きょんちゃんと再会

Gloomy day All day #2

きょんちゃんと再会

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2023.02.10

フォトグラファー/ライターの上野文さんが、過去のイギリス留学の様子を綴ったContainer WEB人気連載『Greenfields I'm in love』。全74回の連載を終え、今回からは2021年の冬に過ごしたロンドンでの2週間をお届けします。大好きなロンドンでの、小さな「きっかけ探し」の旅。

#2

2年ぶりのロンドンに到着した、久しぶりすぎて、初めての国に来たような気持ち。
上陸した飛行機から降りると、出国の時と同様、書類が足りなかったらどうしようと緊張が走った。結局、行列のその先にあったのは厳しい税関ではなく、自動ゲートだった。機械にパスポートをかざすとあっけなく外に出られる。あまりに簡易だから、なんだか物足りなさまで感じながら、外へ出た。
空港のWIFIにつなぐと、今日からお家に泊まらせてもらう予定のきょんちゃんから、「文ちゃん、バッドニュース。」と早くも不穏なラインが届いていた。きょんちゃんは、昔学校で出会った韓国人の友達だ。最近ワーホリのビザを手にして、またロンドンで住み始めた。3人のホームメイトとシェアしているフラットに、クリスマスイブまでお世話になる予定。

そのバッドニュースは本当にバッドニュースだった。きょんちゃんは今前と同じ学校に通ってるんだけど、そのクラスにコロナが出たらしい。着いて早々身の震えるような話。きょんちゃんは一旦学校で検査をしていて、今結果待ちだって。

私はsimカードを買って、ゆっくりときょんちゃんのいる学校(私もかつて通っていた所)へ向かう。
シティーへ向かう電車、席に座って壁によりかかり、窓の外ではなく、電車内を観察した。ちょっと濁ったブルーの扉が可愛い。人が少なくて静かだ。なんだか気だるい雰囲気が心地よい。





ぼーっとしていたら、あっという間にSt.PAULという駅に着いた。空港はもっと遠いものかと思っていた。St.PAULから学校の最寄りは地下鉄で一駅なのだけど、早く外が見たくてそのまま地上に出てきた。大きなトランクをガタガタ揺らしてそのままHolbornまで歩く。

地上へ出ると、女の子がコンクリートの上に座って携帯をいじっている。目が合って、近くに座ってお喋りした。彼女は、アメリカ人で、名前をイザベルという。ちょうどセメスターが終わったところで、今日アメリカへ帰っちゃうんだって。あと一年、アメリカの学校へ通わなくちゃいけない彼女は、イギリスに彼氏が出来たから、ここを出るのが寂しいと肩をすくめた。





コロナで一変していると思っていた街並みは、たいして変わっていなかった。懐かしく、そしてやっぱり綺麗な街並みに、少し歩けばすぐ立ち止まってぼーっと眺めては写真を撮った。こんなに綺麗な街を、以前は当たり前のようにスタスタ歩いていたんだ。

最寄りのHolbornに近づくと、その懐かしさも一際だった!駅の近くは相変わらず混雑していて、その隙間を縫うように小走りに学校へ向かっていた2年前を思い出した。
学校に到着した。一階に併設されたカフェエリアできょんちゃんを待っていたら、以前よくお世話になっていたJamesという先生がいた。語学学校はとにかく人の入れ替わりが激しいし、2年も前にいた私のことなんて覚えてくれていないと思うけど、せっかくだから話しかけてみたら、嬉しいことにちゃんと覚えてくれていた!
しばらくJamesと話していたら、三つ編みにアイラインを可愛く跳ね上げた女の子が近くにきた。きょんちゃんだ!コロナ検査は陰性だったらしい。

きょんちゃんの家はイーストロンドンにあり、バスで行くと1時間弱。大きなスーツケースを置きに一旦家へ帰った。 
バスで揺られながら、近況を話し合った。と言っても、最近は頻繁に連絡を取っていたから特にびっくりするようなニュースはないのだけど、彼女はついこないだのパリ旅行の話をしてくれた。
そうだ、きょんちゃんは日本語がペラペラだ。顔立ちや雰囲気も日本人らしくて、初対面の時は日本人だと勘違いしたくらい。彼女の日本語は流暢そのもので、何のクセもない。こんなに上手に他言語を話す人を、私はまだ見たことがなかった。

きょんちゃんの家に着いた。いかにもロンドンのシェアフラットという感じで、扉も窓も全部ギコギコしててちょっと閉めにくい。きょんちゃんはここに越して間もないのに、フラットメイトたちにお願いして、わたしを迎え入れてくれた。

あらかじめきょんちゃんの家に送っておいたコロナの検査キットが届いていて、着いてすぐに検査を行った。すぐに結果が出るのではなくて、口の奥を拭った棒をまたポストに投函して、後日病院からメールで結果が届くシステム。このキットを事前にオーダーして、宿泊先に届くようにしておかないと日本を出国できなかった。

検査を終えたからキットに再び封をして、早速ディナーを食べに行こう。これから5日間ほど過ごす、きょんちゃんとの時間、たっぷり楽しみたい!



つづく!


アーカイブはこちら
過去の記事もあわせてチェック

Tag

Writer