SEASON 2 #10

Brooklyn

Contributed by Yuumi Saigusa

Trip / 2021.09.28

25年越しで「NYに住む!」という夢を果たし、理想と現実の生活に日々苦戦しながらも、今まで感じていたNYCのイメージとは違う、新しいNYCで自分の現在地を探すYuumi Saigusaの旅連載!

#10

今までブルックリンにしか住んだ事がなかった私は、まさか自分がマンハッタンに住むとは思ってもいませんでした。家探しの旅でも話をしたけれど、今回のパンデミックがなかったら先ず住む事はなかった街だと思う。
初めてNYに来た時には、家が決まるまで点々と色々な部屋に住んだけれど、全部ブルックリンでした。理由は家賃が安そうだから。ただ勝手なイメージですが、つまりそれしか選択股がなかっただけ。感覚的に東京都から川崎市に行き来する感じです。だから語学学校に通っているときは、川崎市から電車で橋を渡り東京都にある学校に通っていた感じでした。とはいえ今やブルックリンも手が届かないほど大人気のエリアもあり、一概に安いと言えなくなっているけれど。


街角の公共所有物に貼られたステッカー。

私が最初に来た時にはマンハッタンに住む幼馴染の家に暫く滞在させてもらった。その後は裁判でもお世話になった元家庭教師のセンセの家に暫くお世話になる事に。場所はブラウンズヒル。ニューヨーク初心者が住むにはかなりハードルが高い場所で、そうでなくとも現地に住んでいる人でも近づかないと言われているブルックリンの中でもまぁまぁ避けたいエリア。実際に住んでいる間も数々の事件があって、昼間に10代の男の子が頭を射殺される事件もあったりした。(怖っ! 後から知って良かった)駅から家までは歩いてたったの3分の距離だったけれどもその距離に慣れるまで時間とかは関係なく常に緊張感マックスだった。住むのに慣れるまでは時間とかは関係なく常に緊張感マックスだったっけ。でもNY在住歴30年以上のベテランのセンセに言わせればここのエリアはみんなフレンドリーだから「こちらから"Hi"って言えば全然大丈夫だよ」と言うけれど、それすらそもそも慣れない私にはハードルが高かった。そんなセンセはあまり人気のあるエリアが好きでないため、住んでいる街が栄えてくるとわざわざゲットーなエリアに移り住むなかなかの強者です。それでもなぜか、引っ越す先々が人気エリアになってしまうとか。唯一、駅前にカフェが1件ある位。周りの環境のバランスを考えるとそこすらお洒落カフェになってしまう。「このエリアがそういう街になる?」と思ってしまう程私には怖かったのだが、意外に柔軟性を持つ私は、街を歩く度にいちいち驚いていた事も、2週間目ともなるとすっかり慣れてきていた。何か叫びながら歩いている人がいるのはいつもの事。両手を空にあげ空中でドラムを叩くような素振りでリトミック形式で歩いている人、黒いモサモサな物が落ちていたので近寄ってみると黒人のカツラの一部だったり、謎な物体がしょっちゅう落ちていたけれども、いつしかそれも楽しみながら過ごせるようになっていました。

近所で買い物の途中にオーガニックショップオープンの看板を見つけてすぐさまセンセに知らせると「えっホント? やっぱりかぁ、栄えてくるね」という予言。そんな小さな事でも街が変わる一歩になってしまうのだ。楽しかったそんな生活も3ヶ月ほどだったが、その後もなかなか家が見つからず点々としていたのでした。それでもニューヨークデビューがブラウンズヒルだったので、それ以降、どこのエリアにもそれ程抵抗はなくなっていました。

ちなみについこの間住んでいたテンポラリーの家は、クラウンハイツというエリア。ここもブロックを越した途端いきなり治安が悪くなったりするから気をつけなければいけない。私が住んでいたところはまさに「治安が良い」というには程遠いブロックだった。





それでも人々が生き抜くためのエネルギーが大いに感じられる街で、家から駅までの道のり人間ウォッチングは面白かった。
朝家を出る時にいつも会う体が大きくていかつい顔をした黒人のおじちゃんは、頭にリボンをつけた小さなヨークシャテリア2匹をお散歩している。その光景が何ともアンバランスで面白かったし、お洒落な格好している人もちらほら。ここも住めば都でした。
ニューヨークの地下鉄は日本のように時間通りに電車が来ないので30分で行ける所も時には1時間以上かかるのは当たり前、なので奥地の方に住んでいた時はいつも地下鉄に悩まされていた。それでもそれぞれ街の色があって、色々な所に住めたことは楽しかった。これから暫くはマンハッタン暮らしになると思うけれど、いつかまたブルックリンに戻る日が来るだろう。


古い建物が多いニューヨークは家の中に入れるまで沢山の扉がある為、鍵が多くなる。



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