FIND YOUR OWN #9
過酷な10daysから解放されるまで
Contributed by KYOKO
Trip / 2024.03.04
2022年の年末、ニュージーランドからすべてがはじまった。暮らすように旅をするKYOKOさんが教えてくれる、「無期限無計画旅」のススメ。
#9
ここを離れられると決まってからもストレスが溜まる日々は続いたけれど、嬉しい出会いや幸せな瞬間もあった。
わたしが今滞在しているこの場所では数週間後にフェスティバルが行われ、その準備で大忙しなオーナー夫婦。全て自分達でオーガナイズしているらしく準備はエンドレスに続く。フェスティバルのデコレーション作りのために来た、助っ人のオークランド在住の女性。柔らかく、イマジネーション溢れる女性だな〜という第一印象。ハレークリシュナという宗教を信仰している彼女。
そんな彼女とリンダ(スイス人の女の子)とデコレーション作りのお手伝いをしてる時、「この近くにとっても綺麗なビーチがあるよ!」とわたしがオススメすると、「じゃあ早朝に朝日を見に行かない?」と提案してくれた。
そして早速、次の日の朝5時半に部屋の前まで迎えに来てくれた。寝起きのリンダとわたしは目を擦りながら車に乗り込む。真夏だと言うのに早朝はかなり冷え込む。そして薄暗い中、この前ミシェルと行ったビーチ 「matauri bay」へと向かう。前に来た時に気になっていた丘から朝日が見えるんじゃないかな? と思い事前に調べておいたので、その丘に登ることにした。
この前わたしが浮かんでた所はあそこらへんかな〜と、今度は丘の上から海を眺める。朝日を見に丘を登るという過ごし方もバイロンベイに似てる。
目の前にゴールデンに輝く綺麗な太陽が現れた。サンセットも好きだけど、サンライズも大好き。
太陽が昇る反対側の景色も最高!
丘の上にモニュメントが建っていた。
どうやらこのモニュメントは「Rainbow Warrior Memorial」 というらしく、詳しくは忘れてしまったけどフランス人の船がここから侵入してきたという歴史があり、後に歌にもなったくらい有名みたい。
長いドレッドヘアがインパクト大のスイス出身のリンダはニュージーランドをバックパッカー中。そしてオークランド在住のハレークリシュナを信仰するハーリープリアはイベントのデコレーションが得意。そんな素敵な感性を持った2人とニュージーランドで初めて見た朝日は思い出に残る瞬間だった。
この前来た時とはまた違った雰囲気。朝の静かな心地よい空気が流れていて、ずっと海を眺められた。
海の目の前がキャンプ場になっているの。なんて贅沢な場所なんだろう。全然人が居なくて静かな穴場スポットな感じも最高じゃない?
ここで朝ごはんを食べているカップルを見て、わたしも将来こんな所でパートナーと朝ごはん食べたい〜! って心で叫んだ(笑)。
そのぐらいこの場所が気に入った! 南島にも海や湖の近くにこうやってキャンプ場が沢山あったけど、北島とはなんとなく雰囲気が違う。わたしは北島が好きだな〜。
そろそろ戻る時間。幸せな時間を過ごした後に、あの場所に戻るのは非常に憂鬱だけど……(笑)。さぁ今日は何が起こるのだろうか。環境はパーフェクトなんだけど、人がね。オーナー夫婦の奥さんは今まで出会った事のないくらい癖が強い。特に電波がなくて自分の部屋ではSNSもYouTubeも見れないから、その分近くの人からのエネルギーやパワーをもろに受ける。でも思うんだ。昔のわたしだったら泣いてるか、我慢してるかですぐに行動なんて出来なかった。強くなったもんだ、直接自分の想いを相手に伝えて次の移動先も決めるという解決策まで考えたんだから! 成長した。
そしてこの日の夜は、ミシェルとジョシュのお家に泊まりに行く日。午前と午後の時間でデコレーション作りの作業を終わらせて、ミシェルが迎えに来てくれるのを待つ。
今日わたしが泊まるのはここ!
大工のジョシュとDIYが好きなミシェルは、自分たちで1から家を作っているんだけど、この小さい小屋は2人が今住んでいる主屋ができる前に住んでいた場所。ターコイズブルーのドアがキュート!
お家に着いて、敷地内を案内してくれた。
あまりの広さにビックリ。庭も広くて自分たちでオーガニックガーデンを作っていたりお花や木を新しく植えたりと、オーガナイズされている。そして一番驚いたのは、裏のジャングルに大きい川があってそこも敷地内ということ!! この日は晴れていて暑かったので、みんなで川に泳ぎに行った。もちろん貸切で。自然に囲まれて贅沢すぎる……幸せ!! ミシェルは植物にとっても詳しくて、ニュージーランド特有の植物を沢山教えてくれた。
夜は、具材を自分たちで乗せたオリジナルのピザをご馳走してくれて、外で焚き火。
パチパチパチっと音を立てながら空に消えていく火を見ながらいろんな話をした。旅や人生についてだったりホロスコープ、次の場所のHelpxオーナーのフランの話しもしてくれた。
トイレはもちろんコンポスト!
