Vietnam / First Day in Sapa

This Time Tomorrow #3

Vietnam / First Day in Sapa

Vietnam / First Day in Sapa

Contributed by Natsumi Chiba

Trip / 2019.01.21

現在、東南アジアを旅している千葉夏海さんの旅連載「This Time Tomorrow」。第3回は、ベトナムのサパ編です。旅先でのリアルな様子をお届けします!


サパに到着し、2日間のトレッキングがはじまった。

ガイドはクインという女性。彼女は今まで接してきたベトナム人のなかで一番英語が上手だった。



驚くことにすべてツーリストから学んだという。貧しいうえに妹たちや家畜の世話をしないといけなかったため、学校にはいけなかった。8歳のころからツーリスト達と接し、ガイドの仕事を通して英語力を身につけたそうだ。
それを聞いて私たちツアー参加者は感心しきりだった。

彼女には娘が二人いて、上の子は学校に通うため山奥の実家から離れた、サパのメインタウンにある寮で離れて暮らしている。下の子はまだ小さいが、その子も学校に通わせたいといっていた。しばらくそのことを考えながら、道なき道を歩く。途中からどこからともなく、また別のローカルの女性が合流し、一緒に歩きはじめた。そのときは、ガイドが増えたんだなと思う程度で特に気にはしていなかった。

久しぶりにたっぷりの緑に囲まれ、土の匂いに癒される。空を見上げるとビルやら電線なんてものは皆無。最高だ。



途中ほかのグループともコミュニケーションをとりながら歩いた。その中に、何人か赤ちゃんをおんぶしながらガイドをする女性もいた。中学生くらいにみえた少女がおんぶをしているものだから、どこかのお家の赤ちゃんを交代で子守しているのかと思い、本人に聞くと自分のこどもだという。内心かなり驚いた。



見渡すと他のお母さんもかなり若くみえる。この地域の女性の出産はかなり早いようだ。サパに暮らす女性は大人もこどももほとんどみんな背たけが同じくらいだ。大人もこどもも、ある程度の身長で止まっている。何時間もかかるトレッキングに赤ちゃんをおんぶしながら歩くのだから、たとえ赤ちゃんが泣いてミルクを欲しがっていても、なかなかあげられないだろう。実際泣いてる赤ちゃんは背中でずっとあやすだけだった。みんなの体格がかなり小さいのは、こういうことが関係しているんだろう。初日のトレッキングも終盤になって、途中から合流したガイドが「お土産を買わないか?」と、うしろに背負った籠から品物を次々ととりだす。

ふむ。そういうことか。メインのガイドと別にお土産係がいるのだ。噂には聞いていたが、彼女たちはグイグイと買わないかとやってくる。クインの娘の話も聞いていたし、ひとつくらい買ってもいいかなと思ったが、私はこの2日間のツアーに68USD払った。この旅はまだまだ先は長く、タイトな予算ではある。必要のないものを買う余裕は私のバックパックにもお財布にもないなと思い、丁寧に断った。何人かの同じツアー参加者も同じように断っていた。辺りも暗くなり月の光を頼りにして、サパの村をまたてくてくと歩く。月の光をこんなに身体中に浴びるほど感じたのは、最後はいつだったかなとふと思う。

ホームステイ先につくとあたたかいご飯が用意されていた。今日の寝床はホームステイ先の布団。みんなそれぞれ荷物をおろし、大きなテーブルへと向かう。ビールや水も売っていて翌朝にまとめて支払う形式。ビールとおいしいご飯を頂きながら、仲良くなったツアー参加者たちとお喋りがはずんだ。宴が進んでいくと、今日一緒に泊まるガイドのクインが「ハッピーウォーター」なる液体を持ってきた。サパの棚田でとれたお米のお酒だそうだ。そんな素敵なお酒が飲めるなんて思ってもなかったので、とても嬉しかった。味はうすい純米酒とウォッカを足して2で割ったようなかんじでさらっとしており、飲みやすくて美味しい。

12キロのトレッキングを終えて全員へとへとだったが、さすがみんなバックパッカーで今までの旅路やこれからの目的地についての話に花が咲き、居心地のいい話題についつい、深夜まで話し込んだ。

To Be Continued.


BGM: You're Wondering Now / The Skatalites


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