FIND YOUR OWN #8
蜂に刺されるという自然からのサイン
Contributed by KYOKO
Trip / 2024.02.26
2022年の年末、ニュージーランドからすべてがはじまった。暮らすように旅をするKYOKOさんが教えてくれる、「無期限無計画旅」のススメ。
#8
ニュージーランド北島の北部に位置する「Kerikeri / ケリケリ」に来て5日目。ここらへんにはとっても綺麗なビーチがあると聞いていたので行くのを楽しみにしていた。周りに何もないジャングルみたいな場所に5日間いただけで、とっても海が恋しい。なんならこの5日間でわたしにとってどれだけ海が大切なのか改めて思い知ってしまった。だから、そんな恋しくてやまない海へと連れ出してくれたミシェルはまさに救世主。ここ数日間のWWOOFオーナーの態度でメンタルがやられていたので本当に感謝!
ミシェルが運転する車内では、久しぶりに出る外の世界にるんるんしつつ景色を見ながらお互いの自己紹介。ミシェルはカナダ出身でわたしより2、3コ年下。パートナーのジョシュとは彼がカナダにワーホリしてる時に出会ったみたい。2人は今現在、ケリケリに土地を買って一から自分達でお家を建てている最中なんだそう。そんなロマンチックな話を聞いていたら、窓の外に綺麗な海が見えて来た!!! 丘になっていて、車で下っていくとだんだん海が近くなってくる。家を出て約10分くらい。こんな綺麗なビーチがあったなんて!
matauri bay.
今日は久しぶりの快晴、そして波も小さくて泳ぐにはもってこいの気候! 太陽の光が海にキラキラ映っているのが綺麗で、さっそく海へ飛び込む。さすがニュージーランド、いくら北へ来たからとはいえ海水はかなり冷たい。真夏なのに冷たい。ラグランの海も相当冷たかったけど、あんまり変わらない。冷たい海水なんて気にせずに結構沖まで泳いで、これ以上砂浜から離れないようにと砂浜も見つつ、海の上に浮かぶ。周りには建物がほとんどなく自然の緑と真っ青に広がる大きい空を眺め、澄んだ空気を思いっきり吸いながらプカプカ浮く。デトックスされていくのをカラダ全体で感じる。横にある丘が気になる。登れるのかな〜なんて。
ここに辿り着いた瞬間、どことなくオーストラリアのバイロンベイという街を思い出した。似てる、the passみたいな綺麗な波。今日は波が小さいけどここもサーフスポットみたい。誰も居ないからサーファーからしたらパラダイスだね。
ビーチに寝転がってミシェルとガールズトーク。そして最近のWWOOFでの悩みを話してみた。
「今すぐお家を出たいけど、次に行く場所を決めてないからどうしよう。とにかく海の近くで過ごしたいな〜」
と打ち明けるとミシェルからびっくりする返答が返ってきた。
「知り合いがここから約30分くらい北上した海辺の街で、Helpxをしてるから行けるか聞いてみるよ! 本当に海の目の前のお家だし、オーナーもママみたいに慕ってる人だからKyokoも絶対に気にいるはず!」
という、奇跡みたいな返答。
もちろん、わたしは全力でお願いした。
*Helpx = WWOOFと同じように1日数時間お手伝いをする代わりに、宿泊代と食費がタダという制度。
ミシェルとこのタイミングで出会った事も、今日この日に海へ行きたい! と心に誓った自分にも、偶然のような運命を感じた。
海水は冷たいけど、日差しはしっかり強いから海水の冷たさがちょうどよく感じてくる。たくさんお喋りして、たくさん太陽も浴びて泳いで大満足! 2時間くらいビーチでのんびりしたかな? そろそろお家へ帰る。ミシェルとバイバイした数時間後、彼女からtextが届く。
「今週金曜日にうちに泊まりに来ない?」
というお誘い。多分、わたしがメンタル的にやられているのを気にかけて少しでも今の状況から抜け出せるように提案してくれたんだと思う。今日初めましてしたばかりなのに、なんて優しいんだろう。泣きそうになった。ぜひ泊まりに行きたい! と伝えて、もう一度知り合いのHelpxの件もお願いした。
この日グッドバイブスで帰ってきたわたし。オーナーの奥さんはまた何かに対して文句を言っていて、しまいにはわたしにまで文句を言ってきた。せっかくのグッドバイブス&ハッピーマインドが台無し。とにかく早くここを出たい! 出なきゃ! と心底思った。わたしは敏感かつ周りの人から影響を受けやすいタイプなので、周りに居る人や環境はとっても重要。1度思ってしまったら、行動に移さないと気が済まない、とりあえず返答を待つ。
そんな事を考えるのに忙しくて、今日ここに新しい子が来る事をすっかり忘れていた。スイス出身で長いドレッドヘアーがインパクト大な女の子。オーナーの旦那さんの知り合いらしい。だからか、奥さんもその子には優しい態度。そんな態度をみて更に呆れた。
次の日、ミシェルから返答が来た!
