アメリカンハイスクール登校初日 vol.1

Beginning of my new Life #5

アメリカンハイスクール登校初日 vol.1

Contributed by Asuka Naka

Trip / 2023.11.01

『とにかく旅をするのが好き!』高校生の時に初めて訪れたインドがトラベラーへのきっかけだった。多くの国を旅する好奇心旺盛な彼女だからこそ感じる面白さと発見。出会いと出来事を振り返りながら綴るAsuka Nakaさんの旅日記。

今回からは番外編として高校生の頃に訪れたアメリカでの交換留学の様子をお届け。



ドキドキしながらその日はやってきた。朝5時に起きて身支度をし、ホストファミリーが待つ下の階のリビングへ行く。「Good morning! Did you sleep well?」この言葉は一日のはじめに毎日ホストファザーが私に言う言葉。「I sleep well」とたどたどしく返す私。ホストマザーも「どう?緊張してる?」と心配をしてくれた。
私からすると、こんなにも想像のつかない一日は初めてだったけど、これから何がどうなるかわからないため緊張すらしようがなかった。朝ご飯で砂糖いっぱいのシリアルを食べて、準備完了。



近所の同じ高校に通う年上の男の子が一緒に学校まで連れて行ってくれるということなので、ホストファミリー3人で彼を待つ。まつ間、学校初日記念にホストマザーが写真を撮ってくれた。「一年後はどうなっているだろうね〜」とワクワクだった。ドアベルの音にピクっと反応しながらドアの方へと向かい、初めましての挨拶を彼に言う。ホストファミリーは心配そうにも私たちを送り出した。



彼の名前はタイリーク。高身長の黒人バスケ選手で、いかにもアメリカの高校生という感じで緊張も一気に増す。学校にはアメリカの高校生が溢れかえる中、どう生き延びようか。タイリークの「How are you?」には、日本できっちり教わった「I’m fine and you?」で返したと思う。英語でのコミュニケーションが特にうまくいくわけでもなく、会話はそこで止まった。歩いてバス停に着くと数人の生徒がいた。数分待つと、映画でしか見たことがなかった、あのアメリカの黄色いスクールバスがやってきた。バスに乗り込むと何とか席を見つけて座る。そのバスはいくつかの場所で停車して他の生徒も乗せ、学校へ向かった。



学校へ着くとたくさんの黄色いバスとたくさんの生徒が。人に埋もれながらも校舎のドアをくぐり、タイリークに1時間目のクラスの場所を案内してもらいそこへ向かう。カフェテリアを通り抜け、ホールの角を曲がった突き当たりが、私の1時間目のクラス、バンドクラスの教室だ。そこにはいろいろな楽器が溢れていて、生徒は30人ほどだろう。カーリーヘアの大きい男の先生を見つけた私は、そばに行って自分は交換留学生であることを必死に伝えると、優しく「よろしく」と言ってくれた。この先生は今でも忘れない、私にとっても優しくしてくれた先生。この日の私の目標はクラスそれぞれの先生に自分が交換留学生であることを伝えることであった。そしてその行動は後々の自分にとって、とても有意義なものとなった。

授業が始まり先生が出席をとる。半円型に数列並べられた椅子の後ろ端に座った私。Asukaという名前を初めて恨んだのもこの日であった。ある人は「アス〜カ〜」と呼び、ある人は「アズ〜カ〜」と呼び、ある人は「これなんて言うの?」と聞いてくる。いわゆる海外では見慣れない“ザ・日本人”の名前で、読むことすら難しいのだ。今では「アスカ!」と日本での呼び方で呼んでくれる海外の友達もいれば、私も呼ばれ慣れた「アス〜カ〜」と呼ぶ友達や、「アシュ」と呼ぶ友達もいる。移民の多いアメリカではこういうことはよくあるらしく、ウクライナ人のホストマザーも英名のスペルが本名と違う。言語によって他の国の人にはできない発音があったりするため、間違って呼ばれるよりも相手の呼びやすい名前に少しだけ変換するのだ。この問題は日本では考えたことのない問題であった。





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