California Roadtrip #7 -Downtown Los Angeles-

Photo & Text: Ako Tsunematsu(MOUTH JOURNAL)

Trip / 2018.10.15

カリフォルニア・ロザンゼルスにある街トーランスから始まって、
サンディエゴ・シティ、パーム・スプリングス、コーチェラ・フェスティバル、ダウンタウン、
そしてアボット・キニーと、人生で初めて自分で買ったカメラ片手にめぐった10日間。


Special thanks to VISIT CALIFORNIA(http://www.visitcalifornia.jp



最終日は、DTLAことダウンタウン・ロサンゼルスにやってきた。
ダウンタウンに来るのは10年ぶりどころじゃない、20年ぶりとかだ。それも、当時はまだまだ危険な町だったから、私の父親が勤務していたオフィスがあって、たまにバスケットボールやコンサートを観に訪れるステープルズ・センターと、日系レストランが密集するリトル・トウキョウがあることくらいしか知らなかったし、必要以上にあまり近寄らない、混沌としたビジネス街というイメージだった。



しかし、それがどうだ。ダウンタウンの路上に降り立って私はたまげた。老若男女、人種問わず、みんな颯爽とストリートを行き来しているじゃないか。
まず、最初の目的はこちら、2014年にオープンするなり全世界の話題をかっさらった<ACE HOTEL>でランチをすること。そうそう、来年日本にも<ACE HOTEL KYOTO>がいよいよやってくるってね。





一見、ホテルらしくないエントランスに入ってすぐ、左手にはスーベニア・ショップがあり、右手にはこじんまりとしたカフェレストランがある。観光客らしき人たちがゆったりとブランチを楽しんでいたり、ローカルっぽい人たちが仕事をしていたり。何をしていようとサマになるのがこのホテルの魔法かもしれない、と早速、ミーハー心をまんまと鷲掴みされてしまった。噂どおり、スタイリッシュでレイドバックで、ひたすら洒落ている。

素材にこだわって、おそらくとても丁寧に作られたであろうチーズバーガーとフライ、有機野菜のサラダなどをカクテル片手に味わった。やっぱりアメリカにいる間はできるだけ多くハンバーガーを食べたいんだ。だって、やっぱり国民食だから。ラーメンは日本で食べるのが最高なのと、同じ原理だ。

それから、この旅中何度も思ったし、何度も触れたと思うけど、アメリカ人はカクテルを作るのが上手だ。なんだろう、選ぶ材料も面白いし、どれも美味しい。トラディショナルなものばかりでなく、モダンなひねりを効かせた、知的で遊び心に溢れたものが多いのだ。

一昔前のアメリカが大好きだったアーティフィシャル(人工的)な着色料や甘味料などは極力用いらないのもファッショナブル。あくまでもナチュラルなハーブやフルーツ(しかもことごとくオーガニック)にこだわり、世界各国から見つけてきたであろう様々なリキュールを斬新に組み合わせた一杯は飲むのも楽しいし、気のせいか二日酔いになりにくい。





ホテル屋上のこじんまりとしたプールサイドテラスに移り、コーヒー片手に「アメリカって(しかもダウンタウン)ってこんなにお洒落だったっけ」なんて考えていると、この世のものとは思えない可愛い生き物と目が合った。ポメラニアンだ。思わず駆け寄ると、フサフサのシッポをフリフリしながらあちらも駆け寄って来てくれた。
「ふふふ、人懐っこいの。いつもここで仕事しているんだけど、私よりずっと友達づくりが上手いんだから」
と、微笑む飼い主の女性。私はここぞとばかりにフワフワのその愛くるしい生物と戯れた。





さて、お腹もいっぱいになったし、路上へ繰り出そうではないか。なにやら中学生くらいの若者が列をなしていると思ったら、<GRAMMY MUSEUM>だった。スクール・トリップかな?

ハリウッドを擁するカリフォルニアらしいこちらの音楽資料館では、特にグラミー賞の歴史を専門的に扱っていて、例えばエルヴィス・プレスリーやケイティ・ペリーなど、受賞者たちの衣装や楽器、手書きの歌詞、レコードなどがコレクションされている。



お次の目的はこちら。友人たちから話を聞いて、ずっと訪れてみたいと思っていた<THE LAST BOOKSTORE>。カリフォルニア州の中でも最大規模と言われる25万冊もの古本や中古レコードなどを販売している。元は銀行だったという荘厳な建物の1階と2階に所狭しと本が積まれていて、そのディスプレイの仕方も非常にユニーク。

特に2階部分は古本の壁で作られた迷路のようになっていて、古本のトンネル(!)まである。『ハリー・ポッター』のシーンに登場しそうな異空間。独創的なセレクトのスーベニア・ショップや小さなギャラリーも併設されていて、これは何時間あってもキリがなさそうだ。永遠に古本とレコードを漁っていられる……。







ロゴがプリントされたエコバッグとステッカーとブックマークと、『スター・ウォーズ』のキャラクターカード入りのガムをいくつかだけ購入し、断腸の思いで店を後にした。

ああ、もう今夜帰宅するなんて悲しい……。ダウンタウンの見どころが相乗以上に多くて、まわり切れずに、まだ全然帰りたくないという気持ちが急激に込み上げてくる。



通りがかった<Mikkeller DTLA>で、よっぽどビールを飲んでしまうのもありかと思ったけど、ここでやけくそになってしまうのは危険だ。フライトを逃しかねない。とりあえず温かいラテでも飲もうかな……。なんて入ったのは、<ACNE STUDIOS>に隣接されていたカフェ。どこもかしこも洗練されていて、趣があって、シックだ。それはきっとどの店も元からあった古い建物を改装しているから。



1999年に施行された、使用されていない古い商業ビルを再利用する法令のおかげで、廃れたダウンタウンはただ息を吹き返しただけでなく、歴史も感じられるノスタルジックな大人の街となったのだ。

最後に、行きがけにどうしても気になった店があったので戻ってきた。<Med Men>という名の書かれた看板以外に情報はなく、やたらすっきりと整えられた様子の店内を覗こうとすると、がたいの良いセキュリティーが近寄ってきて、IDチェックを求められた。
あれ……もしかして、アダルト・ショップ?そんな不安が頭をよぎったけど、なんだか腑に落ちない。

空港に向かはなくてはならない時間まで、もう20分とない。思い切ってパスポートを取り出し、
セキュリティーに見せて中に入ると、赤いTシャツを着たスタッフが満面の笑顔で迎え入れてくれる。まるで、アップル・ストアのような無駄のない整ったディスプレイ。並んでいたのは……マリファナ!なんと、医療用大麻販売店だった。



ガラスケースの中に綺麗に並べられた緑のモジャモジャした物体を恐る恐る眺める。決して悪いことはしていないのに、心臓がドキドキしている。そんな心の内を見透かされたのか、店員がニヤニヤしながら近づいてきた。
「なんでも聞いてね!全部ガイドするよ!こっちにはグミがあって、クッキーもあるよ〜。それから、マッサージクリームなんかも。これ、すっごい肩こりにも効くんですよ」
と、テンション高めにペラペラと店内の商品を一通り紹介してくれた。

すごい……。最後の最後に最もリアルなカリフォルニアの側面を見れた気がした。
「今日もう東京に帰らなくちゃならないの。もちろんなに一つ商品は買えないんだけど、お願い!!!」
そう頼み込んで、<Med Men>とロゴがプリントされたツヤツヤの赤いショッパーを一つだけもらって、大満足で私はLAXへと向かった。

またすぐに来るね、カリフォルニア!

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