Greenfields I'm in love #19
パリへ その4 思いがけない幸せ
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2020.10.30
#19
友達のまりかに会いに行った4日間のパリも、あっという間に最終日を迎えた。朝ごはんは、昨日モンマルトルのパン屋をはしごして買い集めたパンたちだ。パンを可愛くお皿に盛りつけて、わたしがロンドンで買ってきたお土産の紅茶を淹れ、エシレのバターやジャムを用意して、デザートにマンゴーも切った。
ちょっと張り切った理由は、私たちはYouTubeに動画を投稿していて("まりかとあや"というチャンネル!)、その企画で、パリの美味しいパン屋さんのクロワッサンを食べ比べの動画を撮るためだ。
しかし、食べ終えて動画をチェックしたら、ボタンを押し忘れたのか、保存すらされていなかった。撮影もしていないのに、パンを食べながら逐一その感想をぶつぶつ言っていた自分たちを思うと笑える。私たちらしい凡ミスだ。美味しかったからいいけど。
こっちのマンゴーは安いけど、当たり外れがある。これは少し固かった。
そのあとは、パレドトーキョーという美術館へいった。美術館の名にトーキョーが入っているのは、日本の展示物を置いているからではなく、ここが面する通りの名が、トーキョー通りであったことからきているみたい(今は変わった)。私たちは、朝ごはんやら用意やらに散々時間をかけたせいで、展示を見に行く時間がなかったので、ブックショップだけ立ち寄ることにした。美術館のブックショップって、コアなものがいっぱい並んでいてドキドキする。このブックショップは、見たこともない可愛い雑貨やフォトブックの宝庫で、今まで訪れた美術館の中でもかなりお気に入りになった!
色んな薬(もちろん偽物)が売っていた。大半がなかなかのブラックジョークだ。
そのあとは、エッフェル塔の近くまでセーヌ川沿いを、ずーっと歩いた。視界に収まらないほど近くで見る大きなエッフェル塔も好きだけど、わたしはこの川沿いからみえる景色が1番好き。緑に囲まれながら、川越しにチラチラとエッフェル塔が見えて、とても贅沢な光景なのだ。
こんな晴れた日には、いつまでも歩いていられる。
トロカデロ庭園のそばで3兄弟で開いているお店でワッフルを食べた。今度はちゃんとヌテラをトッピング。一昨日はサクレだけついたクレープを食べたのだけど、物足りなくて後悔したのだ。
今日のチェキ、とてもお気に入り!
夜ごはんの時間だ。まりかが最近ハマっていてよく友達と通っている、La Felicitàという場所へいった。ここはロンドンにも2店舗お店を出しているBig mammaグループが手掛ける、ヨーロッパで1番大きなフードコート。
フードコートといっても、元来のそれとはまるで違う。色んなテナントが入っているのではなく、すべてBig mammaがプロデュースのお店が並び、まるで芸術のような空間づかいで、中を回っているだけでもすごく楽しい。広大な敷地の中に何本か本物の電車の車両が入っていて調理場として使われていた。この場所がかつてF4という電車の駅であった名残だというからまた面白い。
デザートにクランブルケーキ。
夜はDJがプレイしていてダンスフロアで踊ったりできたりと、とにかくなんでもあり! でも私たちは帰りのバスの都合で、まだ外が明るいうちにでなきゃいけなかった。本当に楽しくて、あっという間に時間が過ぎた。今日帰らないといけないのがとても寂しい。
これがバー。天井のライトが星みたいで可愛い。
とうとうまりかとお別れの時間。来た時に降りたBercy駅から夜行バスに乗って帰った。港に着くと一旦バスを降りるように促され、税関で審査を受けた後フェリーへ。暗かった海から太陽が昇ってきた。外は少し肌寒かったけど、迷いもせずバルコニーへ飛び出して、真っ赤な日の出を見つめた。本当に綺麗だ。この景色は絶対に忘れないでおこうと心に決めた。「今回のパリ旅行はバスで行こう!」と予約をした時、海からこんな景色が見られるなんて、思いもしなかった。想像もしてなかった思いがけない幸せが飛び込んでくる時、私はとても嬉しい気持ちになる。
ドーバー海峡についた。
ロンドンについたら、そのまま学校へ。また、いつもの日常に戻る。朝早く起きて朝ごはんを食べ、1時間弱 窮屈な電車に揺られて学校に着けば、教育熱心で宿題や時間にも厳しいJames先生と、個性豊かで楽しいみんながいる。国籍も、年齢も、仕事も、性格や感情表現もみんなバラバラなのに、パズルみたいにピタッとはまって一つになった空気感があたたかくて心地いい。
パリから帰った週の週末は、ずっと友達の家ですごした。金曜日の晩には、近くのオーガニックスーパーで材料を買って、一緒にタイ料理を作った。夜はベッドでイギリスにいるうちに一緒にやりたいことを話し合ったら、したいことが山のようにあった。
ロンドンにきて、仲良しの友達も増えて来たけど、それぞれ色んな形でここに集まっているからこそ、その生活スタイルに、"当たり前"の常識がない。
だから勉強も遊びも、その方法は全部自分次第で、いい意味で自由だ。探せば探すだけ面白い事で溢れるロンドンにいるうちに、好きなこと、したいことはなんだってやってみたい。そして船から見た景色みたいな"思いがけない幸せ"をもっともっといっぱい感じたい。
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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