胃袋で感じるNY vol.1

No Sleep Ever #15

胃袋で感じるNY vol.1

Contributed by Chika Hasebe

Trip / 2023.10.06

「NYは毎日どこかで何かしら起きている、本当に忙しい街」目標に向かって、自ら道を開拓し続ける会社員・Chika Hasebeさんが、眠れない街NYへ旅に出た。誰よりも好奇心に従順な彼女だからこそ感じる、NYでの新しい発見と、心揺らすできごと。

#15


誰かが言った、「NYはなにもないけれど、なんでもあるところ」。行ってみて文字通り「なにもない」とはさすがに思わなかったけれど、多文化が入り混じっている様子を見る限り、各々がどのルーツを持っているか一言でパッと当てられることはあまりない。食もその一つだ。NY流にアレンジされたあらゆる国の文化は、わたしの胃袋にどんどん流れ込んできた。面白かったものたちをいくつか振り返ってみる。vol.1は友人と食べた同じ釜の飯編。





5 Napkin Burger

NYに着いて初めて食べたご飯はハンバーガー。前日に到着していた友人たちが調べてくれて行き着いた場所だ。あとから気づいたのだが、このエリアはHell’s Kitchen。行く前に母からあまり治安がよくないところとして知らされていた場所のうちの一つだった。ところで、治安が良い、悪いって、色々見比べてから初めて良い、悪いと判断できるような気がする。だからなのか、お店に行ったときわたしはこのエリアの治安を悪いとも思わなければ、ちょっとバイクの運転が荒いぐらいで特に気になることもなかった。そこがHell’s Kitchenと気づいたのも数日経ってからだった。

そう、ハンバーガーの話。味はジューシーで、アメリカ来た〜〜!って感じ。バンズ、パテともに厚みがあり、チーズもとろける。カジュアルすぎず、かしこまりすぎず、週末の外食にちょうどよさそうなお店だった。



ちなみにNY初日のわたしは、早速クレジットカードがどれも使えず出鼻を挫かれ、このときかなりパニックだった。



Ess-a-Bagel

友人二人のうち一人は訪れたことのあるベーグルショップ。NYといえばベーグルが有名で、ここ以外にもベーグル専門店はいくつかある。東京ではたまに駅ナカで見かける程度だし、スーパーでも置いていないところがあるぐらいの普及率の低さ。普通のパンに比べてヘルシーなだけでなく、食感ももっちりして美味しいので、東京にもNYぐらい広がってほしいものだ。


メニューは競馬場の電光掲示板方式


Ess-a-Bagelの何が特別なのかは、友人が語っていたが忘れてしまった。由緒あるお店であることは確かで、1976年創業とのこと。3rd Avenueというマンハッタンのビジネス街のど真ん中に位置し、セントラルパークからも程近い。そこでテイクアウトしてから公園でピクニックするのが大正解。わたしは食べたことがない組み合わせを食べてみたかったのでビーフを、友人一人は代表的なサーモンクリームチーズのメニューを、もう一人は自分でカスタマイズしてサーモンクリームチーズを注文。わたしのベーグルはまさかの包丁でパカっと割って断面を見せるタイプではないオープンサンド仕様になっていて、その上ホットメニュー。紙から出して頬張るハンバーガースタイルは叶わなかったが、肉厚具材盛りだくさんで昼だけで1日分の食事をした気分になった。


強風が吹いていて、このセットを作り上げるにも一苦労



途中でわんこの乱入もあり




Peter Pan Donut & Pastry Shop

BrooklynのフードマーケットSmorgasburgに行く途中、Nassau Avenueあたりを散歩していた。この辺りを通るなら、とのことで寄ったドーナツショップがPeter Pan Donut & Pastry Shop。朝ごはんの時間に行ったが、店内は持ち帰りもイートインも満パンで順番待ち。スパイダーマンシリーズ最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のMJが働くドーナツ店のモチーフになったこともあり、常に混んでいるようだ。地元の人にも愛される$1ドーナツと店員のかわいい制服が見どころらしい。店内にいるだけでもアメリカ感を味わえてかなりおすすめ。ドーナツの種類は多すぎて全然選べない。結局チョコレートスプリンクルクリームドーナツを選択。




ピンクの帽子がチャームポイント





日本のミスタードーナツとは異なり、ベースのドーナツはリングタイプ一択であることが多い。ミスドのカスタードクリームみたいに穴が開いていないタイプもたまにあるが、基本はクリームタイプのドーナツでも上にドボンとクリームを乗せるのが主流。



Brooklyn Farmacy & Soda Fountain

ドーナツの後はSmorgasburgで食べ歩きをするつもりがまだシーズン前だったことが判明。Williamsburgでは6月から始まるらしく(渡米時5月)、まだまだ何も始まる気配がない更地しかお目にかかれなかった。

