About Time #19
NYC5日目
Contributed by Sho Mitsui
Trip / 2021.12.02
#19
いよいよ来てしまった、事実上の最終日。
今日も今日とて一瞬たりとも無駄には出来ない。
勿論、1日のスタートはCafe Integralから始まる。
大抵はカプチーノを頼むのだが、今日は季節限定フレーバーのラテを注文。現在はchestnut(栗)。
栗の甘みとエスプレッソの苦味が絶妙なハーモニーを口の中で奏でてくれる。ナイスな一杯だ。
まず向かうは「安心メディカル」。帰国の為の陰性証明書を受け取らなければならない。昨日、$300の領収書をインスタのストーリーズに載せたらアメリカの友達から次々と反応が来る。
「何でそんなに高いわけ?」
「いや、お前カモられてんじゃん!」
「マジでそれ払ったの???」
「アメリカへようこそ」
など。
「アメリカへようこそ」というコメントは的確ではないかもしれない。日本の方が高かったしw
朝のサブウェイは通勤客が多めだが、日本のラッシュアワーに比べたらなんて事ない。結局、滞在中にパンパンの地下鉄に乗る事は一度もなかった。こちらの駅や電車は日本に比べると格段に汚れているが、空いているところは最高だ。そういえば、LAとNYCを通じて「密」の状態に出くわした事はComplex Con以外無かった。もちろん、その様な場に身を置かなかったということもある。帰れなくなったら大変だ。
病院へ行く途中、「陽性だったらどうしよう...」という考えがよぎらなかったわけではない。もちろん、徹底的に気を付けていたので、大丈夫だろうとは思っていたが、それでもやっぱり心配だ。
「安心メディカル」は高級で、ぼったくり感は否めなかったけれど、その名の通り「安心」だった。予約をしていない僕に検査を受けさせてくれたし、結果も次の日の朝イチに教えてくれた。名前、パスポート番号を何度も先生と一緒に確認して、間違いのない様にしてくれた。原本であるという証明のスタンプも目の前で押してくれる。こういうサービスは日本のクリニックには無かった。
受けたのはPCRではなく、抗原定量検査!!! 日本だと¥3,000〜¥5,000で受けられる検査だ。
うわー。やっぱりやられてるかもwww
今日、取材する予定なのはVanna Youngstein。NYCのITガールとして知られていた彼女は自身のブランド"Vanna Youngstein"を立ち上げ、キュートなTシャツやタンクトップでたちまち人気を博した。実際、彼女の1番人気のグラフィック"Cherry Baby"がプリントしてあるTシャツは、現在入手困難でセカンダリーマーケットで高騰しているとの事だ。
(写真はVanna Youngsteinのインスタグラムより)
ニューヨークで誰を取材するか考えた時に、真っ先に思い付いたのが彼女だ。彼女と知り合ったのは2017年だったと思う。当時、X-GIRLで働いていたアイコさんにNYCで紹介していただいた。Manonやベイカー恵利沙ちゃん達と一緒にランチをした思い出がある。
その後、VannaがWilliam StrobeckとWilliamが撮影したSupremeのフルレングスビデオ"BLESSED"の東京プレミアに合わせて来日した際、丸一日2人をアテンドして更に仲良くなった。
どうやら数日前に転んで足首を怪我してしまい歩くのが辛いとの事で、Vannaの家から近いカフェで待ち合わせる事になった。
Sami & SusuというLESのカフェ。VannaとWilliamは毎日ここに通っているとの事。
暫く待つと、彼女がやって来た。なんと2021年の夏までずっと、生まれ育ったロンドンに避難していたそうで、最近ニューヨークに戻って来て引っ越したというのだ。やはり、コロナ禍は確実に人々の生活に変化と影響を及ぼしている。
Vannaのコーディネートは非常に幅が広い。シックに決める時もあれば、今日みたいにガーリーな時もある。けど、ガーリーにも遊び心があるのが彼女のスタイル。ギンガムチェックの上に着た赤いスウェードジャケットは、カウボーイを思わせるフリンジがカッコいい。身に付けているアクセサリー等の組み合わせも実に秀逸だ(日本でのスタイリングやクリエイティブ・ディレクションの仕事にも興味を持っているので是非、お問い合わせの方は僕までお願い致します!)。
「ごめんなさいね。怪我して以来、あまり調子良くなくて顔も疲れているから写真は後日私から送るわ」
という事で、この日は彼女の全身写真を撮影することは叶わなかったが、彼女のインタビュー記事には素敵な写真を載せられるはずだ。
なんせ久々に会うのでお互い積もる話がある。インタビュー終了後もファッションやクリエイションについて、お互い話が止まらなかった。
「そう。近くに可愛いキャンディーストアがあるの。日本へのお土産に喜ばれるわよ」
そう言って連れて来てくれたのがこの"Economy Candy"。
中は甘〜いキャンディーの香りで、甘党の僕には正にワンダーランド!
