Couch Surfing Club -西海岸ロードトリップ編- #49
IT’S GAMEDAY!
Contributed by Yui Horiuchi
Trip / 2023.07.06
#49
カーテンを開けっ放しで寝ていたら朝焼けと一緒に目が覚めた。
ベッドで少しまどろみようと試みたけど、思うように二度寝できず木造のお家の床が軋まないように抜き足差し足キッチンのある一階へ。
シンクにはオンデマンドで熱湯がでてくる蛇口がついている。
カップにハーブティーのバッグを一つ放り込んで、蛇口をひねり熱湯を注いだ。
朝ごはんの買い出しは昨日のうちに済ませておいた。
ローズマリーとオリーブオイルのカンパーニュを1.5cm幅に切りトーストする。
焼けたパンに庭で取れたトマトの果肉をパンの断面に擦り付ける。
オリーブオイルと塩胡椒をして、マリナーラソースをひと塗り。
スライスしたトマト、バジル、ちぎったモッツァレラチーズを乗っけて、胡椒を一振りしてオーブンに入れた。
5分もすればチーズの焼けたいい匂いがする。
ピザトーストの完成。
「いい匂い、何作ってるの?」
友人が起きてきた、まだお腹はすいていないという。
「お腹がすいたらすぐに作れるから言ってね」
昨夜はまた全然寝れなかったらしい。
今朝はハイキングに行こうと話していたけど、午前中はお家でゆっくりすることにした。
この時期に天気が良く気温が高いのは珍しいことらしくて、例年通りならもう寒くて外には出れない時期だそうだ。
わたしはパティオの日が当たるハンモックでお茶を飲みながら仕事にとりかかる。
今日は待ちに待った、この街ならではの一大イベント、地元の大学のフットボールチームの試合を見にいく予定だ。
「試合の時間18:30スタートで合ってるよね?」
「合ってる、キックオフは18:40くらいかな」
「オッケー、じゃあそれまで様子みよう」
アメフトの試合はハーフタイムを入れても4時間くらいは見ておいた方がいい。
帰りは23時近くなるだろうと予想して、ご飯や体力の消耗の逆算もしておきたいところだ。
友人は昼寝、わたしは映画を2本見た。
昼過ぎに出かける予定だったゴルフの予約は体調次第だったけれど、昼寝をして調子の良さそうな友人と一緒に出かけることにした。
天気はものすごく快晴。
今日はキャディに徹底する予定。受付でビールを4本買ってカートのドリンクホルダーに差し込んで出発進行。
グリーンに乗り上げないように、でもなるべくボールの側にカートをつけた。
理想のスコアより良いスコアが出て気分上々でゴルフを終えた友人と車に戻り
「スタジアムまで家から歩くんだよね、片道何分見た方がいい?」
「多分1時間前には出たほうがいいよ」
「てことは17:30か」
「ご飯食べに行ってたら間に合わなくない?」
「たしかに、回転寿司ならあるけど…」
「でもシャワーも浴びて、着替えて、犬のおトイレの世話して、ご飯も合わせたら絶対ギリギリだよ」
「そうだね、じゃあ家で軽食をたべようかな、何か作れる?」
「うん、朝わたしが作ってたピザトーストでよかったらすぐに作れる」
「いいね」
「じゃあ帰ったらわたしはキッチンに直行するから、そっちはシャワーに直行して」
「オッケー、YUI はシャワー浴びないの?」
「わたしはキャディーしてただけだから体拭いて着替えるくらいで大丈夫」
「あはは、ホアーバスだね、オッケー」
「ちょっと待って、ホアーってどういいうスペル?」
「whore-bath」
「ちょっと! 人を娼婦呼ばわりしないでくれる?!」
家路を急ぐわたしたちは大爆笑した。
予定通り全てのタスクをこなし、17:32に家を出る。
くせになった助手席に座り、シートベルトに手を伸ばすと
「歩いていく予定なんだけどね」
「あ、そうでした」
そう言いながら扉を閉めて、Beaversのジャケットを羽織った。
アーカイブはこちら
Tag
Writer
-
Yui Horiuchi
東京を拠点に活動するアーティスト。幼少期をワシントンD.C.で過ごし、現在は雑誌のイラストや大型作品まで幅広く手掛ける。2015年に発表した「FROM BEHIND」は代表作。自然の中にある女性の後ろ姿を水彩画で描いた。自然に存在する美や豊かな色彩を主題にする彼女の作品は海外でも評価されている。