「いつかフランス語を話したい」

Greenfields I'm in love #33

「いつかフランス語を話したい」

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2021.04.09

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身の大学生、Aya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#33

ロンドンから親友まりかとねるに会いに行ったパリ旅行、3日目。今日はスペシャルな友達がもう一人。紀香というアルバイト先が一緒の友達が家族旅行中で、会えることになったのだ。実は今回の旅は彼女のパリ滞在に合わせて日程を決めた。

完全に昼夜逆転した生活の私たち、夜行性のねるはお家で留守番をし、紀香をホテルまでピックアップ(徒歩で)してブランチを食べに行った。窓が多く、光がたくさん差し込んだ心地よい店内で、美味しいオープンサンドを頂く。紀香はわたしやまりかがこっちに来てからのみんなの近況を聞かせてくれた。日本の友達が恋しいな。

お店の名前はFloréal Belleville。



その後、マレを散策してから一眠りしたねると合流し、予てから行きたかったアイスクリーム屋さんへ寄った!



ここは、大好きなインスタグラマー(あるアメリカ人夫婦が、お茶目な3兄弟と様々な美味しそうなグルメをアップしているアカウント)の@foodbabynyが1年前パリ旅行中に行っていた「Glace BACHIR」。

オーダーは少し変わっていて、サイズが許せばアイスクリームのフレーバーは何種類選んでもいい。「全種類でもいいよ」と店員さん。「えー!じゃあ、それで!(笑)」と私たち。
そして、このお店に来る前から楽しみにしていたのは、ピスタチオのトッピング。アイスをピスタチオでびっしり埋めてくれるのだ。まりかたちはピスタチオがない方がいいなんて心許ないことを言うけれど、絶対にそんなことない、美味しいし見た目もかわいいし何より楽しい。わたし的に、パリで1番好きなアイス屋さんになった!

みんなでチェキも撮った!



アイス屋さんの目の前にある現代美術館、「ポンピドゥーセンター」は、建物の造りが工場みたいですごく個性的だ。ねる(彼はアーティストで、音楽や服、彫刻、絵も創作してるんのだ)に説明してもらいながら回る。表面的な絵の美しさと一緒に、当時の流行りの作風や作家の特徴のような色んな背景を知れて、一つ一つの作品がより印象に残った。気に入った絵もたくさん。中でもアンリ・マティスの作品の暖かく柔らかい色合いやタッチは特に私好みで、お気に入りの画家に仲間入りした。

マティスの絵、「ルーマニアのブラウス」



美術館に来る人を観察するのも好き。



紀香の雰囲気と合っている。ピカソの絵。



館内をぐるぐる回る。紀香のパパから、幼い頃の紀香とポンピドゥセンターの写真が送られてきた。

同じ場所っぽいところを見つけた。



紀香をホテルへ送り、夕食はねるとまりの行きつけのレストラン、Vingt vins d’artのテラスでゆっくり食事をとった。
とてもとても美味しかったし、静かな場所にポツンとある店構えや雰囲気が心地よかった。



グラスのデザインもかわいい。



あっという間に最終日。今日2人は、アトリエ・デ・リュミエールへ連れて行ってくれた。
(まりかはもう3回くらい行ったことがあるのに!)

Dreamin manでテイクアウトしたラテは世界一美味しかった。

期間によって展示物は変わり、この時はゴッホ。ここでは、額縁に入った彼の作品を見るのではなく、プロジェクターが使われて、真っ暗で何もない館内の壁や床、天井全てに1枚の絵画が投影される。人は、そこを歩いたり立ち止まったり座り込んだり寝転がったりしながら、各々のスタイルで絵を感じる。よく見ていると、絵の中で波が流れていて、その流れにならって月の光もゆらゆら動く。新しいアートのあり方に心が躍った。

壁にもたれかかってぼーっと見る。



ものすごい人の数だ。



その後はサンローランへ立ち寄って、店員をしているねるの友人 たかしさんに会いに行った。オブジェや家具までこだわりのあるブティックのツアーをしてくれて、最後に大理石の壁のある箇所の秘密扉のようなところを開け、芸能人やセレブみたいなVIPの人たちが買い物をする時に通すクローゼット付きの大きな部屋を特別に案内してくれた。部屋の中では、日本で生まれ育った彼が、たった1人パリに来ていまに至るまでの話をしてくれた。「なるようになる」と彼は言っていた。もちろんそれに伴う根性や努力は必要だけど、たくさんの出会いや運が自然に引き寄せられてくるから、心配しないで好きなようにやったらいいんだよ、大丈夫だよと、彼は日本語で話しているのに、ゆったりと、静かに歌うように話すそのテンポは、まるでフランス人みたいだった。
たかしさんは私たちを見ただけで、ぴったりのサイズのジャケットをたくさん持ってきて、「せっかくだから着てみて!」と着させてくれた。



そう、私が今回の旅で気付いたのは、フランス人のフランス語はまるで歌を歌っているみたいみたいだということ。歌うと言っても、口笛を吹くように、小さく、静かに。そして気づいたことはもう一つ。一年前初めてパリへ来た時は、この街にキラキラドキドキした映画のようなイメージがあったのだけど、今、まりかとねるの暮らしに溶け込んでみるとまた違うパリの顔が見えてきた。この街はいい意味でどこよりも静かで落ち着いていて、ほんとはちょっと汚くて、でもやっぱりそこに確立した美しさを感じた。

夜の方が元気なねるは、歌ったり弾いたり忙しい。




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