ビンテージのデッドストックトレーディングカードがすごく良心的な価格で売られているのも魅力。
アメリカのキャンディーのトンチの効き方は最高。
"PSYCHO"(イカれた女)味www
「レストランやカフェでお薦めが必要だったら何でも聞いて。こっちに来て何か美味しいもの食べた?」
「うん。ピザ」
「え。嘘でしょ?!ちゃんと食べなきゃ!Cafe Mogadorに行ってみて!最高の地中海料理が食べられるわ」
...やっぱりピザはアメリカバージョンのラーメンだ。
ここでNealから連絡が来る。
「ごめんお腹減りすぎでご飯食べちゃった。後、時間を30分早めてくれ」
流石普段はLAに住んでいるNeal。一緒にWest Villageでランチをする筈だったのだが、彼のアパートメントに急いで向かう事に。Vannaとはここでバイバイだ。
ちょうどVannaと別れ際にWillamが立ち上げた新プロジェクト"It's Violet"のポスターを見つける。上にポスターが貼られてしまっていたが、こうやってポスターが破れた下に僅かに見える"Violet"の"olet"の部分がやけにオシャレだ。
10分でNealのアパートに着かなくてはならなかったのでUBERに飛び乗る。
UBERの中からたまたま見つけた今回の旅2回目のSpace Invader。あの親子(何のことか分からない人はアーカイブを読んで下さいね)はきっとこれも見つけているだろう。
Nealのアパートにも鉄壁のコンシェルジュがいる。Maronさんのアパートを訪れた時の経験を活かし、コンシェルジュにNealに"会い"に来た事を伝える(何のことか分からない人はアーカイブを読んで下さいね)。
僕:「着いたよ」
Neal:「2F」
僕:「着いたよ」
Neal:「入ってきな」
「嘘でしょ?!鍵かけてないの?」
部屋に入って開口一番そう言うと
「だって誰が俺の部屋に押し入ってくるっていうんだよ?」
僕のアパートはオートロックで13階だがそれでも鍵はかける。
皆んなニューヨークは危ないなんてイメージを持っているかも知れないけれど、コンシェルジュがいるアパートに住めば、安全は保障されたようなものらしい。
(さりげなくSupremeのジップフディーを着ているところがポイント高い)
「インタビューするんだろ?何分かかる?13時半に友達と会わなくちゃいけないんだ」
なる程。だから、予定が30分巻いたのね。
「大丈夫だよ。30分で終わらせよう」
Nealは博識だ。めちゃくちゃ面白いけど、それ以上に色々な事を知っている。
彼の"How Neal Feal"というpodcastが僕は大好きで、NealがNYCに引っ越すまで毎週欠かさず聞いていた。おかげで、大分アメリカの政治に詳しくなった。
「LAに帰ったらまたpodcastやるの?」
「いや。多分やらないかな。儲けは全部Bianca(podcastのco-host)にあげてるし、第一人気じゃないんだよ。皆んな俺のpodcastじゃなくて、New York Timesのpodcastを聞いているのさ」
「でも、Nealの方がNew York Timesより面白いじゃん」
「それは言えてるな(ちょっと嬉しそうだった)」
こんな会話で僕らのインタビューは終わった。短時間だったが、すごく実りのある会話が出来て、Nealには感謝だ。
「次はいつ日本に来るの?」
「そうだな。海外旅行が他人から嫌味に思われなくなった時かな」
わかる? 流石コメディアンの返しだ。
「日本に行ってYaecaストアを片っ端から攻めたいね」
Yaeca好きが高じて日本の生地で作った"Neal Brennan Shirt"をお土産に貰い、彼の家を後にする。
さて、次はAriannaに会わなきゃ! なんせ、妹からお土産を渡すのを"頼まれて"いるのでね。
彼女も忙しいらしく、今日のこの時間にしか会えないそうだ。僕のairbnbの近くまで来てくれるということで、West VillageからLESまで戻る。
歩いていると長蛇の列が。並んでいる人達の大半がかなりおしゃれだ。Supremeの列の5倍はあった。
何事かと思ったら、
Vivienne Westwoodのサンプルセールだった。
帰り道はNEW MUSEUMのショップに立ち寄り、ここでしか買えないRaymond Pettibonの本があれば買いたかったのだが、
なんと、ミュージアムは開いているのにショップが閉まっている! そんな事ある??? 部署が違うって事??? 信じられなかった...
そんなこんなでLESに戻ると
Arianna登場! 彼女には写真家のアサト君を通じて日本で知り合った。その後、妹がニューヨークに行った時に2人はめちゃくちゃ仲良くなったみたいだ。前回会った時、彼女はソーホーのイッセイミヤケで働いていたが、いまやファッション系tiktokerになっていた!
