
Greenfields I'm in love #72
ロンドンは、もみの木の香り
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2022.12.09
#72
クリスマスまであと少し。ロンドンでは、スーツケースを持った人を頻繁に見かけるようになった。みんな、クリスマスホリデーの為にホームタウンへ帰っていくのだ。

朝ごはんを食べていたらポーリーもやってきた。
その日は、たくさんの人と同じく、地元のヨークシャへ帰るリアムとのお別れの日で、キングスクロスへ彼を見送りに行った。電車の時間よりも少し早めに会って、大英図書館の中にあるカフェへ。
最後のカフェだというのに、ほとんどいつもの私たちと変わらないルーティンだった!リアムのメンバーシップカードで入れる特別なカフェは、いつも静かで落ち着いている。もう何度ここへ行ったかわからない。
いつもと変わらない時間。これでしばらく会えないなんて変な感じ。なんだかまた来週会えそうな気がする。
出発時間が近づいて、駅まで歩いて改札前でリアムがハグをしてくれた時、一気に寂しくなって、無意識のうちにポロポロ涙が出ていた。リアムもわたしも照れ笑い、見えなくなるまで後ろを振り返ってバイバイしてくれた。
リアムがいなくなって初めての日曜日。それは私にとってロンドン最後の日曜日だ。わたしのお気に入りの過ごし方をしよう。日曜日だけ開かれる、大好きなコロンビアロードフラワーマーケットへ。今日は友人のたつろうさんがついて来てくれた。
今日はクリスマスに1番近い日曜日だから、人の数はいつもより多く感じたし、花屋さんもいつもより威勢よく声を出す。道全体がちょっともみの木の香り。

マーケットにはたくさんサンタさんがいた。

ワンちゃんがポケットに潜むブンゾンを着た男性。と、わんちゃん。
マーケットの小道で、男の子がギターを弾いて路上ライブをしていた。5、6歳くらいだろうか、本当に小さい男の子だ。これほど幼い子供が、くたびれた帽子を前に置いて、投げ銭を稼いでいる。周りに親らしき人もおらず、フランクなたつろうさんは近寄り、話しかけて仲良くなった。

彼の独特なギターの弾き方がかわいい。
マーケットを後にしたら、いろんなお店に寄り道しながらショーディッチの方へ向かった。道中にLabour and Waitという雑貨店がある。日用品から、キャンプなんかでも使えそうなものまで、シンプルな作りでカッコいい雑貨がたくさん売られていて、いつも人が込み合っている。
ロンドンのお店なんだけど、東京にもお店があるらしい。別の日本人のお友達が言っていた。
ショーディッチエリアまで来た。少しお腹が空いて、スコーンを食べにお気に入りのカフェ、Albionへ行った。そういえばロンドンに来るまで、スコーンはモゴモゴしていてあんまり美味しい印象はなかったのだけど、今は本当に大好きだ。あちこちでスコーンが見られるイギリスだけど、その食感は様々。しっとりしたスコーンもあれば、ふわふわしたケーキに近いものも。食感だけでなく、冷たくてしっとりしたままで出すところもあるし、温めて出すところも。中には始めから2等分に切って、その表面をこんがり焼いて出してくれるようなお店もあるし、それもお店によって様々だ。わたしは、しっとりした冷たくて固めのスコーンが大好き。勿論、クロテッドクリームとジャムは必要不可欠だ。

Albionのスコーンは、しっとりとふわふわのちょうど間のような食感。そしてビックサイズ!

驚いたことに、さっきの弾き語りのBoyがお店にやってきた。
キッチンのおばちゃんたちと仲良く話す。

家じゅう、もみの木の香り。
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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