This Time Tomorrow #7
A Night in Siem Reap
Cambodia / A Night in Siem Reap
Contributed by Natsumi Chiba
Trip / 2019.03.04
シェムリアップに到着し、プノンペンで泊まってた同じ系列のホステルにチェックインした。私は今回も4泊。エマは6泊だった。長めにステイしてのんびりするのがエマらしい。エマは若干20歳らしからぬ、落ち着いた雰囲気を持った女の子で、自分のペースを大切にしつつも、私にも気をつかってくれるとてもいい子だ。
「薬学を勉強したいけど、学校の成績があまり良くなくて、ドイツに帰ったらどうしようかな。」と言っていた。
海外の学生は学校が終わって、新たな進路や就職先を決める時、やりたいことが分からなかったり、忙しくなる前に旅に出る人が多い。そしてそれがごく一般的である。
私も大学生で就活していた時にそんなアイディアが浮かんでいたらよかったなと思う。卒業したらすぐ進学、就職ではなくてタイムアウトしてもっと外の世界を知る。どちらが絶対的にいいというわけではないけれど、オプションがあるのはいいことだ。
エマの一言がすごく印象的だった。
“I'm too young to have plans.”
「プランを持つには、私は若すぎる。」
日本の学生達にも、社会一般的なレールだけではなくて、もっと自由な選択肢を持つことが広がっていったらいいなと思う。エマとご飯を食べながらそんなことを考えていた。
多くのパブやレストランが並ぶ有名なストリート
シェムリアップでのメインイベントは言わずと知れたアンコールワット遺跡だ。歴史深い遺跡で見るサンライズは格別だった。
ガジュマルが力強く生えるタプローム寺院では、自然の強さには逆らえないことを肌で感じることができて、個人的にすごく気に入った。
何本もの木が建物を突き抜けていた。
木漏れ日が映える不揃いな石たち
チェックアウト前夜、エマと外でおしゃべりしていると2人のイギリス人、オランダ人の男性がジョインしてきて、一緒にビールを飲んだ。
話の話題は旅人ならではというテーマだった。
「今までの人生でベストモーメント、ワーストメモリーは?」
「もしタイムマシンに乗って過去にいってひとつだけやり直せるなら、何をする?」
「何が自分を旅させているのか?」など。
よく知った友達とは、改まって話さないテーマだ。なぜかって、相手のことを知っているから。過去にどんなことが起こったのか、全ては知らないまでも仲のいい友達なら知っていることもあるし、わざわざ聞かないことが、相手を気遣うことであったりするからだ。
でもここはカンボジア。みんな旅人。全員初対面。本当なら話しづらいこともスラスラと話せたりして、周りが自分の過去を知らないという状況は居心地がよかったりするものだ。
「15歳のときにドラッグをやりすぎて親を悲しませた」「親と上手くいかず10代のころ家出して、2年くらいストリートに住んでた」「バイク事故で死にかけた」なんてワーストメモリーが飛び出し、「母親がダメ男とやっと別れたとき」「旅に出るために仕事を辞めた日」「妹が赤ちゃんを産んだ日」とみんな順番にベストメモリーを話していて、
ひとりイギリスのウェールズ出身の男性が、最後の順番でベストメモリーを熱く語ってくれたのだけど、アクセントがかなり強烈で聞き取りづらく、みんなぽかーんとしてしまった。
「すごくいい話してるのに、訛ってるからいつも誰もわかってくれないんだー!」と彼が嘆く姿をみて、みんなでケラケラ笑いあった。
暖かい夜に冷たいビールと、それぞれの人間味が溢れた面白い会話で、カンボジアの最後の夜を笑顔で締めくくった。
To Be Continued.
BGM: End of the party / The Beat
アーカイブはこちら
Tag
Writer
-
Natsumi Chiba
神奈川県茅ヶ崎在住。20歳のときにいったオーストラリア留学がきっかけで旅にハマる。最近はジャンクのフィルムカメラで写真を撮り始める。好きな音楽はレゲエなど。