The Route #3「anna magazine編集長の取材日記」
「マグロ・コンボとヒートテック」
anna magazine vol.12 "Good old days" editor's note
Contributed by Ryo Sudo
Trip / 2018.11.28
「マグロ・コンボとヒートテック」
夜の便でホノルルからアンカレッジへ向かう。夜中のフライトの場合、昼の過ごし方がとても難しい。特にまだ序盤戦、取材のルーティンが出来あがってないこともあって、何から始めたらいいのかうまく考えがまとまらない。
現地ですでに取材を進めているチームに同行するか迷ったが、結局明日から共に行動するメンバーと一緒にワイキキ周辺で1日のんびり過ごすことに決めた。
レンタルボードを借りて、サーフィン。サメの出現が怖くて、ここのところすっかり「海水浴マン(サーファー風)」になっていたので、サーフィンは久しぶりだった。
「海水浴で海に入るのと海でサーフィンするのとは全然違う」
カメラマンのそんな言葉がとても印象的だった。サーフィンの後は疲れていても頭がとてもスッキリするし、何となく足取りも軽くなる。ほとんど波には乗れなかったけど、楽しかった。

荷物を置く場所としてホテルの部屋を取っていたので少し休もうかと思ったけれど、たった1日だけのハワイ滞在がどうしても名残惜しくて、ひとりでワイキキビーチまで歩く。ビーチに座ってヤシの木がザワザワとゆれる音を聞いていたら、いつの間にか口元が緩んでいた。
やっぱりワイキキは特別だ。
トランクの半分は、冬物で埋まっていた。だってアラスカだから。とにかく寒いイメージだったので、ヒートテックの上下にフリース、ダウンジャケットにニットキャップ、大量のホカロンまで用意していたのだけど、アンカレッジの気温はどうやら15℃くらいあるみたいだった。
…なるほど、過ごしやすい気候だね。
どんな時でもスマートに旅を楽しむ「旅慣れた大人」なんて、本当にいるのだろうか。
とにかく暑いホノルルで、長袖長ズボンを着た僕は汗だくで空港へ向かった。
アメリカ国内線の機内食は「高くてマズイ」が基本なので、途中で人気の「マグロ兄弟」の海鮮弁当を購入する。空港の荷物検査で弁当の中までチェックされるのだけど、係員が「これはうまそうだな」と褒めてくれた。いい気分。

ゲート近くの椅子に座って「チラシ・コンボ」を頬張る。回り道をしてでも美味しいお弁当を買ったのは大正解だった。
どんな状況でも「別に何でもいいや」とならずに、ベストなチョイスを探すことってとても大切だと思う。特に取材中の食事って、旅のメインイベントのひとつだから。「マグロ兄弟」に立ち寄るかどうかについてケンカさながらに真剣に話し合ったこのチームは、やっぱりプロフェッショナルだ。
空港で2つの取材チームが合流したのだけど、自分の気遣いのなさが原因で、大事なチームのみんなを嫌な気持ちにさせてしまった。長旅にはこうしたピリッとなる瞬間がどうしたってつきものなのだけど、のんきにハワイのムードを楽しんでいたので、思いがけない展開にちょっと戸惑ってしまった。
とりあえずそのまま飛行機に乗る。到着してからちゃんと話し合おう。
それにしても若い頃に比べて、自分がとても気難しくなった気がする。もう少し長くハワイにいたら、気持ちも緩んでいたのかもしれないけど。
到着は朝6時だ。
少しだけでも眠っておかないと。

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Ryo Sudo
anna magazine編集長。制作会社Mo-Greenで数多くの広告制作、企業ブランディングなどに関わる傍ら、"anna magazine"、"sukimono book"などペーパーメディアを中心に独自の視点で日常生活を再編集し続けている。












































































