Mis Pato aventuras #6
メキシコの自然染色との出逢い
Contributed by Ayaka Suita
Trip / 2024.11.22
#6
今日から約1週間、自然染色のワークショップに参加する。
ワークショップに参加してみようと決めたのは自分なのに、昨日の夜からずっと緊張していた。スペイン語どころか、英語もうまく話せないのにワークショップの説明が理解できるだろうか……自己紹介があるもんなら、それはもう恐怖でしかなかった。
ワークショップの会場は自分が泊まっているホステルから歩いて20分ぐらい。Google mapを見ながら会場に向かうが、目的地が見当たらない。
どこだ……。
あー、英語での電話は苦手なんだよなーと思いながら、恐る恐る電話をしてみた。
Where is your studio??
そしたら、英語で「あ、分かりにくいよね。迎えにいくね」と言われたので、その場で待つことに。英語が話せるひとがいてよかった、と安堵する。
すると、1人の女性がこちらに向かって歩いてくる。彼女の名前はisabel、メキシコ人で英語が堪能、くしゃっと笑う笑顔が印象的な女性だった。工房の中に入ると、至る所に草木で染めた糸や布が飾られていて、それらの色はなんとも言えない温かな色彩を放っていた。
そして奥に進むと、またどこか別世界に迷い込んだのではないか、と思うぐらい神秘的な場所が広がっていた。
参加者は10名ほどで、メキシコだけでなくアメリカやインド、様々な国から参加者が集まっていた。ブランドオーナーや民族の自立支援NGOを運営している人、インスタグラマーや美大生と、みんなバックグラウンドが違っていたが自然染色を学びたいという強い志を持って集まっていた。
そして私が恐れていた自己紹介の時間が始まった。
「英語が流暢かどうかなんて関係ないよ。ゆっくり自分の伝えたいことを私たちに伝えて」とisabelが言ってくれて、私の拙い英語を皆んなも笑顔で聞いてくれて、理解しようとしてくれた。その場は不思議と安心感があり、いつしか緊張は解けて恥ずかしがらずに話している自分がいた。いつも周りの人に助けられて、楽しくなって、気がついたらおしゃべりになっている。
そう、いつも気にしているのは自分だけ。頭では分かっているけれど、やっぱりいつまで経っても緊張してしまう。
Isabel(右側)とAinsley(左側)
IsabelとAinsleyはこのワークショップ工房を一緒に起業し、自然染色や刺繍、服づくりなど様々なワークショップを企画している。Ainsleyはオーストラリア人で、ここオアハカに惚れ込み、もう7年近くオアハカに住んでいるらしい。「あやか、大丈夫?」と、何度も英語を理解できているか聞いてくれる、とても気遣いのある女性だった。
そうこうしているうちに、いよいよワークショップが始まった。
まずはそれぞれの草花がどのような色になっていくか基本の知識をつけていく。
マリーゴールドやブラジルウッド(中南米に生息する木)、胡桃の皮など、染色の材料になるものは何百種類もあるという。化学染料では絶対に表現できない温かみのある色彩に私は感銘を受けた。
その中でも驚いたのは、コチニールというサボテンの表面についた虫を乾燥させて、それを染料にするという染色方法。
とても綺麗な鮮やかな紅色になるのだが、これにレモン汁をかけたらオレンジ色に変色するというから驚き。
ミョウバンを石臼で粉砕して楽しそうな私(笑)
染料の組み合わせを記載していくワークシート
1〜2日間は草花の種類や染料の組み合わせなど座学を学んでいった。
3日目からは実際に自分たちで染色する作業に入る。
コットンやウールなどの生地や糸を洗っていく作業
数時間で染まるものもあれば、1週間かかるものもある
色が混ざらないように色別でヘラは変えなければいけない
1週間近くあったワークショップを終えて、私は「これだ! メキシコの自然染色の技術を使って商品を作りたい!」という気持ちが強まっていた。私はisabelに、この気持ちをすぐに話すと、オアハカのテオティトラン・デル・バジェという村が古代メキシコから代々伝わる自然染色の技法を使って糸を染色し、織物をしていると教えてくれた。テオティトラン・デル・バジェという村はオアハカシティから乗合いタクシーに乗ると30分ぐらいで行けるという。
もうテオティトラン・デル・バジェに行くしかない。
とりあえず、その村に行けばブランドづくりのヒントが得られるかもしれないと考えた。
次回はオアハカの自然染色の発祥の地、テオティトラン・デル・バジェを訪ねる。
つづく
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Ayaka Suita
1991年生まれ奈良県出身。メキシコオアハカ在住。オアハカ先住民の色彩感覚に魅了され、現在民族とインテリアブランドづくりに奮闘中。先住民が作ったチョコシェイクが大好物。