
Couch Surfing Club #26
西海岸ロードトリップ編
Free As Bird
Contributed by Yui Horiuchi
Trip / 2023.01.26
#26
3日遅れで陽性になった友人、2〜3日差で陰性になるかもねとは話していたけど、本当に3日差でようやく陰性に!!!
今日は週末だし、Arcataのファーマーズマーケットに行こうって話になった。
テストの結果が出てからすぐに準備して、なんの予定も立てずに街に出た。
久々の人混み、みんなが話す声が近くで聞こえ、マスクもおさらば、気分も高揚する。
「シャバだ〜!アメリカだ〜!!」
日本語でいいから大声で叫びたい気持ちだった。
「なにしたい?」
そう聞かれ、
「なんでもしたい!」
そう言ったことは確かである。
Arcata plazeという街の中央広場周辺は歩行者天国になっていたため、少し距離はあるけど散歩のついでだ。
沼地と住宅街の狭間にある倉庫街の近くに車を停めた。
中心地に近づくに連れて賑やかになってくる。
フンボルト大学のブラスバンドがマーチングを終えたとこらしく、全員で集合写真を撮っているところに遭遇した。
いつもは駐車場になっているスペースを全体的に開放し、地域のお店のテントや飲食店のポップアップなど、回復初日のテンションで行ったので、なにもかもが煌めいて見えた。
もうものすごく楽しい!!

友人の義姉から聞いていたのだけど、
「コロナにかかって回復したあとって、ものすごく無敵になった気分だったの、風邪薬が効きすぎてたのかな?」
どういう訳かわたしにも分からなかったけど、回復した今、彼女がそう言ってたことを身をもって体感しているように思う。
アメリカで初めてコロナになって不安はあったけど、アドレナリンの出過ぎかな? 自分でもナチュラルハイになっているのを感じていた。


カリフォルニア、フンボルト郡はアメリカの中でもトップクラスのカンナビスの栽培で有名な地域。
そろそろ収穫時期というだけあって、出稼ぎで畑の手伝いに来ている人やヒッピー、ノマドワーカーもたくさん見かける。
プラザの芝生の一帯では、ヨギー達や柔術の使い手達が思い思いの型やポーズを決めていて、この街にこんなに人いたっけと自分の目を疑うほどだ。

ここは蜜蝋で作ったキャンドルショップ。
キャンドルの形も地域ならでは(?)のマジックマッシュルームのデザイン。
少し甘い匂いでもするのかも、犬が気になって匂いを嗅いでいた。

盆栽を売っていたおじさんは散歩中のこちらに気づき、
「リッジバッグじゃないか、撫でてもいい?」
そういうと嬉しそうに友人の飼い犬を撫でてくれた。
そばを通りすぎようとしていたフレンチブルドッグが羨ましそうに彼女(犬)のことを見つめていて、自分も撫でてと言わんばかりに自分の飼い主のリードを目一杯に引っ張って主張していたけど、盆栽のおじさんはリッジバックに夢中で小さなフレンチブルドッグに気がつかない。
粘っていたけど最終的に飼い主に「行くわよ!」とリードをひっぱられる始末。
去り際に怒ってわんわん鳴いていたのが可哀想だけど可笑しかった。
わたしはその様子を後ろの方から眺めていたので、通り過ぎざまに前足をあげて近づいてくるフレンチブルドッグにいい子だね〜って撫でてあげたけど、あのおじさんへの眼差しは忘れられない。
きっとあのおじさんポケットにお菓子を持っていたのかも、、。
プラザを一周して映画館の先にカップケーキ専門店があったのを思い出した。
初めて訪れたのは2018年、以来機会があったら再訪したいと思っていた。
昨年立ち寄ってみた時はコロナのせいか営業していなかったけど、お店自体はなくならず今日もドリーミーなカップケーキと焼き立てのケーキの甘い香りでお客さんを誘惑している。
お店の前で8歳になるという女の子とお父さんが座って待っていた。
「撫でても良い?」
女の子にそう聞かれ
「もちろん、いいよ」
小さな女の子の肩ぐらいの背丈のある犬を怖がらずに撫でている女の子。
犬が大好きなのがうかがえる。
「リードを持ってもいい?」
「迷惑だからなでるだけにしなさい」
しばらく犬のお守りは彼女がしてくれそうなので、友人と犬を店の外で待たせて入店する。

