Greenfields I'm in love #20

宗教観とアート。

Contributed by Aya Ueno

Trip / nov.06.2020

直感を信じ、ドキドキするものに向かって走り続ける神戸出身の大学生、Aya Uenoさんの連載「Greenfields I'm in love」。自分探しも兼ねたロンドンでの留学生活で、自分の目で見て、肌で感じたありのままの日々の記録をお届けします。

#20

友達のまりかに会いにいったパリ旅行から帰り、日常に戻った。

わたしはホームステイ先のサラとヤン、3人のホームメイトと囲む食卓が楽しかったから、普段あんまり外食をしなかったし(わたしのホームステイのプランは平日は夜ごはん付きで、もちろん食べない事もできた)外で遊ぶとしても、学校外の友達と遊んだりすることも多かったのだけど、たまに、学校の寮、通称Homeless accommodation(みんなが集まるから)へ行って遊んだ。その時感じた事を書きたいと思う。

いつもそこに集まる仲良しのクラスメイトの中には、イスラム教を信仰する友達が多い。ちょうどこの頃はラマダンの時期。ラマダンとは断食月で、日の出ている間、彼らは飲食ができない。
今まで日本で神道、仏教、キリスト教とは関わりはあったけど、イスラム教、信仰するムスリムと触れ合う機会がなかった。そんなわたしは、豚肉やお酒とは無縁で、ラマダン中本当に日中はなにひとつ口にしない彼らに驚いた。それだけでなく、失礼ながら最初は、不便だろうと思ったけれど、当の本人たちは嫌な顔一つせずにその期間を過ごす。国教があって、深い信仰心がある、そんな彼らにとって、イスラム教徒としてのしきたりを守ることは信じるものへの敬意であり、また彼らのアイデンティティでもあると知った。

そんなラマダンの期間は、宗教背景の異なる仲間と一緒に楽しく過ごすのはいつもより少し難しいと思える。でも、そんな心配はなく、一緒に楽しむ方法はたくさんあった。寮ではいつもみんなでボードゲームをしたりして、誰もお酒を飲まなくてもいつもみんなハイテンションで賑やかだし、中でも一際陽気で人気者のサム(サウジアラビア人)は、自分は断食の時間帯だというのに、そうでないみんなの為に、アラビアンコーヒーやデーツを振る舞ってくれた。やっと日が沈み(寒い寒いロンドンもだんだん暖かくなり、日が沈むのは9時を過ぎる)、ムスリムが、「おなかすいたー!」と嬉しそうに寮の近くの美味しいトルコ料理店へ向かえば、自然とみんなも一緒に着いてきて、にぎやかな、私たちにとっては二回目の夜ごはんがはじまる。お誕生日などの特別な日にみんなで外食をしたい時は、一緒にお祝いする為に遅い時間に席を予約したし、中には数日間、ムスリムと一緒に日中の断食を試みる子もいた。いろんな宗教観を持つ人が集まっているけれど、誰一人価値観を強要せず、みんながお互いを尊重して過ごすところが素敵だと思ったし、なによりそこに愛があって温かかった。みんなが集まるこの場所だから味わえる幸せだ。


これは、クラスの友達と行った本格的なトルコ料理。本当に美味しかった!

次は、大好きなアートの話をしようと思う。
ある日イーストロンドンで月に一回のビンテージフェアへ行った後にランチしていたら、この後テイトモダンへ行くことになった。
イーストロンドンからテムズを渡って、ロンドンブリッジの近くにあるテイトモダンへ。その交通手段は、地下鉄でもバスでもなく、自転車! パリではライムという電動キックボートのレンタルがスタンダードだけど、ロンドンでは自転車のレンタル、Santander Cyclesが主流。街のあちこちに、赤い自転車が駐輪していて、自由に借りて返すことができる。
今日はその自転車に乗って、テイトモダンへ向かった。先頭には、地図も見ないで迷わず道を進むヘラ。彼女が尋常じゃないスピードで進む後ろで、はぐれないように必死に自転車を漕いだ。日本では、自転車を使う機会なんてないに等しい。そんなわたしにとって、自転車で(全速力で)街を駆け巡るこの時間、そして見えるロンドンの景色はまさに幸せそのもの!


荷台はなく、フロントに立てて、紐を引っ掛ける。

テイトモダンはずっと行ってみたかった、ロンドンでもとっても人気の現代美術館! そこには常設展の他に、いつも企画展が開催されている。わたしがはじめて行った時は、アメリカの写真家、ナンゴールディンの企画展がされていて、この日を境にわたしはあっという間に彼女の虜になった。


しわくちゃのトレンチはさっきのビンテージショップで17ユーロでゲットしたもの。

展示会には、彼女が世界中で撮ったたくさんの作品が並び、1番奥には、5曲ほどのbgmに合わせて彼女の写真が切り替わる動画作品をエンドレスで上映する小さなシアタールームがある。わたしはこの動画が大好きで、この日もみんなで肩を並べて座り、作品を何周もみた。わたしの思う彼女の作品の特徴は、生々しいほど自然体な事で、その理由の一つは、写る人たちはモデルではなく、みんな彼女の親しい人たちであること。ナンゴールディンは、なに気ない日常の美しさを表現する天才だと思う。彼女はわたしが初めて好きになった写真家だ。


へラとわたし。


5月22日の新聞。テリサメイがついに辞任し、話題はこれもちきりだ。

わたしはそれより、小さく出ている記事が悲しかった。小さい頃大好きだった絵本「おちゃのじかんにきたトラ」のイギリス人作家、ジュディス・カーが亡くなったのだ。

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