ここは、他のお店とは少し違って、アート、インテリア、本にもフォーカスしたまさにアート空間。たかしさんは、わたしたちをお店の隅々まで案内して、2階に隠されたVIPルームにまで入れてくれた。そこに腰掛けて、ゆっくりおしゃべりした時間は、特別な気分でとっても楽しかった。パリに長く長く住むたかしさんが、フランス人が歌うように話す姿に惚れたんだ、と言っていたのを鮮明に覚えている。また、その時わたしは、彼の日本語でさえも、フランス語みたいだ、と思ったのだった。


久々のそのイブサンローランには、もうたかしさんの姿はなかったけど、3年前の記憶と変わらないそのお店にはやっぱりドキドキした。


あと、リブドロワの好きなところは、おもちゃみたいな小物がいっぱい置いてあるところ。コンドームとか(日本製らしい)、鉛筆セットや小さなスピーカー、ライターなど、とにかく可愛いアイテムがたくさん売られている。このライターがとにかく可愛いのだけど、昔、選びきれずに何個も買ってトランクに入れて日本に帰ったら、開けられて全部なくなっていた苦い思い出がある。(しかも、大事にまとめてしまっていたサンローランのライターは丸っと無くなっていたのに、その辺のコンビニで買った1ポンドくらいのライターは、キャンドルと一緒に箱に入れていたから、見つからずに済んだ)
また何個も買って取られて悲しい思いをしたくないけど、可愛くてまたも選びきれない……と、苦渋の決断の末に2個だけ選んだ。

それから、まりかは白のキャップを買うか悩んでいた。起毛が付いているし、白だし、汚れちゃいそうだけど、とっても似合っていた。わたしたちはお互いのお誕生日プレゼントをまだあげていなかったし、今年のお誕生日にとプレゼントしてあげた!


嬉しそうなまりか


そう言えば、この日わたしはTabiのヒールにちょっとボリュームがあるズボンにシャツ、まりかはピンクのトップスにドット柄のベルトにフレアなスカート、お会計をするときは、隣で嬉しそうにする彼女(まりか)と、粋なことをする彼氏(わたし)みたいで嫌だった(笑)。明日は可愛いスカートを履こう、と心の中で思った。

そのあとも、お散歩&お買い物は続く。その間かわいい人を見つけるたび、声をかけてはスナップを撮った。






大好きなアクネで見つけた服。可愛かったけど、悩んだ挙句買うのはやめた。


そのあとはカフェへ。
パリにはいろんなカフェがあって、見つけるたびにピンを立てるけど、限られた日数しかないとなれば、結局行くのは前から行っていて好きだったところばかり。日本でもそうだ。ごはんもカフェも、もちろん新しいところに行くのも好きだけど、結局心地良いのは慣れ親しんだ好きなお店。この日も、わたしたちのお気に入りのカフェへ行った。わたしたち史上、世界で一番美味しいモンブランが食べられる。

好きと言っても、昔はホールケーキをテイクアウトで買って、お家で何日かかけてみんなで食べていたから、お店の雰囲気はあんまり知らなかった。いざカフェエリアに入ると、そこはわたしが入りづらいと思うほどガーリーだった。あまりにも可愛いし、さっきから今日の自分のコーデに男らしさを感じてしまっていたから、またも居心地が悪くなりながら、ケーキを堪能。


モンブランは季節的にやっておらず、いちじくのコンポートみたいなのを食べた。これがまた、ほっぺが落ちるくらい美味しかった。




#Gloomy day All day

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