Piccola Stella #0
シチリア島に来た
Contributed by Shiori Ota
Trip / 2023.12.08
#0
「そもそもなんでイタリアなん?」と母が出国前に聞いてきた。
もともとはずっと前から住んでみたかったベルリン移住を目標にいろんな準備を進めていたものの、一番重要な大使館の予約が予定通りに取れなかった。
ローマで、ドイツのビザを取るという無茶なプランも日本出国直前に断念したのでイタリアに滞在して旅をするプランだけが残った。というのも、イタリアに関してはステイ先も飛行機のチケットも先走ってばっちり手配済みだったので、せっかくだから行きたいと思って決めていたのだった。
イタリアの食と南部の綺麗な海と街の風景には前からとても興味があって、中でも南イタリアとシチリアの景色は特に一番見てみたい場所でもあった。暖かい気候で陽気な人が多いイメージの国に行くことそれに加えて、忙しく刺激の多い日々を懸け走ってきた3年間の区切りとして頭をリセットさせることが目的だったため、リラックスできそうなイタリアは今の自分に完璧な場所だと感じていた。(もちろん仕事や作品制作は続けたいと思っているけどインプット期間として)
今年の初夏頃に占いとイラストレーターをしている友人Adaさんに占ってもらった時に、海外に行くと良いタイミングもみてもらった。その時、はっきり「今年中はだめだね。でも、ダメとか言われても行きたかったら行っちゃうでしょ」みたいなこと言われた記憶がある。なんか当たってる気がする……!(苦笑)
目標を決めるとたいてい先のことを深く考えないで行動力と勢いだけで突っ走るタイプの自分だけど、今回に関してはあまりにもバタバタしてしまい、身近な人たちにはかなり迷惑をかけてしまったなと振り返って反省する。物事には順序とタイミングというものがきっとある(笑)。
それでも今、このタイミングで旅をすることになったのは運命かもしれない! と希望を添えておこう。
初めての個展を今年の夏に開いた。写真は最終日の夜。
下の写真は、東京のアパートの好きな一角。
東京での夏の思い出。
旅をするということは、その先で出会う人や場所、出来事や会話、思い出に足される何か新しい物事を見つけるのはもちろんだけど、いつもの場所から離れる、いつもの日常やサイクルから脱離するということも旅の一部だと個人的には思っている。
2020年に上京し、写真を学ぶためにスタジオ勤務しながら約2年間を過ごした。その後1年と少しはフリーランス活動。今思えば、目まぐるしい東京での生活は気の合う大好きな人と友人がたくさん周りにいて、大阪郊外の静かな町で育った自分にとっては暇からかけ離れた、最高で刺激に溢れる環境だった。
そんな“いつもの心地いい場所”を離れるのには勇気がいるけれど、何かを手放すといつか循環して戻ってくると信じている。全てはエネルギー!
元同僚で友人のわんくんに空港で見送ってもらい、東京から出発する。
イタリアからポストカード送るねー! と約束し、さよならした。
そうこうして、まず到着したのはPalermoの空港。
第一弾の目的地に向かうまで、極力遠回りをしたくて、シチリアの小さな海辺の街 Terrasini に一晩滞在することに。
これからのプランは大まかにしか決めていないので、これからどんなところに辿り着くのかなぁとサンセットを眺めながらぼんやり考える。
出国直前までバタバタ仕事とプライベートの用事をこなす日々が続いたせいで、訪問する街の出国前リサーチをほとんどできずにいた。なので到着してすぐ向かったシチリアでは行き当たりばったり。それでも最高の景色はいつも海のそばにある。
たくさんの人が立ったまま海に浸かっている。海の色が爽やか
古びたお店が多い、これは写真屋さんと何かよくわからないポスターの一部
渡航してからすぐ、祖母からLINEで
「1日の出来事をメモしてね、おばあちゃんになったら宝物になるよ」ってメッセージが来た。日記は、いつも1週間ごとかそれ以上サボってしまうけれど、日記とこの連載を通してこの旅の出来事と感じたことを自分のペースで綴っていきたい。
連載タイトルに名付けた 『Piccola Stella(小さい星)”』の様に自分の中で光る出会いと宝物を見つけられますように。
到着した日の夕焼け。なぜかボケてるけど光線が綺麗
TerassiniからParelmoまでのバス停はローカルの人にしか分からないスポットに存在した。(Googleマップにも表示されない)
バス停:Via Francesco Crispi, 71, 90049 Terrasini PA
現地のイタリア人のおばさまにバスの質問をすると返事はもちろんのことイタリア語、Google translateを使ってみるもののあまり理解できず。そのあとドイツ人の一人旅中の女性がやってきて、行き先をお互い確認して少し安心したところで、バス停をどのように見つけ出したか話した。彼女は、誰に聞いても適当な返事しか返ってこなかったけれど、花屋の女性が丁寧に教えてくれたそう。同日パレルモを少し一緒に回りさよならした。彼女は元々、友人と二人で旅行の予定だったけど、仕事が入り自分一人で来ることにしたそう。ミュンヘンに来るときは泊まっていってねと言ってくれた。いつかドイツに住む日が来たら会いに行こう。
パレルモはまだ通過点。
Some snaps on the way to Palermo on the bus
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Shiori Ota
1997年生まれ。2020年以降ファッションポートレートやパーソナルプロジェクトの中で、美の多様性やボディポジティブ、女性のまなざしの重要性について問いかけながら作品やzine制作を続けている。クライアントワークでは、女性ファッション誌、ウェブメディア、アパレルブランドの撮影を主に行う。