This Time Tomorrow #25

ミラクル

Contributed by Natsumi Chiba

Trip / 2019.09.10

東南アジアでの旅を記録した千葉夏海さんの旅連載「This Time Tomorrow」。第25回は、ラオス/ ビエンチャン編です。旅先でのリアルな様子をお届けします!



夜6時にシーパンドンへ向かうバスのピックアップがくるまで、ビエンチャンの街を観光することにした。ホステルで自転車を借りて街へ繰り出す。

目当てのお寺に着いて境内のなかを歩いていると、一人のモンクがいた。

モンクとは英語でキリスト教の「修道士」、仏教の「修行僧」のこと。ここ東南アジアには大人から小さな子どもまで、オレンジやエンジ色の袈裟(けさ)を身につけてたくさんのモンクが修行している。

「サワディー」(こんにちわ) 彼と目があったので挨拶してみた。

「すみません。あなたは日本人ですか?」と話しかけられる。
(えっっ??今モンクに話しかけられた??)
「そうです。日本人ですよ。」一瞬、間を空けて返した。
「あの日本人の男性と一緒ですか?」私の先を歩いていった男の人を見てそう聞かれる。
「違いますよ?」
「すみません、もしよかったら座ってちょっとお話しませんか?」
(えっ??)

なぜ私がこんなに驚いているかというと東南アジアではモンクに対してルールがあるからだ。まず東南アジアの仏教は出家することや戒律を守ることを大事にし、自己鍛錬に励み涅槃(煩悩をなくすこと)を目指す。それゆえたくさんの規則を守って生活をしているモンクへのリスペクトはかなり大きい。

227もの戒律があり、その中のひとつが女性に触れてはならないこと。修行中の彼らが女性に触れることは修行のやり直しを意味する。私たち女性はモンクの隣に座ることすら禁じられているから、混雑した公共機関のなかでは”席替え”が起こることもしばしばある。

そんなバッググラウンドを背に、彼に座って話そうなんて言われているこの状況はかなりミラクル。しかも昨日旅の回想のついでに、「モンクと話したい」と言った私。次の日に早速叶うなんて、これまたミラクルだ。

少し離れてお互い向き合って腰をおろす。彼の名前は(確か)ポマ。
日本人は静かで優しいからラオス人と似ていて好きらしい。今大学に通っていて英語を勉強しているから、英語を話す練習もしたくて私に話しかけたと言っていた。

日本に行ってみたいと、いつどこがいいかと熱心に日本についてたくさん聞いてメモまでとっていた。日本の写真を見せてと言われて携帯を渡そうとすると、彼は直接手渡しでは受け取らず、彼の本の上に乗せてその本を渡すという迂回路をとる用心深さだった。

To Be Continued.

BGM : Heaven And Earth / The Paragons


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