
This Time Tomorrow #17
階段の出会い
Myanmar / Mandalay
Contributed by Natsumi Chiba
Trip / 2019.07.02
ヤンゴンからバスで9時間ほど揺られると、ミャンマーの主な観光都市のひとつのマンダレイに着く。
バスから降りると、「タクシー、乗らんかね、タクシー乗らんかね」のおじさん達に180度以上囲まれる。でもミャンマーの人達は諦めが早くて、不思議と威圧感はなく、嫌悪感がない。その中で一番安くしてくれた一人に予約したホステルまで連れて行ってもらうことに。ヘルメットなし、両ミラーなしのバイクタクシーだった。今までベトナムやタイで運転の荒いバイクタクシーには何回か乗ったけど、ヘルメットもミラーすらもないのは初めて。思わずまくっていた上着の袖を下ろし、コケたときどうやったら頭を守れるだろうなんて考えていた。
マンダレイの街を一望できるマンダレイ・ヒルへと向かった。
高さ240メートルほどの山で頂上にあるパゴダへいくには坂道をトゥクトゥクで連れて行ってもらうか、1000段ほどの階段をのぼる。ここも裸足にならないといけないため入口で靴と靴下を預けた。
無言で階段を上る静かな時間。裸足で堅い石段や砂利の上を歩くのにも大分慣れて、むしろ気持ちいいくらい。

時たまお土産屋さんや仏陀像が出迎える。お供えの花や線香を売るにくるおばちゃんに急に花束を渡されて「ホレ。金くれ」と手のひらをこちらに向けてくる。「いらないよ」と言えばすぐに踵を返して去っていく。やっぱり諦めが早い。
長く果てしなく頂上へ続く階段の脇には簡易的な家や井戸のようなものも建っていて、水浴びをする子どもや洗濯をする人、赤ちゃんに授乳しながら階段に座る女のひともいた。
「ここに住んでるの?」と思ってしまうような家や「こんなとこに住んでるの?」という場所にも、当たり前に人々の生活が存在しているから、殻に入った’’日本のあたり前’’が卵を割る要領でトントンと軽快に頭の外に出ていくかんじがする。




途中ですれ違った男の人に「あなた日本人?」と話しかけられた。「そうだよ」というと嬉しそうに日本人はとっても優しい、日本に行ってみたいなどとぺらぺらとお喋りをはじめた。

たとえば旅人同士で「どこからきたの?」「日本だよ」「オ~、日本は絶対に行ってみたい国のひとつだね。日本のカルチャーは素晴らしいよ」という会話は何回もしてきたけど、道端で出会ったローカルの人に熱く日本を語られることってたくさんあることじゃない。
ローカルと会話したいとおもっても言葉の壁で会話にならなかったり、こちらが心をオープンにして意識して話しかけていかないと会話のチャンスって通り過ぎてしまったりする。
汗だくになりながら階段を上っていたら、それが向こうから笑顔でやってきた。ミャンマーらしいしなやかな出会い。
しかも、「日本の政府がミャンマーを支援してくれたんだ、ありがとう」なんて言われるなんて。恥ずかしいけど、そうなんだ? と思ってしまった。あとで調べてみようと男性とサヨナラしてまた無心で階段を上った。
To Be Continued.
BGM : Some Kinda Love / The Velvet Underground
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Natsumi Chiba
神奈川県茅ヶ崎在住。20歳のときにいったオーストラリア留学がきっかけで旅にハマる。最近はジャンクのフィルムカメラで写真を撮り始める。好きな音楽はレゲエなど。












































































