unusual #2

スパイス

Contributed by YUKA

Trip / oct.18.2019

東京で暮らす日々の中で、心に少しでもゆとりをもって生活できるように、刺激を求めて世界各国を旅してきたYUKAさんの旅連載「unusual」。“非日常生活での経験は、わたしの暮らしへのスパイス”と語る彼女が旅の中で見て、知って、感じたことをフィルムカメラで撮りためた写真とともにお送りします。



高速バスの席は7割ほど埋まっていて、相席を余儀なくされた。

バックパックを貨物室で預かろうかと聞かれたけれど断ったので、バスの席は幾分窮屈に感じた。

隣の席の女の子は、授業でとったであろうノートとにらめっこしながら宿題のようなものをやっている。

バスが走り出すと運転手とは別の男がお金を徴収し始めた。

前から順にみんな慣れた手つきで支払い、それを慣れた手つきで回収。

このスムーズな流れを止めるのはわたしだとわかっていたから、隣の席の女の子がお金を準備し始めた時に、こっそりと仕組みを教えてもらった。

それをきっかけに、「どこから来たの?」と女の子が話しかけてくれた。

お互いに身の上話なんかをして、彼女は今環境学を学んでいて、将来はサスティナブルな畑を作り農業をしたいのと話してくれた。

毎日高速バスで学校に通うのは大変だけれど、学べる環境にあることに感謝していると。

そうやって、当たり前のことに、小さなことに、もちろん大きなことにも感謝の気持ちをいつだってもてる人間でありたい。



Galleは雨季だった。

Sri Lanka は島の真ん中に山がありその山々を挟んで東と西で雨季と乾季に分かれている。

ちなみに乾季は波が上がるとのことで、Sri Lankaのサーファーは6ヶ月ごとに東と西を行き来して暮らしていたりするんだって。

6月はちょうど東が雨季で西が乾季。先週は洪水になる程、雨が降ったみたいだった。







宿に到着したのが夕方だったので、街を少し散策してオススメされたマーケットの方にあるカレー屋さんへ。

マーケットに向かって歩いていると、おじさんがすうっと寄って来て

「マーケットかい?」とニコニコしながら話しかけて来た。

怪しすぎる。常に警戒心だけは人一倍あるわたしからしたらもう全員怪しい。

歩くのを止めずに「そうよ」と答えると「俺もマーケットに向かってるんだ」と。

確かに向かっている方向が全く一緒だし、人もそこそこいたので、ちょっとおしゃべりしながら一緒に歩いた。

「マーケットで何か買うの?」と聞かれたので「シヴァホテルっていうオススメされたお店でカレーを食べようと思ってるの」と伝えると

「じゃあ、まず俺の友達がスパイス屋をやっているから、そこに行って、その後シヴァホテルまで案内するよ!!」

でた、このパターン。と思いながらも、人が多いマーケットでローカルらしき人といた方がカモられないで済むかもと思い、そのまま撒かずに一緒にマーケットへ向かった。

スパイス屋に着くなり彼は自慢げに店員にわたしを紹介してくれた。

「日本から来てる俺の友達だから、ローカルプライスでスパイスを売ってやってくれ!」

たった数分で彼の友達になれたみたいだった。

確かに、観光地のスパイスガーデンなんかで買うより百倍安そうだったし、

様々な種類のスパイスを味見させてくれて、こんな機会もなかなかないと思い旅の序盤でお土産と自分用のスパイスをたくさん買ってしまった。

バックパックが重くなる…。



店員に見送られ、スパイス屋を出ると目的地だったカレー屋はすぐそこだった。

シヴァホテルという名前だけあって、上はホテルなのかと思っていたがそんな様子は一切なかった。

彼は、席まで案内してくれて、「辛いのは好きか」と「卵は好きか」の二点をわたしに尋ね、パパッと注文をしてくれた。

そして「会えてよかったよ。予定があるから、もう行くね。旅を楽しんでね!」と言って笑顔で去って行った。

疑い120%だった自分がなんだか恥ずかしくなるほどにただの親切なおじさんだった。

そんなことあるかね。

カレーとゆで卵が丸々一つ入った卵スープが運ばれて来て、卵の質問はこれだったのかと納得した。

食べ終わると、ものすごく甘いチャイが出てきて、口の中のヒリヒリを鎮めてくれた。

スリランカの人たちはこのコースが鉄板なのだろう。

空腹も満たされ、宿に帰ってシャワーを浴びて部屋に戻ると、部屋にはスパイシーな香りが漂っていた。

両手に抱えて買って帰ってきたスパイスたちだ。

わたしは、このスパイス爆弾たちと旅を共にするのかと思うと少し後悔した。

「序盤にスパイスを買わない」わかってはいたものの、これは鉄則として次の旅に活かしたい。

でもタイミングが全てだから、出会ったときに買うのも大事。

そんなことを思いながら、スパイシーな眠りについた。

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