Shit!

Alles Gute #16

Shit!

Contributed by meg

Trip / 2024.06.17

悩み事が尽きない日々をリスタートするため選んだ街は、ドイツ・ケルン。自分でもまだ分からない「何か」を求めて、ときめく音の鳴る方へ進もう。「もうワクワクすることしかしたくない!」と心に決めたmegさんが綴るドイツ留学日記。

#16


ベルリン3日目。
朝7時頃。誰かにお尻を触られてとっさに「Shit!!」と叫んで起きる。

最悪の目覚めだ。
寝ぼけていたからはっきりと顔は見えなかったけど、キャップをかぶっていたことだけはわかって、昨日の晩御飯で隣に座っていたコロンビア人だと思った。
はじめはお尻くらいで、とも思ったけどこの状況をそのままにしておくことはできないと思い、リビングにいたFrancescoに相談すると、彼は真っ先に「こんな状況に合わせてしまってごめんね」と謝った。同じホステルにステイする人がいい人ばかりで良かった。

宿は安いだけで決めていけないと身をもって学ぶ。
これは後から仕事場の人に聞いた話だけど、ベルリンでは男に混じって女1人で宿泊するのはヤる気があると勘違いする人もいるみたいで、実際に他の人がいてもコトがはじまってしまう、みたいなことがあるみたいだ。それにしても、少しにこやかに挨拶をしただけで気があると思われるなんて本当になめられているし、オーナーに連絡して部屋を変えてもらえることになった。

その後、本屋やギャラリーをゆっくり巡ろうと、友達が教えてくれたAlexnderplatzへ向かう。
この日、国際女性デーで祝日だったということを私はすっかり忘れていた。どこまでも計画性がなくて困る。空いている店もないのでとりあえず行くか、とEast Side Galleryの方まで向かった。



Ost Berlin の駅は、旧東ドイツのどんよりとした雰囲気が少し漂っていて、直感的に好きだと思った。駅のホームの小さな花屋さん。工事中の街。団地のように並んでいるアパート。Berlinの街の至る所に東ドイツの匂いが残っている感じがしたから。





Berlinに来てまで……と思いつつ安心できるマックで昼ご飯を食べる。なんか今の自分っぽいなと思った。

East Side Galleryは思ったより長くて、歩いて先に行くまではかなりの時間がかかった。
正直こんな感じかと拍子抜けするところもあったけど、ベタに2人がキスする絵には感動した。



後から調べてみると、この絵は「Mein Gott, hilf mir ,diese tödliche Liebe zu überleben(神よ、この死に至る愛の中で我を生き延びさせ給え)」という題で、1979年にドイツ民主共和国建国30周年を祝う式典の中で、当時のドイツとソ連の首相がハグをした写真から制作された作品らしい。当時の社会主義国家の歓待の挨拶として男性同士のハグやキスは一般的なものだったみたいだ。

East Side Galleryは川沿いにあって、広場のような場所で入れ替わりにシンガーがライブをしている。天気がいい日は、昼間からビールを飲んだりしているだけで気持ちがいい。



夜。友達とホストマザーが教えてくれたバーへ。
店主にホストマザーの話をすると、彼女の写真が入り口すぐそばの一番いい場所に飾られていることを教えてくれた。
その後も色々と話していると私のことを気に入ってくれたみたいで、グラスにマッチ、ショップカード、電話番号まで渡され「またBerlinにくるなら俺に連絡しろ!」とまで言ってくれた。
Berlinは世界中から人が集まる街。英語を話せる人は多いけど、ドイツ語を話せる人は少ないのか、その人がドイツ語を話せると分かるとすごく喜んでもらえている感じがした。



友達とは日本語で話した方が楽なのに、最終的には英語とドイツ語で話していて、なんだか本当によく分からないけどいい夜だった(2人とも変に熱いところがあるんだと思う)。

寝る前、インド人のルームメイトが部屋に来て「大丈夫? 寝れる?」と声をかけてくれて、また何かされないようにと2人でドアの鍵が閉まるかチェックした。

そのあと急に「ベルリンに友達はいない?」と聞かれ、
「んー友達はいるけど」と答えると、
「私が帰るまでに息子の伴侶を見つけたくて。あなたは最初来た時から他の若い子とは違ってすごく素敵だと思ったんだけど、帰ってしまうから……」と、なんとも複雑な褒め言葉をもらった。

ベルリンのスピード感、確かに毎日何かが起こる街なのには違いない。



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