知り合いのHelpxの場所に5日後に移動できるよ! という内容。嬉しすぎて、また泣きそうになった。ありがとうミシェル、やっぱりあなたはわたしの救世主。
どうやって、オーナーの奥さんにこの事を伝えようか考える。でも、次に行く場所は伝えたくなかったのでとりあえずここを出たいので5日後に出るという旨を伝えに行くと、渋い顔をされた。数時間後オーナーハウスに呼び出されると、
「ここを出る時は1週間前に教えてくれないと困る。最初に約束したはずよ? あなたの代わりの人を探さなくちゃいけないんだし」
と、まさかの展開。最初に約束なんて何にもしてないのに、こう来たか〜と。それでも折れないわたしは、「今すぐここを出ないと辛いし、もうこれ以上あなたのお手伝いはできない」とキッパリと伝えたけども許してはくれなかった(笑)。でもわたしにはそんなの関係ない。約束なんてしてないし!!!
次に移動するHelpxのオーナーのフランとtextでやり取りをして、待ち合わせのタイミングを決める。どうやら今オークランドに居るらしく、帰り道にケリケリを通るからその時にピックアップしてくれるそう。グッドタイミング! この状況から抜け出せると知って、心が軽くなった。とにかく早くここから出たい。
次の日、敷地内にあるジャングルの草刈りを頼まれた。このジャングルの中にステージを立てるらしく、ジョシュが作業を始めていた。
川の上にかかるこの橋を抜ける。
作業をしているジョシュに、ミシェルと出会わせてくれた事と金曜日にお家に招待してくれたお礼を直接伝える。いつでも優しい表情の彼は仕事も早くて、気が利いて素晴らしい人。ここでの経験は辛くて何でここを選んで来たんだろうと自分を責めたくなったけど、それは間違えなくジョシュとミシェルに出会うためだったと確信した。出会わなければ次の場所も決まらなかったし、何より心がハートフルな2人に出会えてわたしの心も豊かになったから。
ジャングルで草刈りを始めて道を進むと、とっても大きくて不思議な木に出会った。
ニュージーランドには各地にキャラクターの異なる植物がたくさん生えている。とくに木は、存在感もパワーも凄い。神秘的なエネルギーに見惚れてしまったこの大きな木に、ここ最近のネガティブな感情などを吸い取って貰うようにツリーハグ。自然って偉大だ。そして、全然終わりが見えない道なき道を草刈りしながら進んでいると、相棒(スイス人の女の子)が 「痛い!」と声を上げる。どうしたの? と近寄ると、「蜂に刺された!」と言うから急いでこの場を離れようとするも遅かった。わたしも刺された!!! 人生で蜂に刺された経験がないわたしはパニック! チクッとして、慌てて逃げるけどその対応が逆に蜂を刺激してしまったみたいでなんと3ヶ所も刺されてしまった。刺された場所がジンジンしてきて痛い。でも相棒は苦笑いしながら、「大丈夫だよ、死なないから」といたって冷静。家に戻って氷で冷やすけど、痛みは全然和らがない。今日の作業はこれにて終了。一応オーナーの奥さんも心配はしてくれた(笑)。
今日、人生で初めて蜂に刺されたけど、これは何かの“サイン”かもとわたしは感じた。こんなにも分かりやすく自然がサインをくれる? と思っちゃうくらい強烈なサインだけど、蜂って昔から「幸運の象徴」って言われているようにこれから良い事が起こるって意味だと受け取った。こういう時、悪い事と思ってサインを見逃すんじゃなくてこれも意味があるとポジティブな方に持っていけたら強い。辛い時こそポジティブに!!
部屋にもどり、ジンジンする腕を氷で冷やしつつ最近の出来事を頭で整理する。考えて整理しても、必ず1番に出てくるのがジョシュとミシェルとの出会い。1分1秒でもズレてたら違う現実になってたと思うとゾクっとする。あのタイミングでジョシュに出会ってなかったらミシェルと海に行く事にはなってなかった。いい方向に運んでくれた2人への感謝と、この数日間をどうやってここで過ごそうと少し憂鬱な自分。全ては自分で決めた事だし、もうここでの生活をどれだけ楽しめるかにシフトチェンジ。何事も自分次第でどうにでもなる。こういう辛い時こそ、今までの経験を活かす時だよね。人生って忙しいなあ!
来週また新しい場所に行くみたい。
予想もしてなかったけど楽しみ。
ここでの生活はあと数日間。
そしてまた1人この場所に、フェスティバルのデコレーションの為に新しい助っ人が来てるんだった。
つづく
雨が多少降ってても仕事を続ける、ジョシュ。
このステージを1人で作ってるなんてすごい! Big respect!!
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KYOKO
東京生まれ東京育ち。自分に合った心地良い生活を送るためにたどり着いたオーストラリアのビーチタウン。自然と調和しながら太陽をいっぱい浴びスローライフを送るなか、旅や人生のなかで見つけた学びや経験をシェアしたい! と思うようになり文章を綴る。人生楽しむ! がモットー。