この便器の下に大きいゴミ箱が付いているんだけど、それがいっぱいになったらジャングルに置くシステム。そして時間が経つとゴミ箱が爆発して自然に還るらしい。植物の肥料になるんだって! 自然の循環。
次の日の朝は、ジョシュが朝ごはんを作ってくれた。そして毎週土曜日にあるケリケリのマーケットへ連れて行ってくれて、ミシェルがこの前出会ったばっかりという男の子を紹介してくれた。でもめちゃくちゃ不思議な雰囲気というか、ミステリアスというか、あんまり喋ららない子(笑)。なんでミシェルはこの子を今日ここに呼んで紹介してくれたんだろう? 結構不思議だった。
その後、ケリケリの観光名所である「Rainbow falls」 に連れて行ってくれて、そこでその男の子とはお別れした。その後ミシェルとジョシュに送って貰って2人ともお別れ。本当にお世話になったので、感謝の気持ちをカラダ全身に込めてビッグハグ!! またいつかどこかで2人に会いたいな。
この日は、サイクロンが近づいて来ていて生憎の天気。このサイクロンは明日、近くに上陸するらしく、みんな心配していた。そしてあの場所を出るのも明日。これはGOODタイミングなのかBADタイミングなのか分からないようなシチュエーションだし、「こんな天気のなか他の場所に移動するのは心配だから次に行く場所の詳細を教えて! 日程は本当にズラせないの?」とオーナーの奥さんにうるさいぐらい確認される。心配してるようだったけど、監視されている気もして全く信用できないため嘘を付いた。ここを去ったらもう関わりたくなかったのでこれは必要な嘘。
「オークランド行きのバスのチケットを予約したから明日バス停まで送って欲しい」と伝えると、「ここからバス停までタクシーだったら$40くらいかかるんだから、送ってほしいならお金を払ってね」と嫌味っぽく言われた。
ハウスメイトのリンダも明日ここを出ることになった。そして彼女もバス停に行く予定なので、送りが必要なのはわたしだけじゃないはず。なのにお金を要求されたのはわたしだけ。とことん意地悪。完全に呆れモードなわたしは、お金を払ってここを出られるならば。という考えに至りもはや無の境地。意地悪するのは相手を傷付けたり不快な気持ちにさせるのに……でもそんな態度をするのは心が満たされて無かったり余裕がない証拠。と、ストレスはあるけど心は満たされてるわたしは1歩先をいくのだ。きっとこんな意地悪してたら自分に悪いことが返ってくるのに。
2年前知り合いに言われて心に突き刺さった言葉
「地球は丸いから自分がした事は返ってくる」
はじめてこの言葉を聞いた時に鳥肌が立った。
それからわたしはこの言葉を信じている。
数年前からふわっとこの言葉に似たようなことは思っていたけど、言語化できないでいた。365日良い人でいるのはもちろん難しいけど、なるべく(気持ちが)「良い事」をして周りの人に循環したいなと心掛けるようにしている。優しい人の周りには優しい人が集まるように、それを心掛けていれば良いことも引き寄せられる。良いことも悪いことも自分がしたことが返ってくるということは、「起こることは全て自分の責任 = 意味がある」という結論に至った。これまでの生活や人間関係、旅や留学など色んな事から学んで経験したわたしなりの答えだ。
そんな事を信じていたら、どこかの神様がミシェルと出会わせてくれて、次の場所へと導いてくれた。悪い状況から救ってくれた。意地悪な経験もしたけれど、心温まる人間の優しさにも触れたし結果オーライ。
でもこの数日間は正直、精神的にキツかったから早く全部投げ出してこの環境から脱出したかった。だけどここでの経験や学んだことも大きく、自分が下がっていたり悩んだり、悪いことが起こる時こそ学びは大きいんだなと。
そしてとうとうこの場所を出る日が来た!!
バス停まで送ってもらい、「ありがとう」 と伝えてみんなとお別れ。解放された〜!!! という清々しい心とは裏腹に外の天気は大荒れで、雨に打たれてびしょ濡れだけど、キャリーケースを引きながらマクドナルドへ向かう足は軽め。
ここで待ち合わせをしている。
次に向かう場所はここより北にある「Taupo bay」 という場所。ミシェルとジョシュがお母さんのように慕っているというフランが迎えに来てくれ、今日からハウスメイトになるフランス出身のフローラも隣に居た。車に乗り込むと助手席に可愛いワンコのリリーが元気にワンワンと吠えていた。かわいい〜! 今日からよろしくねとアイコンタクトして車が出発。
辛くて長い10daysから解放されて、また新しい生活が始まる。どんな場所かな〜とうきうきしながらも外は土砂降りで風が凄くて車が飛ばされないか心配。こんな悪天候な日に、オークランドから北部へ帰るという予定を変更せずに、通り道であるケリケリに迎えに来てくれたフランに大感謝なのでした。
つづく
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KYOKO
東京生まれ東京育ち。自分に合った心地良い生活を送るためにたどり着いたオーストラリアのビーチタウン。自然と調和しながら太陽をいっぱい浴びスローライフを送るなか、旅や人生のなかで見つけた学びや経験をシェアしたい! と思うようになり文章を綴る。人生楽しむ! がモットー。