BABY, 君を抱きしめていたい

To Me, Somewhere in the World #116

BABY, 君を抱きしめていたい

Contributed by Yoko

Trip / 2024.02.14

『“今”の心地よさを一番大切に』
未知なモノすべて知らないことを知りたい、自分に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。


#116


思いがけず久しぶりに「BABY BABY」を耳にしてから懐かしさが止まらない。大学時代のサ内発表会か何かで先輩たちが歌っていた曲。もはやボーカルもコーラスもベースもボイパも誰だったのかうろ覚えだけれど、その人たちにぴったりな色の曲だったことは確か。今でも耳にするたびにそのグループを思い出す。


ライブハウス。J.


その頃の友人に会うべく、久々に東京から千葉駅を越え、蘇我も越えてもっと先へ。今回は長野から初めてJRの「首都圏週末フリー乗車券」を使ってみたのだが、フリーエリアはちょっとだけ越えてしまった。途中で長らく住んでいた千葉にも立ち寄るが、相変わらずの工事中ぶりでびっくり。


ひっちゃかめっちゃか千葉駅(裏側)。


さて、こちらから出向きたくて出向いているにも関わらず迎えに来てもらうなどする。明るく迎えに来てくれた友人とは本当に久しぶりで、それぞれにとって激動の人生(笑)を歩んでいるので、本当に話が尽きないのであった。同じ大学から出て約10年、そりゃあ、いろいろあるでしょう。それぞれが多忙な中でも集まる機会を持ち、いろいろな話ができたことは嬉しかったし楽しかった。

長野へ帰る途中で埼玉でも別の友人に会い、ここ1年のいろいろなことを話し合った。これまたお互いにいろいろあったので、2時間なんてあっという間に過ぎる。


そうかせんべい土産うれしい。


長野に帰り、夜は人生で何度目かのライブハウスへ向かう。思い返せばアカペラライブをしていた会場もライブハウスだったのではと今更思うが、遠い昔すぎて思い出せない(笑)。とにかく数えるほどしか音を聞きにいっていない(と思っている)場所に、長野に来てこう何度も行くことになるとは思わなかったので、本当に人生はわからない。


勝手がわからないりんかい線。


懐かしい音楽や知らない音楽をたくさん浴びて、そういえば音楽が好きだったんだと思い出した。最初のまともな夢は作曲家で、次は作家で、とにかく何かを作る人になりたかった。作曲家になりたかった理由は、見たり聞いたり嗅いだりすることで呼び起こされる記憶があるように、音を聞くだけでいろんなことを思い返せる曲を作れる人はすごいと思ったから。今は作家ではないけれど似たような仕事をしているからたぶん夢はかなっていて、作曲家にはなっていないけれどグループの人々を巻き込みながらアカペラ譜だけはたくさん作ったから幸せな部類だと思う。一つの曲を聞き込んで、ボーカル、ベース、コーラスの音を一つひとつ拾い上げながら、人の音域や歌いやすさに合わせて完成品にする作業は楽しかった。


バレンタインがやってきた。


BABY BABY, 君を抱きしめていたい。初めて聞いた頃から比べたら、抱きしめていたい君も手放したくないものも時が経つたびに変わった。でも、抱きしめようと伸ばした手を静かに引き戻した日も、もう絶対に再現はできないステージや練習での思い出の時間も、確かに手元にあった腕の温度も、確かにあった。そういうかけらみたいな記憶はきっと誰にでもあって、時折思い出す日があったとしても、いつか忘れる日の方が多くなったからこそ今ここにいて、そうやって暮らしていくのだと思う。今ある大切なものを抱きしめながら。なんてね



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  • Yoko

    長野在住、北海道出身。世界一周予定が新型コロナウイルスの影響で中止に。東京から葉山、長野へと拠点を移しつつ、国内外を自由に旅している。レバンガ北海道(#11)とアイスが好き。フリーランスのWebライター・編集者。