まりかとねるとわたし

Greenfields I'm in love #57

まりかとねるとわたし

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2022.02.11

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身のAya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#57

ママが帰って我が家に戻る。家にはドイツ人のデニズ、フィリップ、そしてイタリア人ファビオの三人のホームメイトがいる。わたしたちは、お家の子供たち、リリーとポーリーの二人と合わせて五人兄弟みたいで、いつも本当に仲良かった。みんなでよくカードゲームやボードゲームをした。負けん気の強いポーリーは、一度負けるとひどく悔しがって、勝つまでしばらく辞めさせてはくれなかった。

仕事から帰ってごはんを食べる2人に、「早く食べ終わって!ウノしよう!」とポーリー。



ポーリーのおすまし顔。



1週間家で満喫したら、またトランクをあける。次の行先はパリ。これは少し前、パリに住む友達、ねるとまりかと電話しながら、その場のノリで手配したチケット。まるで他県にちょっとお出かけするように国を跨いで旅行ができるのは、ヨーロッパが大好きな理由一万個のひとつでもある。とはいえ、今年だけでパリは3回目。本当はそろそろ違う国にも行きたかったのだけど…まあいいや、私は二人がいるパリが大好きなのだ。

当日空港に着くと、ゲートの奥にねるの姿が見えた。空港のゲートは、再会劇のオンパレードだ。みんな嬉しそうに顔くしゃくしゃにして抱きしめ合う。ねるとの再会はたった数週間ぶりだ。でも、空港での再会はいつだって本当に嬉しい。

最近インターンを始めたまりかも仕事終わりにやってきてくれて、私たちは3人でねるのお家へ向かった。まりかの鞄からは生のフランスパンが飛び出している。今日のディナーはチーズフォンデュだって。 家路に向かいながら、フランスパンをちぎってかじる。冷たくて表面が硬くて、口を切りそうになった。

治安が悪くて暗くて静かなパリの端くれにある、大好きなねるの家に着いた。
お土産は先週行ったベルギーのチョコレート、お花、頼まれていた一番オーソドックスなwalkersのショートブレット。彼ら曰く、チョコチップなどが入ったのは邪道だからダメらしい。

夜も遅いからすぐにディナーの用意を始めよう。
チーズフォンデュの作り方はとっても簡単だった。2人が用意してくれた美味しいモンドールの上表面を綺麗に丸く切り取り、ワインとガーリックを流し込むだけ。

チーズをオーブンに入れている間、ねるは得意のカルボナーラを作り、まりかはキッチンの床に座って私が持ってきた100枚近いポラロイドを並べて見返している。わたしは椅子に座ってそんな2人を眺める。なんてことはない、でもなんて幸せな時間なんだろう。

彼女と何カ国の国を旅したか分からない。ポラロイドにはそんな各地での思い出が詰まっていた。



チーズフォンデュとカルボナーラは感動的な美味しさだった。顔を見合わせて、美味しい!と何度も何度も叫んだ。あーパリにきて良かったと心から思った。



次の日はねるが朝から時間をかけて作ってくれたフレンチトーストを食べた。彼がいつもこうやって何か作るのに時間も手間も惜しまないところ、ていねいで、わたしはとっても好きだ。

Cire trudonのキャンドルが香る。心地よいパリの朝。



この日はYouTube「パリちゃんねる」の撮影があったから、運営者であるカズさんのお家へ行った。彼のお家からエッフェル塔は目と鼻の先。そのあたりでの散歩はとっても楽しかった。

夜はチュイルリー庭園へ行った。お目当ては言わずもがな、クリスマスマーケットだ。





クリスマスは一年で1番大好きな季節だ。まだ12月にもなっていないのにヨーロッパはもう完璧にクリスマス仕様で、この長すぎるクリスマスシーズンも、ヨーロッパが大好きな理由一万個のうちの一つである。

クリスマスマーケットに欠かせないのは、チュロスだ。



みんなでマーケットをぐるぐるぐるぐる回る。2人と一緒のクリスマスは、もう最高そのもので、そんな私たちをさらに喜ばせようとした神様はここパリに今年初めての雪を降らせた。



この日はまりかのお家に泊まることになっていた。パリっぽい、今にも止まりそうな古いエレベーターに、3人ギッチギチになって入る。あんまり窮屈だから楽しくて、私たちはこのエレベーターに乗るたびにミラーセルフィを撮った。
15区にあるまりかのこのお家は、天井が高くてすごく素敵だ。まりかのお家の一番の自慢は天窓にある。ロフトによじ登ると、そこからはエッフェル塔が見えた。

ねるは2分に一回くらいまりかの言葉じりを拾って煽り、可愛いまりかはそれに気づいていながらもしっかり説明する。2人のしょうもない言い合いに、わたしはうるさいなと思いつつ、あまりのしょうもなさに思わず笑う。

大好きな大好きな2人!




パリ旅行記、つづく!


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