クラハの女: アダマリ

About Time #3

クラハの女: アダマリ

Contributed by Sho Mitsui

Trip / 2021.11.10

1年9ヶ月ぶりにアメリカに旅立った通訳・翻訳家&カルチャーコーディネーター兼英語教師の三井翔さん。著名人からアップカマーまで、アメリカ国内に謎のネットワークを持つ彼にしか見えない、コロナ禍以降のアメリカの「リアル」を毎週お届け。

#3



今年の1月末頃であろうか? 約1ヶ月だけ日本をClubhouseというソーシャルオーディオアプリが席巻した。多くの芸能人をはじめ、ビジネス界隈の著名な起業家、アーティスト、インターネット上で活躍するYouTuber, TikToker, Instagramer等が次々と参加し、一大ブームとなったのを覚えいる方もいるかもしれない。コロナ禍でアットホームが当たり前となり、緊急事態宣言に疲れた人々に不特定多数の人とランダムに会話が出来るClubhouseはたまたまハマったのだろう。



僕も、友達の121万人登録者を誇る人気YouTuber、PDRさんことダンカンと一緒に「PDRさんとショウtime」(毎週金曜日19:30〜)なるラジオ番組的な枠をやってみようと、彼を誘ったところ、見事にのってくれて実際に始める運びとなった。
しかし、相手は登録者100万人越えのレジェンドYouTuber。僕は「彼の足を引っ張るわけにはいかない!」と、Clubhouse(以下クラハ)上でのフォロワー増やしに躍起となったわけだ。
色々な部屋を開き、試して見た結果、英語を話すのが1番手っ取り早いフォロワーの増やし方である事に気付いた。僕はプロの英語教師なので、英語習得における有益なアドバイスも出来るし、人々に英会話の場を毎日1時間設けてあげるだけで、順調にフォロワーが伸びた。

そんな中ある日、毎日、僕の英会話部屋に顔を出してずっと聞いてくれている女性がいる事に気づいた。アイコンが顔のドアップで白黒だし、綺麗な方なのでパッと目についた。

2月頃の僕はドップリとクラハに浸かってしまい、英会話部屋のみならず、「シュプリーム部屋」等自分の趣味を淡々と語るしょうもない部屋を夜中まで開いていたのだが、そんな部屋にまでこの女性は顔を出しに来た。そこで、喋ってみると彼女は「ショウさんにはポテンシャルがあって、もっともっとクラハ上でフォロワーが増えるはず!」とめちゃくちゃ僕を応援してくれるではないか!!!

騙されたと思い、彼女の言う通りに暫く活動を続けてみたらフォロワーが1000人を超えた。「何この人...すごっ!」と、やり手のプロデューサーかディレクターか何かかと思ったらなんと、美濃焼きと自身のグラフィックをプリンティングで表現するセラミックアーティスト、アダチマリだったのだ!

当時の彼女は地元岐阜から日本全国のみならず、世界へ自信の作品を広めたいと願っており、彼女の作品のファンはその独特なドクロ柄も手伝い、ストリートウェア界隈の人々が多いというのだ。

そこでピンと来た僕は真っ先に彼女にCarrotsとのコラボレーションを提案した。
クラハで僕にあーだこーだとたくさん有益なアドバイスをくれたマリちゃんに恩返しがしたかったし、単純に彼女の作品が素晴らしいと思ったから。
Anwarは日本酒、特に燗酒が大好きで、日本で居酒屋へ行けば一言目に「アツカン」と言う程だ。なので、マリちゃんの徳利とお猪口セットをAnwarに見せれば絶対に首を縦に振ると確信していた。

彼は2つ返事でコラボに賛成し、今回の渡米の際AnwarのポップアップスペースであるBird's Nest Workshopで2人のポップアップストアを開催する事にしたのだ。



暫く音楽活動を休んでいた僕もこのイベントのために数曲書き下ろし、プレイしてみようという気になった(まさか自分が以前毛嫌いしていたDJをやることになろうとは...www)。

最初の写真をご覧いただければ明らかだが、今回のコラボプロダクトはどれも素晴らしい。今や、マリちゃんも新作をリリースすれば初日にはギャラリーに並びが出来、即完してしまう、言わば、陶器界のSupreme的な勢いを持っているw

今回彼女とAnwarの作品がLAに絶大なインパクトを残すべく、僕はアメリカへと旅立つのだ。これも、僕が渡米する立派な理由の一つだ。


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