カラフルな呼吸

Mis Pato aventuras #6

カラフルな呼吸

Contributed by Ayaka Suita

Trip / 2024.06.21

想像もしていなかったメキシコ・オアハカへの移住。偶然の出会いが繋いだこの地で、新しい人生の舵をどう取るか。はじめてだらけの毎日を楽しみながら、冒険するように過ごすayakaさんの移住日記。

#6


メキシコシティからバスで約8時間、ついにオアハカに到着した。
久しぶりの長時間のバス移動は身体に応えたが、オアハカのカラフルな街並みはそんな疲れを一気に吹き飛ばしてくれた。



至る所でお祭り騒ぎ、音のない場所を探すほうが苦労するぐらい、どこに行っても音楽が溢れている。音色の混ざった空気を思い切り吸い込んで、深呼吸する。

私は、いまオアハカにいるのだと実感した。
とても不思議な気持ちだった。
半年前は宮崎県で仕事をしていて、海に向かって深呼吸していた日々が遠い遠い昔のように感じた。



オアハカの家の壁がカラフルなのは知っていたが、これほど斬新な色の組み合わせだとは思わなかった。
広くて真っ青な空によく映えて、より街を美しく、力強く見せていた。





青色だけで何種類あるのだろうか。透き通った青や、淡い青、ビビッドな青など。
一つの物事でも様々な見方や側面があるということを、メキシコ人の色彩感覚を通して教えてくれている気がした。
そして、私たちが普段日常で見ている色は実は氷山の一角に過ぎず、まだ見たことのない色が世界中にはたくさんあるのではないかと思わせた。

私はオアハカに存在する新しい発見にもっと出逢いたいと心が踊った。
オアハカは街を少し散策するだけでも、メキシコ人の芸術に対する繊細な感覚を体感することができた。
気づけば私はオアハカの虜になっていた。





初日は女性用のドミトリー(共同部屋)を見つけ、そこに泊まることにした。



部屋は4人部屋で、韓国人、ドイツ人、イスラエル人、そして私が泊まっていた。

仕事を辞めて旅をしている人、絵を描きながら南米を旅している人、数日滞在するはずがオアハカの心地よさに魅了され住みついた人。

ホステルはいつもさまざまな生き方に出逢わせてくれる場所。

自分の直感に従って物事を選択し、一歩一歩進んでいる彼女たちを心の底から尊敬したし、同時に「人生は自分の意志で作りあげていくものだ」と再確認させてくれた。
この感覚はこれからも、ずっと大切にしていきたいと少し胸が熱くなった。

私がチェックインを済まして、少しベッドで横たわっていると、2段ベッドで本を読んでいた彼女が話しかけてきた。彼女は、オアハカの心地よさにはまってしまい、もう1ヶ月もオアハカにいるらしい。食べ物やお酒も美味しいけれど、それ以上に心が安らぐ不思議な力がオアハカにはあるらしい。

「お腹空かない?何か食べにいこうよ!」ベッドから飛び降りて彼女は言った。
私たちは屋台飯を探しに出た。

オアハカシティは食の宝庫だ。オアハカでしか味わえない食べ物はたくさんあるが、私が一番食べたかったのは、オアハカチーズだった。あの、さけるチーズのもとになったと言われるチーズだ。

道端を歩いていると早速、コマルで焼いたMemelas(メメラス)に出会った。豆のペーストに、オアハカチーズをたくさん裂いて、そのチーズをのせて食べる。
道端で気軽に食べることができるし、安くて絶品だ。


※コマル・・・トルティーヤなどを焼くためのフライパンの役目をするもの。


メメラスをお腹いっぱい食べて、旅人と夜まで語り合った。

明日からは、今回の滞在で一番楽しみにしていた、自然染色のワークショップに参加する。オアハカはアートの街で、芸術家たちが様々なジャンルのワークショップを開催している。

オアハカに行く前、Instagramでいろんなイベント情報を調べて辿り着いたのが、自然染色のワークショップだった。明日はどんな出逢いが待っているのだろうか。


【つづく】



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