Stay Home, Stay Travel Challenge

妄想旅チャレンジ #1

text by chilloutbaby99

Trip / 2020.05.12

外出自粛期間をボジティブに楽しんでいただける
anna magazine“Stay Home, Stay Travel”特別号がkindleにて発売中です。
特集コンテンツの妄想旅日記を募集したところ、
たくさんの方から反響をいただき、様々な旅日記をいただいております。

みなさんから届いた旅日記を本日から公開していきます!
第一回はchilloutbaby99さんの妄想旅です。



なんとなく悲しかったのだ。
わからないけど、ぼんやりと、そんな気持ちを乗せたまま
車はロサンゼルスに向かうビーチ沿いのハイウェイを走り続けていた。

横で運転しているのは小学校の同級生だった。
自由って感じだけど、SNSを見る感じでは悪い人じゃなさそうだし。
とにかくアメリカに在住しているという投稿を見て、6年ぶりに連絡したのだった。
はじめは昔話で盛り上がっていたけれど、だんだん話す内容もなくなり、
私も4日目の旅にして、さすがに疲れていた。
もう二人とも何も話さなかった。

時刻はたぶん深夜2時ごろだったと思う。
だんだん頭がフワフワしてきた。
星が、めいっぱい空に輝いていた。
あぁ、これが満天の星空ってやつか。
窓を全開にして、身を乗り出す。
おもむろにスマホの写真アプリを開いたとき、手が止まった。
全然きれいにうつらない。
いや、こんなこと日本でもよくあるんだけど、どうも違う。
っていうか私、なんで撮りたいんだろう。
こんなにも圧倒的な星空を小さなスマホに収めようとしている自分がバカらしくなった。
すぐにスマホをポケットに放り込んだ。
もう暗くて何もみえない海の匂いと音を感じながら、ただ星空だけを見ていた。

もう特に思考することもなくて、もやのかかった切なさだけが残った。
もうここが日本だとかアメリカだとかはどうでもよくなっていた。
海と星と車の静かなエンジン音、それだけがその瞬間のすべてだった。

1つだけ下の方に白く光る星を見つけたとき、ふとAnnaのことを思い出した。
彼女は今何をしているんだっけ。
たしか出版社で働いていると、誰かから聞いた気がする。
今度電話してみよう。

そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠っていた。



妄想旅はまだまだ募集中です!
詳しい応募方法はこちらで紹介しています。
みなさんからの妄想旅日記お待ちしてます!!

Tag

Writer