Greenfields I'm in love #31

最悪のハプニング

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2021.03.19

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身の大学生、Aya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#31

ママはベリーダンスを習っているんだけど、ある時その教室の先生のたか子さんがロンドンに旅行でやって来た。ママがたか子さんの荷物を託つけてくれていたこともあり、セントラルロンドンを案内することに。こんなふうに日本から人が来るのは初めてで、世話好きの私は文字通り、とっても張り切っていた。(笑)

彼女は高校時代の同級生のお友達と、それぞれの娘さん(親友の子供たちが仲良しって素敵!)の4人で来ていた。カフェ、FOYLESという大きくて素敵な本屋さん、雑貨屋さんなど色々巡る。どこを案内してもとても喜んでくれて、私まで嬉しくなる。


カロリー爆弾のようなケーキ。

宿に帰る前に、お土産を買いに近くにある大きなスーパーへ行きたいと言う。ロンドンバスに乗りたい子供たちのリクエストに答えて、地下鉄ではなくバスに乗り込んだ。
たか子さんは、とてもパワフルだ。名古屋と神戸を毎週行き来してベリーダンスを教えているというからびっくり。よく笑う陽気な彼女の話はとっても面白くて、バスの乗車時間は長かったけど、まるで一瞬だったように感じた。
目的地に着き、急いで降りた。もたもたしていたら、ストップボタンを押していても出発してしまうのだ。
バスの扉が開き、降りて早々、わたしの頭は真っ白になった。定期入れがない。
血眼になって探したけど、何回探してもやっぱりなかった。バスに乗る時に使ったし(下車する時は要らない)席を立つ前きちんと座席も確認したから、おそらく一階に降りて扉が開くのを待っている間にスられたのだろう。
落ち着いて落ち着いてと自分に言い聞かせ、定期入れに入っていたものを頭の中で思い返す。地下鉄定期、現金200ポンド、学生証、クレジットカード、BRPカード。え? BRPカード。BRPカード。BRPカード。叫びたくなってきた。
 
BRPカードとは、私が何のビザでロンドンに滞在しているのか示す唯一の証明書で、ドジな人は(わたしのように)おうちに置いておくべき貴重品だけど、たまーにお酒を買う時に求められたりする。わたしは夜遊びに行く時だけ持ち歩いていたのだけど、最近はずっと定期入れに入れっぱなしだった。このカードは税関でたまに求められるから、無しでは海外へ旅に行けないし、手続きの遅いヨーロッパでは再発行には何ヶ月もかかる。
だからこの時のわたしがどれだけやばいかというと、留学中無くしたら終わりベスト1のもの(わたし的には)を無くす、といったレベル。
無くしものを問い合わせる場所を見つけて、キングスクロスへ向かった。日本のクレジットカードは止めて、こっちの警察で盗難届も出した。色々調べたり色んなところに電話したり、すごく時間がかかったけど、何かしてる方がまだ気が紛れた。
いくら焦っていても今できる事はそれくらいだった。たか子さんが、「もうやる事もないんだから夜ごはんでも食べよう!」と提案し、自分の失敗談や楽しい話をしながら落ち込む私を励ましてくれた。

そもそも申し訳ないから、バス停でなくした時点で4人には「先に帰って!」と言ったのだけど、何回お願いしても、「いや、そばにいる!」と本当に文字通りずっとそばで支えてくれた。案内どころか、大切な旅行の時間を邪魔してしまっているのが申し訳なくて謝りまくっていたら、たか子さん、「謝るな!困った時は頼らないとだめ! ありがとうでいいの」と笑って言ってくれる。彼女たちがいなかったら、パニックになって1人で泣いていただろうな。本当に心強くて嬉しくて、ただただ申し訳なかったけど、とっても温かい気持ちになった。わたしも人が困っていたら、その時はずっとそばにいようと思った。

それ以外にも、ホストマザーのサラや、サラの娘のシラがネットでTfl(ロンドン交通局)の紛失届けを出してくれたりと、本当に色んな人に助けてもらった。
地獄のような1日が明けて、土曜日。BRPカードが無いにも関わらず、私には海外旅行の予定が3つもあって、どれも再発行には到底間に合わない事に気がついた。遊びの約束も断って、ひたすらベットでポロポロ泣いたり、寝たりを繰り返した。
日曜日、日本の友達にこの悲劇について電話で話した(わたしは本当に落ち込むと人にも話せなくなる笑)彼女はいつものように、参っている私にバカな話をして励ましながら、「一回バスの会社に電話してみなよ」と言ってきた。ネットでは紛失届けは出したけど…と言っても、それでも一回してみな! と勧められ、私は諦めモードの中、一応電話してみることに。すると思いがけない夢みたいな返事が返ってくる。私の定期入れは忘れものセンターに届いていたのだ!!!
わたしは一目散で用意をしてバスに乗り、その場所へと向かった。受付の人に訳を話すと、彼女は奥へ行って私の定期入れを持って戻ってきた。どれだけ恋しかったか! 中身は現金だけ擦られていたけど、それ以外のカード類は全てあった。嬉しくて泣きそうになりながら、大事に大事に定期入れを持って帰った。友達に感謝してもしきれない! 命の恩人だ!


インスタに載せた写真。最近習った”over the moon”というイディオムを添えた。(笑)

そんな訳で、色んな人たちの助けによって来週のパリは予定通り行けそうだ。思えばヨーロッパ生活に少し慣れてきていた私に、調子に乗るなという旅前の忠告だったのかも。言うまでもなく、私の留学史上1番のピンチ! 危機一髪でセーフだった!


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