The Second-Hand Shop

世界のリサイクルショップ -イタリア編- #5

Contributed by Fumito Kato

Trip / jan.18.2020

雑誌、広告などの撮影の傍ら、世界各地のリサイクルショップを巡り、その国のカルチャー、埋もれゆくプロダクトの発掘をライフワークとして活動しているフォトグラファー加藤史人さん。今回、彼が訪れたのはイタリア。旅先で出会った魅力的なヴィンテージアイテムや食べ物の数々は、必見です。

#5

ラヴェンナへのルート沿いにあるリサイクルショップはリストアップした。
この沿線には、よい品揃えの店が多い。
パドヴァやフェラーラ周辺の片田舎など、土日だけ
店を開ける地元の住人向けの店も点在する(残念ながら今日は平日)。
高速道路からアクセスしやすい店を選び、車で向かった。

17:20

ロヴィーゴにあるMercatopoli Rovigoに到着。
店頭には古いモペットやランチアが鎮座している。
これは期待できそうだ。


日本でもダイハツが販売していたVélosolex。ああ、ここが近所だったらなら。。


84年製のランチア・デルタ1300。フル・オリジナルで1000ユーロはお買い得かも。

Mercatopoliはイタリア全土に展開している委託販売店。
フランチャイズと言えども、店主の意向や土地柄が
品揃えに色濃く反映されていることが特徴だ。
イタリアでは珍しく、通し営業の店舗が多いという点も嬉しい。
店内に入ると、日本ではまずお目にかかれない珍しいモペットや
古い自転車なども販売されている。
スタッフの話によると、このロヴィーゴ周辺は旧車の愛好家が多く、
イベントもよく開催される土地柄ゆえ、自然とこのような品揃えになったそうだ。


フランスのモペット"mobylette"。48年もの長きにわたって作られたモペット界の2CV。




車輪の付いたものへの愛情は万国共通。


かつてバールで使われたノベルティ・灰皿(70年代)とATのコーヒーミル(50年代)。


スタッフのアンドレアさんとシモーネさん。ロヴィーゴっ子の気質を丁寧に説明してくれた。


Mercatopoli Rovigo
Viale Porta Adige 48/B, 45100 Rovigo
営業時間:
9:00〜12:30/15:00〜19:00(火曜〜土曜)
9:00〜12:30(日曜)
月曜定休


ここでやっと、コーヒーミルを一つ捕獲。トリノの謎めいたメーカー・ATのモデルだ。
他にもノベルティの灰皿などを購入し、店を後にした。
フェラーラにある目当ての店の営業は19時まで。急がなければ。

18:40

閉店20分前に何とか到着。かけ足で店内を物色する。
小さなスペースだが、いつもどおり圧巻の品数とバリエーションだ。
DITUTTO DIPIUは、フィレンツェを中心に店舗展開をしているリサイクルショップ。
Mercatopoli同様、委託販売の形式をとっている。
どの店舗もドンキホーテのように、店内を余すところなく商品で満たしており、
じっくり掘り進めたい人には正にパラダイスだ。
このフェラーラの店舗では、灰皿やエスプレッソ・カップなど、
バールにまつわるノベルティ品を数多く取り揃えているので、頻繁に通っている。


とにかく物量が多い店内。宝探しの感覚を十二分に堪能できる。


コレクターが多いのか、ノベルティ・灰皿のコーナーは常に充実している。


直火式エスプレッソメーカーや、菓子缶/茶箱のコレクターも多いらしく、よく見かける。


ビンテージの家具、什器類も本当に安い。コンテナ発送を会得したいくらいだ。

今回もノベルティ灰皿を数点購入。
80年代の名スーツケース、サムソナイト・オイスターの
珍しいカラーもあったが、残念ながら鍵が開かず。
未知のビンテージ・スーツケースとイタリアで出会う確率は高い。
この出会いを見過ごさないためというのも
スーツケースを現地調達する理由の一つだ。
スタッフの方々もみんな気さくな人たちで、
閉店間際にも関わらず、快く取材に応じてくれた。


かつてバールで使われたノベルティ・灰皿とカルトン(つり銭トレー)。


サムソナイト・オイスター。日本の代理店だったAce社では、今でも部分的な修理が可能。


スタッフのみなさま。エリサさん、とっさに持ったその壺は?


DITUTTO DIPIU Ferrara
Via del Commercio 11, 44123 Ferrara
営業時間:
9:30〜12:30/15:00〜19:00(火曜〜土曜)
15:00〜19:00(日曜)
月曜定休


彼らにインタビューした中で、印象に残った言葉がある。
「どうして、ビンテージ・アイテムを多く取り揃えているの?」
「だって、現代の製品よりデザインもよいし、品質も高いじゃない」
ビンテージに少しでも興味を持つ人なら、これは共通の認識であろう。

現代のプロダクトは使い捨てを前提としたものが多い。
イタリアのリサイクルショップでも、大手量販店の家具や
ファスト・ファッション・ブランドの服を当然見かける。
しかし、それらは再利用を前提としていないものが多く
年数が経っていないにも関わらず、
歪んでいたり、型崩れを起こしていたりする。
日本のリサイクルショップでは、それらの無料引き取りさえも
不可としている店もあるくらいだ。

スニーカーだって、数年でボロボロにはげてしまう素材が
履き口に使われていたり、カメラに至っては10年足らずで
修理不可となってしまうメーカーもある。
何十万円もするフラッグシップ・モデルでさえも、だ。
車に関しては、90年代の車両部品が既に発注不可となっていたり、
長く乗れば乗るほど、税金が上がるというナンセンスな税制さえ
日本には存在していたりする。

手に馴染んだ頃に手放さざるを得ないものを果たして愛用品と呼べるのか?
たとえ、エコな材料や製法でつくろうとも、数年でゴミになるようなものづくりは
果たして本当のエコと言えるのだろうか?

かつてのプロダクトたちは長年の使用に耐えうる堅牢さと
たとえ壊れても、直し、使い続けることができるつくりを持ち
作り手がそのアフターサービスを担ってきた。
デジタル機器の更新速度や部品の精密化など、
致し方ない理由があるのはわかる。
しかし、今まで出来ていたことを放棄し
買い換えることが前提のものづくりとは、いかがなものだろうか?

モノへの執着は、年々希薄になり、
安価であることが大前提の世相となって久しい。
需要が萎んでいるところへ、いつまでも
大量消費と使い捨てを提案し続けるのではなく、
永きにわたって使うことのできる品質とデザイン、
そして、アフターサービスという、ものづくりの原点に
作り手が今一度立ち返ることこそ
新しい潮流になるのではないだろうか。
愛用しているデジタルカメラやBlackberryの
消耗部品やOSを、ずっと交換/更新できるよう保持してくれるのなら
多少高くても、私は喜んでそれらの費用を払うだろう。

新しいものが嫌いなわけではない。
時代を象徴する名プロダクトの誕生はむしろ歓迎だ。
ただ、それらが年月を経て、リアルタイムではない
世代の目に新鮮に映るようになったとき、
それらを使ってみたくても使えない未来は、ちょっと悲しい。
優れたビンテージ・アイテムが生まれるかどうかは、
作り手と使い手の意識次第なのだ。

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