2人目の不審者

Mamma mia! #125

2人目の不審者

Contributed by Aco Hirai

Trip / 2022.09.13

イタリアに活動の拠点を移し、フリーのエディター・ライターとして活躍するAco Hiraiさんの生活をパーソナルな視点で綴った連載「Mamma mia!」。夏前にミラノ駅で不審者に遭遇した私、今回は不審者らしき人が家にやってきた。

#125

pm9:30
急に家のブザーが鳴った。
アパートメントのエントランスで鳴らすブザーではなく、家の扉のブザーだ。
すると、ガタガタとドアを開けようとする音まで聞こえてきた。
そういえば、最近エントランスの扉が壊れかけていて、時々ドアが開放状態になっているのを思い出した。



ソファーに座ってワインを飲んでいた私は、立ち上がって、鍵がかかっているのを知りながらも、思わず内側からドアを押さえた。そして、恐る恐る覗き穴から外を覗いたけど、暗くて何も見えない。

急に怖くなって、鳥肌が立った。
さらに、酔いなんてものは一気に吹っ飛んだ(笑)。
そしたら、またブザーが鳴り、ガタガタとドアを開けようとしてくるので、
「誰?」
と聞くと、ガラガラの声で
「開けて!」
と聞こえてきた。ドアの前に立っているのはどうやら女性みたい。そして、老婆を連想させるような声のトーン。でもドアを開けるわけにもいかないので、
「誰?」
と繰り返し聞いてみた。それでも、
「開けて!」
としか返ってこない。もしかしたら本当に何かの事件に巻き込まれてここへ辿り着いたのかもしれないと、想像力を働かせて、
「何か困っていることがあるなら助けるから理由を教えて!」
と言っても
「開けて!」
の一点張り。
これは怪しすぎる、まるでホラー映画だ(笑)。

そして、このやり取りが数分間続いたので警察へ電話することにした。
電話をして事情を説明すると、すぐに別の回線へ繋いでくれた。
が、3分経っても誰も出ない。
緊急性のある電話なのにそんなことある? と疑いたくなるけど、それがイタリア。
いい意味で裏切らない(笑)。
あまりに応答がないので、一度電話を切って再度同じ番号へかけ直すことに。
そして、電話に誰も出てくれないことを話して、警察の方から直接繋いでもらった。
すると、すぐに警察が家まで来てくれることになった。
その間もドアをこじ開けようとするガタガタと言う音と、ブーという呼び鈴は止まず、不安でいっぱいになった私。
5分程で警察が到着し、私の家のドアを開けようとしていた女性は事情聴取を受けることに。

結果、その女性は私の下の階の住人だったことが発覚。
ただの酔っ払いで家を間違えたらしい。
なんて迷惑な隣人(笑)。

そんな不審者まがいな人がやってきた夜だった。
とにかく、何も事件が起こらなくて良かった!

さて、来週は3年ぶりに日本へ一時帰国しまーす!


レストランで友人に勧められるがままに頼んだおすすめ肉料理は、ウサギのお肉だった。



車の中から見た朝日が綺麗。



ミラノで見つけた、デビッドボウイのポスターが貼られた可愛い壁。



最近ハマっているピーチ。これが甘くて美味しい。



日本へ帰る前に友達とゆっくりランチした時のアンティパスタ。大好きなニョッコフリット食べ納め。




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