予定が狂ったので、代わりにBrooklynのベイエリア沿いをぶらぶら。その最中、一軒行きたい場所を思い出して急遽シェアサイクルに挑戦してみた。辿り着いたのが、Brooklyn Farmacy & Soda Fountain。とにかくお店の外観と名物のサンデーがかわいいことで有名だ。名前の通り、元々は薬局として使われていたそうで、店内の薬棚やモザイクタイルの床から趣を感じる。



NYに来てまだそれっぽいスイーツを食べていなかったわたしたちは、ピーナッツバターとチョコレートがけのクッキーを頬張った。



Eileen's Special Cheesecake

先輩に教えてもらったチーズケーキ店も紹介したい。Eileen's Special Cheesecakeは、スケーターたちが昼夜問わず集うLt. Petrosino Squareの向かいにある小さなテイクアウト専門店。店内にはその歴史を語るかのように、今まで訪れた数々の著名人たちの写真や店の紹介記事が飾られている。種類がかなり盛りだくさんで選べない。チーズケーキ好きとしてはかなり天国なのである。




日本の雑誌の紹介記事も発見。紹介の通り、甘い重ったるい感じがなかったのでびっくり。




St. Anselm

Williamsburgで予約必至のステーキ店。NYに来たからにはステーキを一回は食べたいとのことで、色々渡米前からリサーチしたが、とにかく有名どころはもうすでに日本に進出済みということが判明。であれば、別に日本でもいいんじゃないか……? という結論になりかけたものの、なんとかローカルで輝く星を見つけた。それが、St. Anselm。前もって予約しようとしたが、既に日が明るい夕方にしか予約ができなくなっており、人気さが伺える。無事予約できたのでお店に向かうと既に店は埋まり気味で、この時間でもうディナーを終えそうな人すらいた。

注文したメインは、リブステーキとラムチョップ。誰にも言っていないが、わたしのラム好きはこの店から始まったと言っても過言ではない。このときの経験が忘れられないからか、ラムの選択肢があるといつもどこでも選んでしまう。しかし、事前口コミ情報だと、感動するのはマッシュポテトだそう。付け合わせとして頼んでみたが、これが本当だった。わたしたちの胃袋では、肉を超えてサイドが金星を獲得。口コミ通り感動モノのマッシュポテトだった。行く方がいたら、絶対に頼んで欲しい。


中皿に盛られた焼き目のついたものがポテト。ステーキの前ではニコニコが止まらない。




The Meatball Shop

旅行中に完全ノックダウンの風邪を引いたのだが、絶対にブロードウェイを見逃したくなかったので気合いで治した。ミートボールはその病み上がり最初のご飯。お粥のような優しい食べ物からは程遠いパンチのある食事だったが、何も口にしていなかったのでミートボールだけでなくマッケンチーズまでオーダー。マッケンチーズは毎回食べるまでのテンションが最高潮で、一口食べるだけでもう満足してしまう。それを知っているはずなのに、メニューで目にする度に目が輝いてしまって、つい注文してしまう癖を辞めたい。

肝心なミートボールは、三種三様のオーダーの仕方ができるぐらい、とにかくバリエーションがすごい。素材から、ソース、付け合わせの種類までどう組み合わせたらいいのかわからなくなるほどの選択肢。お弁当の副菜かIKEAフードのイメージしかもっていなかった24歳女、主菜として輝くミートボールを初めてみた気がした。


ソースの食べ比べセットを頼んだ友人




Five Leaves

友人二人は先に帰国する予定だったので、この日の朝が最後のブランチに。アメリカらしい朝食を食べようということで、いつも一日中混んでいるらしい「ニューアメリカン」のカフェにトライ。このエリアは全体が洗練されていて、周辺の古着屋やセレクトショップもなかなか魅力的だった。ここは前述したドーナツ店からほど近いところにあり、一週間過ごしていて同じところを無意識にぐるぐる回っていたことが後から判明。Brooklynは広いが、意外と発展しているところは限られているよう。生憎の雨だったが、テラス席に座る一同。席にはビニールがかけられ、雨でも使える仕様になっている。こんな天気でも結構みんないい朝食を求めにくるのね。店内は満席だった。

わたしたちはパンケーキ、サーモンとハッシュブラウン、ホームメイドチキンパイを注文。メインは一つ、サイドを二つと控えめに頼んだのに、それでもだいぶお腹にきた。店内ではチキンパイの他に、クロワッサンも焼いている。個人的にはメニューにあれば必ず頼むほどハッシュブラウンが好きなので、それにサーモンとクリームソースをトッピングして食べることができて大満足だった。



友人二人とのFoodie期間はこれで終了。このあと一週間は一人でどこまで楽しめるかウィークに突入する。



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