Gloomy day All day #19
Last Day in London
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2023.11.10
#19
1月3日。朝、昨日病院で受けたコロナ検査の結果がメールで届いた。正直、期待していなかったというか、期待しない! と胸に決めて受けた検査だった。昨日の朝家で受けた簡易キットの検査では陰性だったけど、病院の精密な検査では陽性になることが多いらしいから。
しかし、その結果は驚くことに陰性だった! 日本にいる家族に電話で伝えて、そのまま日本のエミレーツに電話してキャンセルしていたフライトを取り直した。帰国の便は明日の夕方。ここ1週間、のんびり(隔離)生活をしていて、しばらくこんなゆったりとした日々が続くのでは? と思っていたのに、あまりにも急なスピード感。心はまだまだ帰る用意ができてないけど、そうは言っていられないくらい時間もないので、わたしは自分のお尻を叩いてばたばたと帰国の準備に取りかかった。
そんなこんなで改めて帰国に必要なドキュメントを見ていたら、あることに気がつき思わず声が出た。さっきの病院の陰性証明書はオンラインのPDFでもらっていたのだけど、日本の陰性証明のフォーマットにドクターのサインが必要らしいのだ。華子さんに喚いて助けを求めると、"Sorry VERY URGENT(至急対応して!)"というタイトルをつけたメールを病院に要請してくれた。でも病院がメールをちゃんとチェックしているとは限らないし、なんせ時間もない。わたしはそのお返事を待ちつつ、同時進行で病院まで足を運んで、サインをもらいに行くことにした。
そうして昨日ぶりに訪れた病院は、スタッフがランチ休憩中で、一時的にクローズ中で、しばらく時間を潰さなきゃ。最後に観光名所でも行こうかと、大英博物館へ行くことにした。昔よく、ここでリアムと勉強してた。何を言っていたかはさっぱり忘れたが、なにやら説明してくれたオブジェがまだあって、懐かしかった。
病院に戻ると、今度は大行列。全く、ツイてない。最後の試練だと思って待った。
順番が来て事情を説明したら、今日はキングスクロスの病院にドクターがいないと悲劇的なことを言われた。代わりに、ドクターがいるのはFulham Broadwayというウェストサイドにある提携病院。がっくりと肩を落として、この数時間はなんだったんだと思いながら、その病院へ向かった。
3度目の正直で、ドクターのサインをもらえた。ドタバタのロンドン最終日、最後のディナーへ向かう。
なんだか聞き覚えがあった待ち合わせ場所のステーキレストランは、やっぱり4年前一度サンデーローストを食べにきたところだった。サンデーローストとは、イギリスの数少ない伝統料理。ローストビーフがメインのワンプレートだ。
華子さんが手慣れた手つきでオーダーしてくれて、私たちはとってもとっても美味しいステーキを食べた。これがイギリス最後のディナーになる。この1週間、それは予想もしていないことの連続だったし、不安とか、この状況から逃げたいような気持ちにもなったのだけど、2人のおかげで寂しくなかった。二人へのありったけの愛と感謝と、やらなくては行けないことは一個一個ちゃんとクリアできたから、今回ばかりはちょっと自分も褒めたい気持ち。
今日のお酒はいつもよりさらにおいしい。
ディナーのあとは、Bar Italiaへコーヒーを買いに。ここはむかーしからロンドンにあるカフェで、今からでは作り出せないような趣きがすごく落ち着く。行きたいなと思っていたら、華子さんがごく自然に連れてきてくれた。昔から通ってたんだって。素敵!
そのあとは、お二人のお決まりコースらしい、チャイナタウンのマッサージへ。わたしの生活にはまずないチョイスで、新鮮ですごくテンションが上がった。こうやって、ひょんなタイミングで、求めてなかった場所(店)へ一歩足を踏み入れると、すごくドキドキするんだ。
わたしは華子さんのおすすめの足のマッサージ(笑)。
こうやって、わたしのロンドン最終日は、なんとも素敵で幸せで、現実ではないみたいに幕を閉じた。もちろん名残惜しいけど、この半月、思い残すことのないような思い出がいくつもできて、また日本に帰るのもちょっとだけ楽しみ。
つづく! 次はラスト。
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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