「ごめんね!私いつもはめちゃくちゃ暇なのに今週だけもの凄く忙しいのよ。今から日本語学校のテストを受けなきゃいけないの」
会った時間は正味5分程だろうか。Ariannaを駅まで見送り、気付いた。
「あ。今日なにも食べてない。お腹がとてつもなく空いている」
向かうのはもちろん、近所のピザ屋。ここ、Scarr's PIZZAはブルックリンの伝説のピザ屋Di Fara Pizzaで修行した職人が作っていて、ストリートカルチャーにも精通しており、客層も若者が多い。
マルゲリータとペパロニの二枚抜き。お腹ペコペコだったのも手伝って死ぬ程美味い!
さて、もう残った用事はと言えば同時並行で連絡を取っていたBeatriceのインタビューだったが、途中で連絡が途絶えた為、ほぼ諦めていた。もう、好きな事をしよう。残り時間も少ない。
LES Skateparkでスケーター達が楽しむのをしばし鑑賞。平日で人も少なかったが、だからこそ皆んな伸び伸びと滑っていた。
こじんまりとした古着屋だったが、店内のレイアウトがオシャレだった"Leisure Centre"
Mcnally Jackson BooksでDave ChappelleのNetflixスペシャルにも出てきたIceberg Slim著の"Pimp"がたまたま目に入ったので買うしかない。
インスタを見ていたらFucking AwesomeのLA店に吊るされている、パトカーをモチーフにしたクリスマスツリーのオーナメントが明日リリースされるとのこと。
店まで足を運び、スタッフに直接交渉。
「明日早朝に日本に帰るんだ。オーナメント売ってもらえない?」
ストアTシャツを買った時に接客してくれた子がいて覚えていてくれた。
「もちろん」
ステッカーもオマケに沢山入れてくれた。こうやって顔見知りになると、気前良くサービスしてくれるのもアメリカのノリだと思う。好きだ。
ここまで来たらついでにA1 RECORD SHOPにも顔を出そう。正直、中古レコード屋は日本の方が数も多いしクオリティーも高いと思う。が、体験が大切なのだ。
このザ・中古店感がたまらない。以前、ここでKanye Westの"College Dropout"のオリジナル盤を買ったのは良い思い出だ。今回は特に収穫は無かったが、30分はここで過ごした。
歩いていたらまた、UFOに遭遇。いつ見つけてもやっぱりテンション激上がりだ。
ついでに、Off Whiteの主宰者でLouis Vuittonのディレクターでもある、Virgil Ablohも大好きなCha Cha Matchaにもふらり。ここは映えカフェとして日本人観光客にも人気。
抹茶の味はともかく、ここはマーチだ。オンラインでも買えない、店限定もの。壁にかかっているフディーが欲しかったが、残念ながらXLとXXXLしかないとのこと。諦めた。
更に彷徨っていたら、いつの間にかPrince St. Pizzaの目の前に立っていた。Googleマップを開いていたわけでもないのに。これは完全にピザの神様によって僕が導かれたに違いない。最後のニューヨーク・ピザはPSPが相応しい。
やっぱり、最高の味がした。ニューヨークのピザは本当にどこも美味しいが、ここの味はどうしてもレベチである。
楽しかった。完全にNYCを満喫出来た。出来れば、チェルシーのギャラリーを片っ端から回りたかったし、LQQK STUDIOにも顔を出してAlexにも会いたかった。KumasiがニューヨークにいればもっとGood Co.でチルできただろう。でも、旅はその場所に居過ぎるより、「あー、もう少し居たかったなー」と感じるタイミングで終える位がちょうど良いのだ。
全くもって無駄な瞬間がない旅だった。非常に実りも多かった。
そして、LAもNYCも友達のおかげで、素敵な時間を過ごせた。持つべきものは友という言葉が身に染みる。
だからこそ、僕も彼らが日本に来るときは精一杯もてなしたいのだ。
さて、翌日は寝坊するわけにはいかない。さっさと荷物をまとめて寝よう。
今日FAで買ったものを袋や箱から出してスーツケースにしまおうとすると...
な、なんと...箱の中にオーナメントが入っていなかった...
店員との会話を思い出す。
「今日ちょうど入って来てさ。今オーナメントをディスプレイに入れたところさ」
おい、俺に売ったの絶対そのディスプレイに入れたオーナメントが入ってたはずの空箱やんwww
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Sho Mitsui
元英語教師、現カルチャーコーディネーター。チャンネル登録者121万人越えのYoutuber、PDRさんと一緒に隔週で放送している「痛いおじさんズPodcast」が大好評。いつかはプロPodcasterとして生きていくことを夢見つつ、世界中のセレブにご飯を食べさせて貰いながら、どうにかこうにか息をしている。
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