unusual #12

屋根の下

Contributed by YUKA

Trip / 2020.12.03

東京で暮らす日々の中で、心に少しでもゆとりをもって生活できるように、刺激を求めて世界各国を旅してきたYUKAさん。“非日常生活での経験は、わたしの暮らしへのスパイス”と語る彼女が旅の中で見て、知って、感じたことをフィルムカメラで撮りためた写真とともにお送りします。


#12



境内で見た光景で印象に残っているのは、長時間祈りを捧げる人々。

座り込みながらも姿勢を正して目を瞑って祈っている人もいれば、辛そうな顔をしてブツブツと口を動かして祈る人、家族なのか数人で座り込んでいる人もいた。

何を祈っているのか、神様と会話しているのか、何か報告しているのか、何か唱えているのか、私にはわからなかったが、全員が真剣であることは理解できた。

そんな彼らの本気の祈りを目の当たりにしたとき、写真を撮れないと思った。

その時の私は、写真を撮らないこと、それが彼らに対してのリスペクトだと、なぜかそう思った。

邪魔したくない。そんな気持ちもあったのかもしれない。



***

突然降り出した大雨。

無視できないくらいの大粒の雨に、雨季らしいなぁなんて思いながら屋根の下に入ろうとしたら先客でどこもいっぱい。

小さな屋根の下に上手に入り込んでいる人々を見て、なんだかクスッと笑えた。



屋根に当たる雨の音、風に運ばれる湿った土の匂い。

大雨を堪能していると、あっという間に雨脚は弱まって、そろりそろりと太陽が出てきた。

雲の上のバケツをひっくり返したみたいな雨。

敷地内は広くて、お寺以外にも人々がのんびりくつろげるような広場があったり、博物館があった。

ちらほら見かけた制服を纏った学生たちは修学旅行で来ていたのかもしれない。





敷地内で特にお気に入りだったのが、この大きな屋根の下の広場。

みんながしているみたいに私も柱にもたれて、ぼうっとしてみる。

「跳ね返った陽が梁に。

まるで間接照明みたいに屋根の下を明るくする。

人はなんで直接的な光より、間接的な光の方が心地よく感じるんだろう。

少し水分を含んだ風がおだやかに柱と柱の間を通り抜けて行く。

ちょうど髪の毛がふわっと、本のページが1枚捲れるかめくれないか

そのくらいのおだやかな風。

さっきまで雨が降っていたからか、風はまだ乾いていない。

乾ききる前にきっとあの大粒の雨がまた降りそう。

壁のない大きな屋根の下。

入口と出口なんてなくて、人々は自由に屋根の下に入って来て自由に出て行く。

心地良い」

そうそう、こんなことを思ってなんでもノートに書いたんだった。

その時の気持ちを残しておくことって、大事。

読むと、鮮明にあの時の心地よさを思い出せる。





アーカイブはこちら

Tag

Writer