Stay Home, Stay Travel Challenge
妄想旅チャレンジ #3
text&photo by Ryota "Jeffrey"
Trip / 2020.05.25
みなさんからContainerに届いた旅日記を公開中!
第三回はRyota "Jeffrey"さんの妄想旅です。
Hawaii Night
「ハワイだなぁ。」
「ハワイっすねぇ。」
街頭の少ない住宅街で、眩しいくらいの月明かりに照らされながら、
Airbの玄関のピンクの花をバックにぷかぷか吸っていた。
「あの坂、ロスの家の近くの坂に似てません?」
「あーわかる!あの坂の下は、こないだ俺がスケボーしてて転んだ段差があるねんな!」
「まだ転んだりするんすか!?」
「当たり前や!一生転んで起きての繰り返しや!」
「うまい!」
今思えば、何がうまいのかは分からない。
だけどその坂道ひとつから生まれた笑い声は、ヤシの木を揺らしたように思えた。
夏の軽くて懐かしい風が、自分たちの沈黙を埋めるのには充分だった。
この瞬間が有限だと分かっていたから、無限にあるかのようにどっぷり浸れた。
日中はあれだけ走り回って、叫びまくって、ビールもこぼしまくって笑いまくっていたのに、
夜はすっかりやんちゃな自分たちを包み込んでしまった。
クラシックの名曲みたいに、自分たちの会話は続く。
ある部分では消えそうに小さく揺らいで、またある部分では星を揺らす。
会話の内容は、クラシックというかヒップホップ。というかゲトー。
気付いたら、なにも言わなくても、考えていることがだんだん分かるようになっていた。
その考えの中で出た答えだけを、唐突に煙と一緒に世界に出してみる。
「やっぱり女なんていらないですよね。」
「いらんいらん。今はそんなんええんや。」
また、二人で考えこむ。前の葉っぱが、子供のころによく見た模様に見えてきた。
ガサガサしたフードの裏起毛が、今はブランケットより優しく肌を撫でる。
黄色いコンバースの靴紐の、先のプラスチックの部分で、巻いたばかりのタバコの先をつつく。
気持ちいいリズムが奏でられて、指の関節がうずくのがわかる。
「でも、アンナは元気にやってるで。ハワイに一緒に来たがってたけど。」
「そうかぁ。今何してるんだろ。」
「なんもしてへんやろ。アンナはどこでも、いつでもアンナやってるで。」
ハワイの風は、やっぱり軽くて懐かしかった。
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anna magazine
「anna magazine」は、ファッションからライフスタイルまで、ビーチを愛する女の子のためのカルチャーマガジン。そして、「anna magazine」はいつでも旅をしています。見知らぬ場所へ行く本当の面白さを、驚きや感動を求めるたくさんの女の子たちに伝えるために。