棚に並ぶあれもこれも全部食べたい。
そんな欲求を抑えて、とりあえず4つに絞った。
スニッカードゥードゥルとチョコミント、キャロットケーキにピンクシャンパン。
お店を出ると女の子と仲良くなっていた友人が
「今日彼女お誕生日なんだって」
と教えてくれる。
「あら!お誕生日おめでとう!楽しいお誕生日を過ごしてね!」
犬と触れ合った時間が少しのプレゼントになっていると嬉しい。
片手にカップケーキの箱を抱え、
「それ車に置きに行く?」
「いやだ、出来立てが食べたいからどこか食べられる場所を探す」
「じゃあ近くのタップバーにいいパティオがあるからそこに行ってみよう」
オーダーに行った友人と一旦別れ、先に持ち込みのできるDead Reckoningのパティオで戦利品を眺める。
めっちゃ可愛い。うん。

試飲もフレイトもお断りという、かなりパンクなタップバーの見た目に似つかわしくないくらい、可愛すぎるカップケーキを広げ、3時のおやつに一ついただくことにした。
最近ネット記事でななめ読みしたアン・ハサウェイの手も鼻も汚さないカップケーキの食べ方っていうのを試してみる。
確かに賢いかもしれない。

カップケーキは瞬時にサンドイッチかバーガーのような見た目になり、4口くらいでなくなってしまった。
罪悪感なんて一ミリも頭をよぎらず、口の中で広がるバタークリームの余韻に浸っていた。
友人に選んでもらったビールがグァバのビールだったかな、カップケーキとも相性よく、ほぼジュースでカップケーキを食べ終えてさっぱりと流し込むつもりが、今日も友人の倍速で飲み終える始末。
「あ!また先に飲み終えてる!早すぎだよ!」
「ごめんごめん、ついビールが美味しくて」
友人がビールを飲み終えるのを待つ間、お店で普段働いているというカップルの犬と小さなスペースで戯れる2匹の様子を見ていた。

時刻は午後4時過ぎ、一人でおやつを食べていたのでそこまでお腹は空いていなかったけど、車に戻る途中、倉庫をリノベしたパブで美味しい釜焼のピザが食べられるというので立ち寄った。
わたしにとってこれは二度目のおやつ? それともPre Dinner?
そんなことを思いながらここはストロベリーのビールがフルーティービールならオススメとスタッフさんに聞いてオーダーする。
想像よりもかなりストロベリー全開のビールで苺ジャムの甘いのとベトベトなのを省いて弱めの炭酸で飲んでるようだった。
本当の果実を発酵させて作った飲み物っていうのがよく伝わる、ある意味パンチのあるフルーティービールだ。

ストレートにマルゲリータピザにした。
今回アメリカにきて初めて食べたピザ、ナポリピザだけど美味しいからアリ。

何にも予定を決めずに街に出かけた結果、結局飲み食べ歩きになってしまったけど、渡米してから二週間ほとんど外出らしい外出ができずにいたので、初日でそのフラストレーションが爆発した感じになってしまった。
だけど、もともと回復したら寿司を食べに行こうと約束していたので、1日の締めは地元の美味しい寿司屋に。
これを最初の夕飯と呼ぶのか、どうなのか?
とにかく、アサヒビールを頼みたいと言う友人にお店の人からキリンとサッポロしかありませんと言われて、カウンターパンチを食らってしまったのは残念だけど、
「ほんとにお互いご苦労さま」
そう言って、頼んだサッポロの大瓶を二つのグラスにシェアして1日の最後の祝杯を交わした。
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*コロナで大変な思いをされた方もいる中で、自分たちのような感染記録を旅行記の一端として書いていいものか当初は抵抗感もあり、どうやって伝えようか悩みもしました。
体調不良で国外に滞在する不安っていうことを読者の皆さんがどう受け止められるか、書かなくてもいいのではとも思いました。
でも、こういう機会を頂けているからこそ、オブラートに包まないリアルなジャーナルとして、後に残すことで意味が生まれるかもしれない。
そう思って、感染期間中の滞在の様子も綴らせていただきました。
中には不適切な行動や表現もあったかもしれませんが、こういった形で今後渡航予定がある方など、情報が必要な誰かのお役に立つことができたら幸いです。
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Yui Horiuchi
東京を拠点に活動するアーティスト。幼少期をワシントンD.C.で過ごし、現在は雑誌のイラストや大型作品まで幅広く手掛ける。2015年に発表した「FROM BEHIND」は代表作。自然の中にある女性の後ろ姿を水彩画で描いた。自然に存在する美や豊かな色彩を主題にする彼女の作品は海外でも評価されている。











































































































































