ドライブとセピア色

To Me, Somewhere in the World #2

ドライブとセピア色

Contributed by Yoko

Trip / 2021.11.24

「世界一周がしたくて、30歳を機に思い切って会社をやめた」
未知なモノすべて知らないことを知りたい、欲望に忠実に生きるフリーランスのWebライター・編集者Yokoさん。日本国内の旅の話をリアルタイムで、時に振り返りながらつづる旅連載。


#2

いつものお店でビールを飲んだ。

行き帰りは「ドライフラワー」と「かくれんぼ」を無限ループで聴きながら、無駄にセンチメンタルな気持ちで街を歩く。
あったようななかったような想い出を回想しながら歩くと、街がセピア色に見えるのでおすすめ。ドライブも可。

後部座席からの景色。

久しぶりにワクワクして迎えた友人たちとのドライブは、長野から伊豆まで片道6時間。
信じられない長距離1dayドライブ。
7人目のメンバーとして臨んだはずが、何人か減って5人スタートに。

さておき、私はドライブは割と好きなのだけれど、車を持っていないし、いろんな事情であまり車が好きではない。
自分で旅程を立てるときは公共交通機関優先で考えることがほとんどなので、今回は全く脳内にないルートでの旅なのだった。

想定外の旅は斬新かつ新鮮である。

途中のSA。諏訪湖。木が赤い。

とは言え、気心しれた友人と一緒であっても長い時間はどうしたって長い。
休憩を挟みながら目的地に向かう。

それでも大人数の長距離ドライブは思った以上に楽しかった。
後部座席3列目の景色もよかった。子供の頃の記憶をなぞるようで懐かしい気持ち。

まぼろし博覧会。数ある入り口の一つ。

目当ては「まぼろし博覧会」と「バナナワニ園」。
入園するまで来たことがある場所だと気付けなかったワニ園はさておき、まぼろし博覧会のまぼろしっぷりは特別だった。

よくこんなにそろえたな。よく成立しているな。
いや、それを見に来ている私たちが変わっているのか。いや、他にもお客さんいるな。
うん、みんなよく来たね……と誰目線かわからない感情を持ちながらひたすら歩く。

こんなディスプレイが並び続く。広い。

本当に、どこを切り取っても色彩と情報の大渋滞。
「ここを最初にしてよかったね……!」
と、全員が口を揃えて言うほど。
(最後だと、心が疲弊したまま帰ることになるから。)

本当にすごい空間を知った。強かった。
エネルギーとか欲望とか煩悩とかあらゆるものがそこにあった。
意味を持ちたがって、持たされていた。そんな集いを体感した私たち。

黒根岩風呂。本当に海と共にある。

最後はほとんど海な露天風呂に浸かり、トワイライトを楽しんでから帰路へ。

満足感と眠さと疲れが混在する車内で自然発生した「aikoの曲名にありそうなタイトル」他しりとり大会をBGMに進む。帰りは助手席。
あいまに適当な過去の話をしたり大事な現在の話を聴いたりする。

朝焼け。

そうしていると、不意に、

“もう、ほとんど家族みたいなものだよね”
“本当だね”

という話に。
急に心がじわ、っとして困る。


シェアハウスで1年以上を共に過ごした人たちを「家族同然だな」と私自身が思ったように、
もはや「(家で共に)暮らす」という軸で時を共有していなくても、そう思ってくれる人たちがいること。
風のように生きて、好きなように暮らして、いるんだかいないんだかわからない、
そんな日々にも、心地よい瞬間を共有できる人たちがいること。
それに気付ける嬉しさ。

じわ、っとするしかないでしょう?


こうして途端にこの1日も「もう二度と来ないことがわかっているのに、わかっているからこそ、忘れられない日」に昇華する。
たった一つの言葉だけで。

後部座席からの景色。

1dayドライブを振り返りながら、全員がそれぞれ作ったアルバムの写真の中からお気に入りを保存。
それぞれ違う視点の瞬間を比較して、また新しく記憶を補修する。

誰かとする旅は、関係性や思考の発見があるから好きだ。


全くもって、たまには長距離ドライブもいいね。



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