Couch Surfing Club -西海岸ロードトリップ編- #51
Power Breakfast
Contributed by Yui Horiuchi
Trip / 2023.07.20
#51
アメフトの試合観戦からの興奮で熟睡した朝。
外で友人が犬と戯れている声がする。
しばらくするとドアを開けておいた階段越しに一階へ上がる友人の顔が部屋から見えた。
「あ、起きてた? おはよう、おなかすいたから朝ごはん買ってくる、20分くらいで帰ってくるね」
「オッケー」
寝ぼけ声で返事をして、しばらく友人もいない静かな朝を朝日で照らされるベッドの上で満喫していた。
5分もしないでキッチンに向かってお茶を作っていると友人が手ぶらで帰宅してきて
「あれ早かったね、食べてきたの?」
「いや、オーダー受け取りまで30分かかるって言われたから車で1分の距離だし一回帰ってきた」
「あぁ賢いね」
「コーヒーが有名なんだけど、レジとバリスタが同じ人だから注文受けるとコーヒー作りに行っちゃってすごい待つんだあそこ」
しばらくしてからまた出かけていった友人が今度は大量の朝ごはんを抱えて帰ってきた。
ブルーベリーマフィン、フレンチトースト3枚、でっかい箱はグリルポテト、小さな箱にランチドレッシングのサラダ、トースト4枚、ベーコンチーズエッグとハムチーズエッグには卵がそれぞれ2個ずつ。
コーヒーはもれなくLサイズだ。
さすがに食べきれずに満腹になった頃
「今日は運動しないと絶対やばい」
「そうだね」
十分に膨れたお腹をさすって、二人とも座っていた椅子から動けずにいた。
とてもすぐに動けるような状況じゃなかったので、少し腹休めしてから昨日行こうと思って取りやめにしたハイキングにあとで行くことにした。
なるべく早く消化を促したかったわたしは早速ハイキングの格好にだけ着替えて、キッチンに向かった。
巨大なズッキーニが鎮座し続けていたので、なんとか処理することにした。
皮剥き機では到底歯が立たず、包丁で硬すぎるズッキーニの皮を落として行った。
剥けた皮は硬すぎてキッチンを叩いて見ると木で叩いたかのような高い音がした。
炒め物に使ってもそのまま木べらの代わりになりそうだった。
最近習得したオーブンの機能“Broil”で獲れたてのトマトとバジルと一緒にオーブンで揚げ焼きにしようと思う。
「今忙しい? それとも時間潰しにそれ作ってる?」
「うん、そう」
友人もでかける準備ができたようだ
「いつでも出かけられるよ」
キッチンで手際よくピクニックの食料をタッパーに詰め替えていく友人。
「朝ごはんの残りだけど、トレイルにいいガゼボとかあるんだ、途中でピクニックしよう」
「ピックニック!!!!」
ピクニック好きなわたしが両手をあげて喜んだのを見て笑う友人。
必要なものをバックパックに詰めて昨日スタジアムから見ていた峰の一部、Fitton Green Natural Areaに向かった。
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Yui Horiuchi
東京を拠点に活動するアーティスト。幼少期をワシントンD.C.で過ごし、現在は雑誌のイラストや大型作品まで幅広く手掛ける。2015年に発表した「FROM BEHIND」は代表作。自然の中にある女性の後ろ姿を水彩画で描いた。自然に存在する美や豊かな色彩を主題にする彼女の作品は海外でも評価されている。