finding unconditional love

London, Can you wait? #1

finding unconditional love

Contributed by Chika Hasebe

Trip / 2024.02.16

ロンドンに来てみた。実際に住んでみたら、自分は何を感じてその先に何を求めるか見てみたかった。ロンドンに拠点を移した会社員・Chika Hasebeさんによる、社会との体当たり日記。現在と過去を交互に綴ります。

#1


今回は最近の話。

いつも聴いているデュオJockstrapの一人をマッチングアプリで見つけた。プロフィールを見る限り、なりすましではなく本人っぽい。ロンドンってそんなことあるの!? と、住み始めて半年以上経っても定期的に衝撃的なことに出くわす。

同じテンションの反応がもらえることを期待して、日本の友人の一人に報告してみた。その友人とは最近久しぶりに会話した。自分が渡英する前、「俺もパリ行きたいんだよね」と言っていた以来だ。いつ来るんだろうなと考えてみたりみなかったりするうちに、ついに渡仏すると連絡が。それがついこないだのこと。今はヨーロッパで再会するのを楽しみにしている。



そんな彼は現在もっぱらフランス語の習得中。「語学習得の近道は、恋人」という話題になった。言語でつまずくところがあっても、最後まで自分の話を聞いてくれるのは、自分に愛を注いでくれる人ならではの行動だ。わたしの英語力も前の彼氏に助けられた部分が大きいので、誰かとこの話をするたびに、首をブンブン振って同意している。

「親日家な人とアンコンディショナル・ラブしたいぜ」

と友人から一言。「アンコンディショナル・ラブ」なんて実生活で口にしたことがなかった言葉だったので、なぜかとっても新鮮に聞こえた。なんてったって音がいいね。ちょうど年始だったこともあり、今年のわたしの抱負は「探せ! アンコンディショナル・ラブ」になった。


Love One Another


渡英してから、当事者同士が合意して、複数人と同時に付き合う「ポリアモリー」や、カップル外の行為も認める「オープンリレーションシップ」など、さまざまな形の恋愛関係に遭遇してきたし、いわゆる浮気も身近にあった。文字通り多様な価値観に触れることで、当然わたしの恋愛観もぐちゃぐちゃしてくるものだ。お互いがお互いのことを好きでいれば、わざわざ付き合う必要はない、むしろ名も無い関係のままで宙に浮き続けるのが一番いいのでは? と最近思い始めている。でももしかしたら来年にはコロッと「結婚した!」なんて言っているかもしれない。それぐらいに今の恋愛観はグラグラだ。

そもそも告白の文化がない西洋ははじまりがあやふやなので、どこかの段階で当人同士の認識をすり合わせるコミュニケーションが必要。慣れていないと切り出すタイミングや伝え方など、色々気を遣うことが多くて一筋縄じゃいかない。そこにさっきの恋愛観の多様さも加わるので、正式に付き合う状態になるまでの過程が日本でのそれよりも複雑に感じる。周囲の友人の話を聞いていても、自分が今恋愛関係のどの段階にいるのか探っているようなことが多い。


恋愛相談は美味しい店でするに限る


さらに複雑にする要素が、ビザの問題だ。これは日本人同士が日本で恋愛するにおいては全く考えないことだが、イギリス含め海外で生活するとなると頭にチラつかないことはない。例えばわたしのようなワーホリビザだと滞在できるのは2年の期限付きなので、その間にアンコンディショナル・ラブを見つけてしまったものなら、その先の関係はどうするのか考える必要がある。就労ビザなどの新たなビザに切り替えない場合、わたしはイギリスで生活し続けることができない。相手とは遠距離恋愛になるので別れを考えたりするだろう。

一方で、相手の配偶者ビザ、パートナービザでその先もイギリスに滞在する手段もある。就労ビザを取るのが易くないイギリスで、パートナーとのビザを取得する。期限付きの生活だと思っていた自分からしたら棚からぼた餅だ。だがそれを進めるにはもはやお互いの気持ちの問題だけではない。行政手続きが関わってくるので、恋愛関係の入口でしていたような軽い駆け引き以上に正式な議論が待っているのだ。相手の立場としても、本当にビザを取るほど責任を肩代わりしてまで継続したい関係なのか今一度考えることになるだろう。パートナーの状態では認められず、結婚しないと取得できない国もあるので、必然的に結婚を考えるきっかけにもなったりする。



今の例が関係を維持するためのビザ取得だとすれば、その逆のパターンもある。“ビザ婚”と勝手に呼んでいるのだが、ビザ取得のために相手を探したり、結婚したりするケースだ。イギリスよりさらにビザ取得が難しいアメリカでは、偽装結婚のビジネスが存在するという話も聞く。移民が海外で生活するのはそれほど大変なのだ。

わたしは最初にビザ婚の話を聞いたとき、他人を利用しているようで正直腑に落ちなかった。でもいざ自分が学生ではない立場で海外に来てみたとき、イギリスのような国では生活を維持すること自体が難しいからこそ、そういう選択肢もあるのだなと初めて理解できたし、当人同士が納得している限り有効な手段だと思うようになった。それに全てはビザがきっかけの関係だったとしても、時間を共に過ごすにつれてビザ以上に将来を考えるようになることも当然ある。



とまあ色々な考慮要素がある海外での恋愛。結局のところなるようになるという精神で身を任せるのがいいような気がするので、今年は頑張らずに無償の愛を探しに行ってみようかな。







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No Sleep Ever
True Feeling in Ireland


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