特別な日の前の日。その2

Gloomy day All day #9

特別な日の前の日。その2

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2023.07.21

フォトグラファー/ライターの上野文さんが、過去のイギリス留学の様子を綴ったContainer WEB人気連載『Greenfields I'm in love』。全74回の連載を終え、今回からは2021年の冬に過ごしたロンドンでの2週間をお届けします。大好きなロンドンでの、小さな「きっかけ探し」の旅。

#9


クリスマスイヴのつづき。

わたしは、2年ぶりにホストファミリーの家へ帰って来た。イーリングにあるそのお家は、大きな住宅街の中にある。少し久しぶりの実家に帰るように、ただ記憶を頼りに行きたいところだったが、幾つもある通り(そしてそれぞれに100軒以上のお家が並ぶ)の中からは結局その家は探しきられず、最後の最後にGoogleマップを細目で覗いてたどり着いた。
マップにピンが刺されたそこは、今も変わらずお家マークが付いていて、なんだか嬉しい。

ピンポンを押したら、中からホストマザーのカトリンが出て来た。いつもクールで最高なカトリン。感動の再会だけど、黙ってギュッとハグをして、二言三言話して、そのままお部屋に案内してくれた。今回のわたしのお部屋は残念ながら以前使っていた部屋ではなく、その隣のかつてフィリップやデニスが使っていた部屋。その部屋はすごく広くて、壁一片が収納だ。その収納の半分は、カトリンのドイツの実家が醸造したビールやワインがたっぷり寝かされている。またそのそばには、誰かの小さなギターがあって、だからこの部屋はミュージックルームと呼ばれていた。
そうそう、わたしはついに、信じられないくらい大きくなった子供たちと再会した。小さくてベイビーフェイスだった2人は、立派なteenagersになっていた。大きくなった2人は、ハグをしたらまだふわふわでベイビーのままで、なんだか安心したような、でも成長しているのが嬉しかったり、いろんな感情がごっちゃ混ぜだ。二段ベットで2人部屋だった部屋はリリー専用になっていて、3階の部屋がポーリーの部屋に変わっていた。2人は自分の好きなものをそれぞれの部屋の中で目一杯に表現していて、すごくすごく可愛らしかった。


扉にハッシュタグを書く、ティーンなリリー。(笑)


キッチンへ降りると、カトリンが手際よく料理している。カトリンはドイツ人だ。イヴは彼女がドイツのクリスマス料理を振る舞い、明日はウィルがイギリス式のお料理を作ってくれるみたい。
彼女の料理は本当に美味しい。これまで、イタリアン、フレンチ、ドイツ料理、たまに日本のカレーまで、いろんなお料理を作ってくれた。(3度以上同じものを食べたことがないと言い切れるくらい、レパートリーがある)
彼女の料理は、色々と創作やアレンジされていたり、食材本来の味を生かして薄味にしていたりといった特徴があるスタイルではない。ベーシックでその料理の本来そのものの味を楽しめる感じ。料理本と睨めっこしているところは見たことはないが、カトリンの料理を食べると、その料理をよく知れるような気がするし、とにかくすごくすごく、美味しいのだ。

お土産は、ママに買っておいてもらったフロインドリーブのクッキーやパイ、神戸の私が大好きなお菓子。
どさくさに紛れて私もぼりぼり食べた。

今日もロンドンは雨。どんよりした空に、ぬかるんだ地面。2年前のクリスマスを思い出した。


そうそう、この家には新しい家族がいた。ゴールデンレトリバーのジョージ。




ポーリーとウィル。しばらくこうしていた。


雨の中、ジョージの散歩へ。ウィルは散歩が好きで、雨の日も晴れの日も、よくお散歩へ行く。以前もウィルはよくディナーの後に私に子供を預けてカトリンと2人っきりで1時間以上お散歩へ出かけた。私はそんな自分たちのの時間を作る2人がとっても好きで、いつも張り切って家番をしていた。




ディナーの準備ができてきた!



つづく!



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