
Greenfields I'm in love #22
ロンドンでお抹茶を
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2020.11.27
#22
私の学校は、外国語大学みたいな感じで、いろんな国の言語が学べる。といってもやっぱり英語がメインなのだけど、夜は日本語のクラスなどもある。
最近学校に、茶道家のえりこさんという方がやってきた。日本にいても私はあんまり出会うことがないような世界の人だ。この語学学校と彼女が日本で契約したエージェントが、えりこさんに「是非日本の伝統的な文化を教えて欲しい!」とお願いをして、全部で8つの日本語クラスに一回ずつ、"Japanese tea ceremony"が行われることになった。禅について、そしてその一つである茶道の歴史、お茶を点てる一連の流れをえりこさん直々に教わるのだ。そして、わたしもそこでお手伝いとして参加する素敵な経験をさせてもらった! 助っ人になるために、簡単なお抹茶の点て方をえりこさんに習う。彼女は毎レッスン違うお着物を着ていて、洋服の時とはまた雰囲気がガラッと変わり、とてもかっこいい。有難いことに、私たち助っ人も毎回1人ずつ、えりこさんに着付けから髪までセットしていただいて、浴衣姿で参加することが出来た。

イギリスに来て、浴衣でお抹茶を点てるなんて思いもしなかった。
お茶会の授業? には、毎回20人以上の生徒がやってくる。時には椅子が足りずに立って参加する人も。子供のようなキラキラした目がえりこさんに向けられ、彼女はスライドを見せながら、全部英語で(3回目からはフル暗記して!!)語り始める。座学の後は、みんなで亭主とお客さんになりきり、日本から持ってきた道具や抹茶、和菓子で実際に茶道の体験をした。生徒のみんなは、こっちまで嬉しくなるくらい楽しそうに、はじめての茶道体験を堪能していた。特別授業もあっという間に終盤。えりこさんは最後に、茶道は堅いものだと思われがちだけど、完璧にしなくてもあるものでやるだけで充分! と仰って、例えば正座出来なくても椅子に座ってやっていいし、和菓子の代わりにオレオを使ってもいいと提案する。みんな、意外そうに目を丸くして、家でもできると喜んでいた。合計4日間にわたるこの体験で、外国にいながら自分の国について学ぶことが沢山あっただけでなく、日本がこんなに人を魅了する文化を持っているということを目の当たりにする事が出来て、日本人としてとっても嬉しかった。それに、この会のおかげでイギリス人の友達もできたし、本当に良いことだらけだ。

“Nをかくように”点ててね。

学校の先生のローラにお茶を立ててあげた可愛いおじいちゃん。
最後の日には、学校から紅茶のプレゼントを頂いた。フレーバーはみんな違って、開けてみると偶然、この前アフタヌーンティーへ行って好きになったF&MのQueen Anneというフレーバーだった! 嬉しい。それだけではなく後日えりこさんが、手伝ってくれたお礼にと言ってメイフェアにあるTokimeiteという名前の料亭に連れて行ってくださった!! こんな貴重な体験をさせてもらって、私たちこそ感謝しているのに! 久しぶりの日本食。しかもとっても美味しい懐石をいただいて、幸せいっぱいだ。

デザートのほうじ茶のケーキはお抹茶と一緒に出てきたもの。ここのオーナーである彼は、えりこさんのお知り合い。
そうそう、この日はちょうど、プライドパレードが行われていて、街全体が虹色に輝いていた。LGBT+の社会的認識の向上だけではなく、様々な形の愛があっていい、そうであるべきだいう強いメッセージ性が込められたこのパレードでは、オックスフォードストリートやその周辺が歩行者天国となって盛大なお祭り騒ぎをする。どのお店もこの日のために、競わんばかりに虹色の装飾を施していて、密集する人も頭から足までクレイジーなくらいカラフル。わたしとれいなちゃんはこの日、学校の友達と約束した野外シアター(夏場はロンドン芸大の前で毎日やっている)へ行くまで時間があったから、参加することに。近くにいた人たちにお願いして虹色のスタンプやグリッターを顔にペタペタつけてもらい、上から降ってきた虹色の王冠を被ってみんなでどんちゃん騒ぎ! 普段あんまり知らない人と戯れないシャイなイギリス人も、今日ばかりはいつもよりフレンドリーだ。

足元までしっかり虹色。
収拾がつかないほどド派手なパレードは楽しかったけど、爆音とギラギラした視界に一往復しただけでとっても疲れた。


地下鉄の遅延や工事の影響等で開いていない路線がかかれるはずの看板もこれ。他にも、この日だけ信号がオスとメスのマークが重なったマークに変わってた。カフェのコーヒーカップまで虹色という徹底ぶり。
満員の地下鉄に揺られ、やっと着いた野外シアター、今日はアメリカ映画のクルーレスだ。昔好きでもう何回も見た映画。最近は寒くも暑くもない1番良い天候が続いていて、野外映画にはもってこいだ。この近くにあるWaitrose(スーパーマーケット。ちょっと高級だけどクオリティが高い!)で買ってきたスナックをお供に映画を楽しむ。

最近は蝋に包まれたベイビーチーズにハマっている。蝋を開けると生でチーズが入ってるくらいだから、この蝋はもちろん食べても体に害はない、それから、体温で溶かすと自由自在に形を変えられるから、子供はよくそうして遊ぶらしい。とかいう情報を誰かから聞いた。わたしはあんまり出番のないしょうもない事を一生覚えている人間だから、きっとこれもずっと忘れないだろうな。
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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