Greenfields I'm in love #16
パリへ
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2020.09.11
#16
遂に待ちに待ったパリへ行く日。わたしにとって2回目のパリだ。1回目は前の年の秋、友達のまりかとの2人きりで行ったフランス旅行。今度は少し違って、まりかが住む、パリだ。わたしの選んだ交通手段はナイトバス。完全に未知の体験だからドキドキする。
当日は学校へ行った後、きょうこさんのお家(わたしはベビーシッターをしている)へ向かう。道の途中で、日本にいる大好きな友達、ななこにお誕生日のカードを送るため郵便局に立ち寄った。
ロンドンへ来る前に旅行で訪れたローマで買った、映画「ローマの休日」のワンシーンが表のポストカード。ななこはオードリーヘップバーンが好きだから、この日の為に温めておいたのだ。
きょうこさんにはお子さんが2人いて、今日は上の子のさくちゃんのお友達、アンが家に遊びにきていたので4人で遊んだ。アンは金髪に綺麗なグレー色の目をした可愛い女の子で、ご両親はドイツ人。きょうこさんが好きな食べ物は何かと聞くと、言下に「オリーブ」と答えた。大人なチョイス!(笑)
ピザを食べたり(オリーブと一緒に)、色鬼をしたり、ジブリを見たり、楽しい時間を過ごした。さくちゃんは本当に優しい子で、困ったことがないか何度も尋ねたり、ピザがお口に合うか聞いたり、日本語のジブリを観ながら横から英語で随時話を説明したりと、初めてお家に来たアンに、6歳とは思えないおもてなしっぷり。おかげでアンもとても楽しそうにしていて、お母さんが迎えにくると、「今日はお泊まりしたい!!」と泣き叫びながら帰っていった。
きょうこさんはまりかと一緒に食べるためのお菓子まで用意してくださって、嬉しかった。お礼を言ってお家を後にして、バスの乗り場であるVictoria Coach Stationまで直接向かう。そういえば、イギリスでは、市内の赤いバスはバス、長距離バスはコーチという。
ネットで調べまくって流れは掴んでいたけど、失敗したら怖いので、だいぶ早めに乗り場へ向かった。いろんな方面へ向かうコーチが並び、数分おきに出入りする。そのため、わたしのパリ行きのコーチはまだまだ掲示板にも表示されておらず、わたしは周辺を散策して軽食を調達することにした。この辺は素敵なパン屋さんやカフェが多いので、選ぶのにひと苦労する。
可愛いカフェがたくさん。空は典型的なイギリスの天気。
飛行機で海外へ飛ぶ時は1〜2時間前にはチェックインを済ませておくけれど、コーチだと余裕を持たせたとしても15分前位で十分みたいだ。ややこしい審査もなく、乗るときに運転手さんにE ticketを提示するだけ。この日は人数に余裕があって、2席使うことができた。時間になると、優しくて愉快な運転手さんが先頭で流暢な英語とフランス語を交互に話しながら流れを説明する。車内の雰囲気は和やかだ。
いざ出発!
ロンドンから東へ向かって、ドーバー港へ到着。そう、イギリスは島国だから、海を渡らないといけない。どうやって渡るのかといえば、フェリーにバスごと乗っかっていくのだ。港に着くと、ここで出国審査がある。私たち乗客は、パスポートと貴重品を手に、コーチを降りて審査を受けた。そしてコーチへまた戻って少し移動し、今度はキャリーなどを積んできている人のみ荷物検査がある。
わたしはリュックだったから、席に座って待つだけ。
また少し移動すると、運転手が私たちに降りる様に促す。残念ながら英語がほとんど聞き取れず、出るときに、「この後どうするの?」と聞くと、「またコーチへ戻ってくるんだよ!」と言われた。他の乗客と共に降ろされた駐車場みたいなところにある階段をのぼると、広いラウンジみたいなところに到着。カフェ、コインゲーム機、免税店等なんでも揃っていて、ソファも沢山あった。きっとここでフェリーが来るのを待つんだな。フェリーが来る時刻表がなかったし、ラウンジにはわたしが乗るバスの乗客以外にも人がいたから、迷わないようさっき近くの座席にいた女性の周辺に落ち着くことにした。
だんだん携帯の電波が悪くなる。マップアプリを見る度に、現在地はずれ、なんならもはや海の中にいる。しかもたまに、この広いラウンジが揺れた様な妙な感覚に陥る。居てもたってもいられなくて、近くの女性にどういう状況か聞けば、ドーバー海峡を渡っているのよと返ってきた。なんだ! この広いラウンジがもうフェリーだったのか! 窓の外が暗くて、なにも見えなかったけど、向こう側は海だったみたい。
あれ…? と思い始めた時のわたしの居場所。
1時間少々経ってアナウンスされ、またコーチに乗り込む。フランス、Calais港に到着。そしてそのまま乗っていたらパリ市内に入り、あっという間に目的地であるBercyに着いた。朝の5時、少し曇った肌寒いパリ。まりかにラインすると、最寄りの駅名と、訳の分からない日本語が送られてきた。多分寝ぼけている。誰もいないセーヌ川の橋を渡って歩き、電車の駅へ。会うのはたった2週間ぶりだ。バスの旅は、うまく行ったし楽しかったけど、終始緊張していたし少し疲れた。パリの旅、つづく!
セーヌ川。水面がキラキラ綺麗だった。
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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