メキシカン・ナイツ

Gloomy day All day #6

メキシカン・ナイツ

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2023.06.02

フォトグラファー/ライターの上野文さんが、過去のイギリス留学の様子を綴ったContainer WEB人気連載『Greenfields I'm in love』。全74回の連載を終え、今回からは2021年の冬に過ごしたロンドンでの2週間をお届けします。大好きなロンドンでの、小さな「きっかけ探し」の旅。

#6


3日目の夜は、きょんちゃんと、ルームメイトのロージーと、知り合いにおすすめしてもらったメキシカンのLa Bodega Negraへ行った。
メキシカンといってもエロティックな雰囲気の建物で、ドアを開けるまで(そして開けても尚、)レストランではないかもと心配になる。カウンターから案内されて地下へ降りると、なるほど、そこはメキシカンレストランだった!

きょんちゃんはビーガンだけど、気にしないでと言ってくれて、わたしとロージーはラムのタコスも食べることにした。ロンドンにはビーガンの人が多いからか、たくさんのビーガンメニューがある。きょんちゃんも無理なくビーガンライフを送れるわけだ。




ロージーはロンドンのホテルで働きながら、アクトレスをしている。とってもフレンドリーで物おじせず、話すのも、何かを決めるのも、とにかくなんでも早い。
せっかちなくせに、優柔不断で話すのも遅い(遅いと思ったことはないが、周りによると遅いらしい)私は、その勢いについつい怯みそうになるのだけど、ちょうど間くらいのきょんちゃんがいるとちょうどバランス良い。
噂通り、ここのごはんはどれもとても美味しかった。3人でロゼを1本開けて、カクテルを何杯か飲めば、わたしもロージーのテンションに慣れてきた。女の子3人、途切れることなく目いっぱいおしゃべりしてたのしいディナー。お店を出る時、おしゃべり好きのロージーはさっきもフロントにいたゲイのスタッフに話しかけた。その方も偶然、ロージーと同じくアクターをしていて、それに可愛い絵も描ける多彩な子だった。(その時も、お仕事の合間に書いた絵を見せてくれた。) レストランでのお仕事との両立は、きっと楽ではないはずなのに、彼女もまた、ロージーと同じくとっても生き生きとしていて、魅力的だった。





お店を出ると、可愛いドーナツ屋さんがあった。見るからにハイカロリー。わたしは甘いのが大好きだし、余すことなくぺろっと食べることができちゃうから、食べた後の罪悪感から、いつもこういう類のものは逆にあんまり食べてなかった。
でも、今日は気にせずに食べちゃおう。ドーナツを片手に、わたしたちはすっかり仲良くなって、腕を組み合い、あーだこーだと他愛もないお喋りしながらまた寒い道を歩く。みんなで同じ家へと帰れるなんて、幸せだ。



次の日、今日はオンライン授業だというきょんちゃんは、お部屋からPCで授業を受けた。オンラインだからうしろなんてほとんど見えないのに、朝から二つくくりにして髪を編み込んでいた。昔から、誰かに見せたりするわけでもなく、なんだか可愛いらしいことをしていたりする。彼女のそんな自分のために素敵なことをするところがわたしは大好きだ。
準備していたら授業が始まり、彼女の邪魔をしないようにそっと用意を済ませて、バイバーイとジェスチャーした。
向かった場所はAngelという街。ここには、可愛いカフェや雑貨屋さんがたくさんある。まずは昔から好きだった文房具屋さんへ。以前と違う男性が店員をしていた。文房具は一つ一つ可愛くて、丁寧な作りだ。よく見たら、日本のブランドも多い。





そのあとは、これまた大好きな香水のブランド『ペンハリガン』へ。昔、語学学校の先生はイギリスではお風呂になかなか入らないから香水の歴史が深いと話していた。ペンハリガンはもう150年ほどの歴史を持つ老舗のブランドだ。わたしはここのHALETIとELISABETHAN ROSEがお気に入り。初めてHALETIを香った時は、もう、「ビビー!!」と脳みそが痺れた。

お店で店員さんとべちゃくちゃ話しながら色々買っていたら、ココという男性がきた。ものすごいオーラとクセのある楽しい人。何を買うわけでもないけど、とにかくマシンガンみたいに喋る。わたしは、店員さんとココに、ロンドンを一語で表したら何かと尋ねた。3人はしばらく議論をした結果、ロンドンはTolerant、つまり寛容だと言った。




つづく!



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